プログラミング初心者が最初に学ぶ言語として人気が高い「Ruby」。
しかしRubyを詳しく知らない人にとっては「なぜRubyが初心者向けと言われているのか分からない」と感じていることでしょう。
そこで本記事では「Rubyはどんな言語なの?」「Rubyの将来性が知りたい」「PythonとRubyはどんな違いがあるの?」といった疑問やお悩みを解決します。
今回は大きく分けて4つのテーマについて解説していきます。
- Rubyでできること
- RubyとPythonの特徴
- RubyとPythonの将来性
- Rubyの学習方法
最後まで読めばRubyの特性が理解でき、プログラミング未経験からRubyエンジニアを目指す方法が分かります。
そもそもRubyとは?
Rubyは、1993年にまつもとゆきひろ氏(通称:Matz)によって開発されたプログラミング言語です。
2012年にはIOS/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)の標準規格として、Rubyが承認されました。
開発者のまつもと氏によると、Rubyの仕様を決める際に最も重視しているのは「ストレスなくプログラミングを楽しむこと」だと述べています。
Rubyは「楽しさ」を提供するため、下記のような特徴を持っています。
- 厳密な文法ルールは存在せず、書き方は比較的自由
- シンプルな構文なのでサクサクとコードが組める
自由度が高くて書きやすいRubyは、エンジニアのプログラミング作業を止めてしまう「言語独自のルールに従って記述すること」「エラー箇所を探す」という作業を極力取り除けます。
結果として、エンジニアが最も注力したい「見やすいソースコードを書く」「より精度の高いWebサービスを開発する」といった作業に時間を割くことができます。
もちろんRubyは楽しさだけでなく、実用性も十分です。
後ほど詳しく解説しますがRubyはWebアプリやスマホアプリ、ECサイト制作など幅広い分野で採用されています。
Rubyでできること
汎用性の高いRubyですが、具体的にどういった開発に向いているのでしょうか?
ここでは、下記4つのRubyでできることについて解説します。
- ECサイト構築
- Webアプリ開発
- スマホアプリ開発
- スクレイピング
ECサイト構築
RubyのフレームワークであるRuby on Railsを使えば、ECサイトの構築ができます。
SolidusというRuby on Railsのパッケージを使用すると、ログイン・ログアウト機能や商品を購入するためのカート機能、決済機能などが簡単に実装可能です。
ECサイトの制作例として、旅行系物販サイトや電子書籍ECサイトが挙げられます。
参考:株式会社アピリッツ
Webアプリ開発
Rubyは多くのWebアプリで使用されている言語です。
パッケージとAPIが充実しているRuby on Railsを活用することで、スピーディーな開発が実現できます。
Rubyで作られた代表的なWebアプリは下記の通りです。
- 料理レシピサイト「クックパッド」
- ニュース配信アプリ「グノシー」
- クラウドソーシングサイト「クラウドワークス」
- ビジネスSNS「Wantedly」
スマホアプリ開発
RubyのRubyMotionやRubotoを使うことで、スマホ向けアプリの開発が可能です。
しかし、Android向けアプリならJavaやKotlin、iOS向けアプリはSwiftやObjective-Cが用いられることが多いので、Rubyが使われることは多くありません。
スマホアプリ分野でRubyが浸透しているとは言えませんが、RubyMotionを使えばAndroidとiOS両方に対応したアプリが開発できるので、今後の需要に期待したいところです。
スクレイピング
スクレイピングとは、Web上で収集したデータを利用しやすいように加工する技術のことです。
スクレイピングの例として「株価の変動をリアルタイムで追跡する」「自社商品と競合他社商品の口コミを集めて商品の改善に活かす」などが挙げられます。
RubyのNokogiriやMechanizeというライブラリを使えば、簡単にスクレイピングが実現できます。
Rubyの特徴
Rubyは日本生まれの言語なので日本語で書かれたドキュメントが多く、プログラミング未経験者でも学びやすい言語の一つです。
ここでは、未経験者でもRubyの特徴を理解できるように丁寧に解説していきます。
オブジェクト指向型の言語
Rubyはオブジェクト指向型の言語です。
オブジェクト指向とはシステム全体を部品(オブジェクト)の集合体である「モノ」と捉えて、膨大で複雑なプログラムを効率よく開発するための概念になります。
たとえば車をモノとして考えた場合、下記の部品がオブジェクトに該当します。
- タイヤ
- ハンドル
- アクセル
- ブレーキ
そして、これらの部品を組み立てることで車が完成します。
例に挙げたように部品(オブジェクト)を組み立てて、1つのモノを作る考え方がオブジェクト指向です。
部品(オブジェクト)を分けることで、プログラムの変更がしやすくなったり、エラーの原因箇所を特定しやすくなるのがオブジェクト指向のメリットです。
インタプリタ言語
Rubyはインタプリタ言語と呼ばれています。
インタプリタとは、プログラミングコードを1行ずつ機械語(0か1)に翻訳しながら実行する言語を指します。
インタプリタ言語のメリットは「作成したプログラムの実行結果をすぐに確認できる」という点です。
たとえばWebアプリの画面を作る場合、書いたコードがすぐ画面デザインに反映されるので、成果物を確認しながらプログラミングが進められます。
シンプルで読み書きしやすい
Rubyはソースコードがシンプルで読み書きしやすいという特徴があります。
Rubyで「Hello World」と表示するソースコードを書くと下記のようになります。
print “Hello World”
ちなみにJavaだと、
class HelloWorld {
public static void main(String[] args) {
System.out.println(“Hello World”);
}
}
このようにJavaだとソースコードを5行書く必要がありますが、Rubyはたった1行書くだけです。
ソースコードの記述量が少なくて済むため何が書いてあるのか分かりやすく、保守がしやすいプログラムが組めます。
Rubyとよく比較されるPythonってどんな言語?
