Web制作現場の仕事は大きく分けて「バックエンド」と「フロントエンド」に分類されます。
バックエンドとフロントエンドは全く異なる領域なので、正しく理解しておかないとあなたが描いたキャリアプランから大きく外れてしまうかもしれません。
本記事では「バックエンドとフロントエンドの違いって何?」「バックエンドエンジニア の仕事内容とは?」「バックエンドエンジニアに必要なプログラミング言語が知りたい」といった疑問やお悩みを解決します。
ここでは、大きく分けて下記の6つのテーマについてお伝えします。
- バックエンドとフロントエンドの違い
- バックエンドエンジニアの仕事内容
- バックエンドエンジニアの年収
- バックエンドエンジニアに必要な言語
- バックエンドエンジニアのキャリアパス
- バックエンドエンジニアの将来性
最後まで読めばバックエンドエンジニアがどんな職種で、必要なプログラミング言語が明確になります。
バックエンドとフロントエンドの違い
バックエンドとフロントエンドの違いを簡単にお伝えすると、バックエンドはユーザーには見えない部分、フロントエンドはユーザーに見える部分を指します。
バックエンドではサーバーやデータベースを主に扱います。
ユーザーが必要としている情報をデータベースから引っ張ってきたり、入力した情報をデータベースに保存したりと、データ処理全般をするのがバックエンドです。
バックエンド開発するエンジニアはバックエンドエンジニアと呼ばれ、開発で使われる代表的な言語はPHP・Ruby・Python・Javaなどが挙げられます。
また、開発効率を上げるためにRuby on Rails(Ruby)・Laravel(PHP)と呼ばれるフレームワークがよく使用されています。
一方、フォームの入力エリアやボタン、Webサイトの外観(フォント・色・表など)がフロントエンドです。
フロントエンド開発するエンジニアはフロントエンドエンジニアと呼ばれ、HTML・CSS・JavaScriptといった言語をメインに使用します。
バックエンド同様スピーディーに開発を進めるため、JavaScriptフレームワークであるReact.jsやVue.js、Node.jsを導入する制作現場が増えています。
バックエンドとフロントエンドのどっちを選ぶべき?
もしあなたが、「高収入を狙いたい」「システム開発に興味がある」「難易度の高い仕事に挑戦したい」と考えているならバックエンドエンジニアがおすすめです。
フロントエンドエンジニアが習得する言語(HTML・CSS・JavaScript)より、バックエンドエンジニアが使用する言語(PHP・Java・Pythonなど)の方が学習難易度が上がります。
そのため、バックエンドエンジニアの敷居も上がり、フロントエンドエンジニアよりも収入が高くなります。
ただし、未経験からバックエンドエンジニアを目指す場合、構文が複雑なJavaは習得に時間がかかるでしょう。
ですので、PHPやPython・Rubyなどシンプルな構文で初心者でも学びやすい言語から挑戦してみることをおすすめします。
一方、「成果物を多くの人に見てほしい」「独学でエンジニアを目指したい」と考えているならフロントエンドエンジニアの道を検討してみてください。
バックエンドエンジニアと比較すると覚える知識量も少なく、習得言語(HTML・CSS・JavaScript)の難易度も下がるので、勉強しやすいといったメリットがあります。
その分、フロントエンドエンジニアを目指す人が多くなるので必然的に競争が激しくなり、バックエンドエンジニアよりも収入は上がりにくくなります。
バックエンドとフロントエンドのメリット・デメリットをお伝えしましたが、あなたが興味を持った方に挑戦してみるのが1番です。
Web業界は技術やトレンドの移り変わりが非常に速いため、エンジニアは常に勉強し続けなければなりません。
ですので、エンジニアとしてスキルアップするためにも「興味があるからもっと知りたい」「やっていて楽しい」と思う方を選択するのが良いでしょう。
バックエンドエンジニアの仕事内容
バックエンドエンジニアの仕事内容は大きく分けて、「サーバー構築」「データベース構築」「システム開発・運用保守」に分けられます。
1つ目はサーバー構築です。
開発するシステムに合ったWebサーバーやデータベースサーバー、メールサーバーなどを選定し、ソフトウェアのインストール、要件定義・設計〜構築までトータルで行います。
2つ目はデータベース構築です。
例えばECサイトを運営する場合、膨大な量の顧客データや商品データをデータベースで管理する必要があります。
バックエンドエンジニアはOracleやMySQLなどのデータベースを構築し、データを安全に管理する役割を担っています。
最後は、システム開発・運用保守です。
バックエンドエンジニアは、システム要件にあったプログラミング言語を用いて開発します。
システムリリース後は安定したサービスを提供するためのバグ修正や、システム精度を向上させるために機能追加や変更といった改善作業を行います。
バックエンドエンジニアの年収はどのくらい?
求人ボックスによると東京都のバックエンドエンジニアの平均年収は730万円です。
全体の給与幅は250〜1,000万円以上と幅広く、求められるスキルや実務経験有無によって大きく変動します。
経験やスキルが浅いと年収は低めですが、スキルを磨いていけば年収アップが期待できます。
具体的に求人ボックスに掲載されている求人をいくつか見てみましょう。
例1)年収600〜800万円
参考:求人ボックス
例2)年収780〜900万円
参考:求人ボックス
ご覧の通り、高単案件を獲得するには開発経験の豊富さ、フロントエンドの知識と経験、幅広い言語やツールを扱えることが必須条件です。
バックエンド開発に必要な言語5選
バックエンド開発でよく使われているプログラミング言語を6つ紹介します。
プログラミング言語によって特徴がまったく異なるので、しっかり把握しておきましょう。
PHP
PHPはWebサイトやECサイトはもちろん、SNSや予約管理システム、API連携など多くの分野で使用されています。
Webサイト制作でよく使われているWordPress(CMS)もPHPで構築されており、需要の高いプログラミング言語です。
また、PHPに関する書籍やインターネット上の情報も多いため、初心者でも学びやすい環境が整っています。
Python
AI(人工知能)や機械学習、画