初心者におすすめしたいプログラミング言語の候補として、Rubyと一緒に挙げられることが多い「Python」。
そんなPythonは一体どんな特徴を持っているのでしょうか?
コードの記述がシンプル
Ruby同様に、Pythonもコードの記述がシンプルといった特徴を持っています。
具体例として、Pythonで「Hello World」と表示するソースコードを書いてみます。
print (“Hello World”);
ちなみにC言語で書いてみると、
int main(){
printf(“Hello World”);
return 0;
}
このようにC言語と比べると、いかにPythonの記述量が少ないかが分かるかと思います。
コードの記述が少ないため「コードを書く時間が短縮できる」「エラー箇所が特定しやすい」といった点がPython最大のメリットです。
プログラミング初心者、経験者問わず誰でも書きやすい言語なので、Pythonはさまざまな分野で利用されています。
フレームワークやライブラリが充実している
PythonはDjangoやFlaskといったWebアプリ開発向けフレームワーク、TensorflowやPythrchなどのAI(人工知能)向けのライブラリが充実しています。
複数のプログラム(機能)をまとめて使いやすくしたフレームワークやライブラリは、開発効率を上げるために欠かせない存在です。
AI開発で活躍する言語
Pythonは機械学習やAI(人工知能)開発との親和性が高い言語です。
「AI開発=Python」と連想する人も多いのではないでしょうか。
先ほども紹介した通りPythonはAIに特化したフレームワークが充実しており、また統計処理やデータ分析向けのライブラリも豊富にあります。
Pythonに関しては以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:Python(パイソン)とは?プログラミング初心者向けに特徴や事例を解説!
RubyとPythonの将来性と需要に迫る!
RubyとPythonの特徴は分かったものの、将来性がある言語なのか不安になった人もいることでしょう。
そこでRubyとPythonそれぞれの将来性と需要について解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
Rubyの将来性と需要
Rubyは一定数の需要を保ち、将来性がある言語です。
前述した通り、Rubyを用いて開発されたWebサービスは多数存在します。
- 料理レシピサイト「クックパッド」
- ニュース配信アプリ「グノシー」
- クラウドソーシングサイト「クラウドワークス」
- ビジネスSNS「Wantedly」
- 動画配信サイト「Hulu」
- 宿泊予約サイト「Airbnb」
Rubyは「学習コストが低い」「フレームワークによる開発スピードの向上」といったメリットから、ベンチャーやスタートアップ企業で採用されています。
新規サービスの開発および既存サービスの保守運用もあるので、Rubyは一定数の需要があると言えます。
次に、求人の側面からRubyの需要について見てみましょう。
IT・Web業界の求人を掲載しているGreenを見てみると、Rubyエンジニアの求人数は3,135件でした。
ちなみにPythonエンジニアは4,401件、Javaエンジニアは5,658件です。(2022年8月時点)
結果を見て「Rubyエンジニアの求人数が最も少ないので需要が低いのでは?」と思った人もいるかもしれません。
しかし、Indeed Japanが発表したデータによるとRubyの求人数が9ヶ月で172%伸びていることが分かります。需要がなければ求人数が伸びることはありません。
参考:求人数が6万件を超えたPython 中高年のエンジニア未経験からPythonプログラマーに挑むには
以上のデータからRubyは安定的な需要があり、将来性のある言語だと言えるでしょう。
Pythonの将来性と需要
Pythonは需要が高く、将来性があると言えます。
具体的にPythonの需要や将来性が高いと期待できる理由について解説します。
1つ目は、Pythonを使用することが多いAI(人工知能)市場規模が年々拡大していることです。
株式会社ITRは、2025年AI関連の主要8市場(画像認識、音声認識、音声合成、テキスト・マイニング、ナレッジ活用、翻訳、検索と探索、時系列データ分析、機械学習)が1200億円に達すると予測しました。
参考:AI主要8市場は2025年度に1200億円へ 2020年度は前年度比19.9%増─ITRの市場予測
次に、求人の側面からPythonの需要について紐解いていきます。
Indeed Japanの集計データによると2022年1月時点でPythonの求人数が6万件を超え、増加率は223%です。
Pythonは汎用性が高く学習コストが低いためPythonを用いる企業が増えており、今後さらにPythonの需要増加が予想されています。
参考:求人数が6万件を超えたPython 中高年のエンジニア未経験からPythonプログラマーに挑むには
以上のデータより、Pythonは長期的に活躍できるプログラミング言語だと言えるでしょう。
プログラミング未経験者が学ぶならRubyがおすすめ!
RubyとPythonの特徴や将来性を知って「結局RubyとPythonどちらがいいの?」と感じたかもしれません。
もし、あなたがプログラミング未経験者なら「Ruby」の学習をおすすめします。
PythonもRubyも学習難易度の低い言語ですが、Rubyのほうが未経験者でも勉強しやすい環境が整っています。
プログラミング言語の説明が英語で書かれている資料が多い中、Rubyは日本生まれなので資料や記事が日本語で書かれているケースが多いです。
そしてRubyは「書いていて楽しい」が根底にあるプログラミング言語なので、未経験者でも書きやすい仕様になっています。
またPythonエンジニアの場合、完全未経験で採用されることは滅多にありません。
「開発経験○年以上」「統計学・データ分析の知識必須」など、経験やPython以外のスキルを求められることが大半です。
一方Rubyエンジニアも、開発経験なしで採用されるケースは多くありません。
しかし先述した通り、Rubyは学習しやすいので自分でWebサイトやアプリを作ることで開発経験が得られます。
開発した作品をポートフォリオにまとめて充実させておけば、ベンチャーやスタートアップ企業への転職がしやすくなるでしょう。
以上の理由から、未経験者がプログラミングの勉強を始めるならRubyを選択することをおすすめします。
Rubyの学習方法
Rubyを効率的に学ぶ方法を「書籍」「オンライン学習サイト」「プログラミングスクール」の3つの手段に分けて、解説していきます。
書籍で学ぶ
網羅的にRubyを学ぶには書籍がおすすめです。
現在Rubyに関する多くの書籍が販売されていますが、実際に中身を見てから購入するようにしましょう。
初心者はRubyの基礎文法が学べる入門書や初心者向けの本から始めてみてください。
ある程度の基礎知識が身についたら、サンプルコードや開発環境の構築方法が記述されている書籍を試してみるのが良いでしょう。
実際に手を動かしながら学べばインプットとアウトプットを並行しながら行えるので、より実践的なスキルが身につきます。
また、書籍を選ぶ時は「Ruby on Rails」の解説が載っているかどうか確認してください。
特にWeb開発の現場ではRuby on Railsを採用しているケースが多く、Ruby on Railsを使用できることが応募条件になっている求人がほとんどです。
オンライン学習サイトを活用する
UdemyやProgateといったRubyを学べるオンライン学習サイトが多数リリースされています。
学習サイトの特徴はそれぞれ異なるものの、動画で分かりやすく解説されていたり、開発環境を用意せずに済んだりと、すぐに勉強に取りかかれるのが学習サイトのメリットです。
特におすすめしたい勉強方法はオンライン学習サイトと書籍の併用です。
書籍で知識を吸収し、オンライン学習サイトでプログラミングすることで効率よく学習が進められます。
プログラミングスキルを向上させるには、とにかく手を動かしてトライアンドエラーを繰り返すことです。
ですので、アウトプットを中心とした学習をすることを意識してみてください。
プログラミングスクールに通う
Rubyは学習難易度が低い言語とお伝えしましたが、まったくのプログラミング未経験者からしたら習得するのに時間がかかるかもしれません。
「早くRubyを習得してエンジニアとして働きたい」「疑問点が出てきた時に一人で解決する自信がない」なら、プログラミングスクールの利用を検討してみてください。
Rubyは人気言語の一つなので、多くのプログラミングスクールでRubyを教えています。
また、実務で活かせるレベルのスキルを身につけるには、継続的な学習が必要不可欠です。
プログラミングスクールはプロの講師に質問できる環境が整っているので、モチベーションの維持がしやすくなります。
多くのプログラミングスクールでは充実した転職サポートを行なっているので、転職成功率を少しでも上げたいなら独学よりスクールのほうが適しているでしょう。
以下の記事では未経験からWebエンジニアに転職することに特化したプログラミングスクールをまとめています。
もちろん、Rubyを学ぶこともできるので一度問い合わせてみてはいかがでしょうか?
関連記事:未経験からエンジニアに!転職に強いおすすめのプログラミングスクール3選!
まとめ
Rubyは日本生まれのプログラミング言語です。
誕生してから20年以上経つものの、世界中のエンジニアに利用されています。
Rubyは「楽しさ」を追求した言語なので、プログラミング未経験者が最初に学ぶ言語としておすすめです。
Rubyはベンチャーやスタートアップ企業で使われることが多いだけでなく、有名なWebサービスの開発にも使われています。
そのため新規サービス開発や既存サービスの保守運用案件も多く、今後も一定数の需要を維持し続ける言語だと言えます。
Ruby同様、初心者向けの言語と言われているPython。
もしあなたがプログラミング未経験者なら、独学からでも転職しやすいRubyエンジニアを目指すのが良いでしょう。
ぜひ今回紹介した勉強方法を参考にし、Rubyエンジニアとしての一歩を踏み出してみてください!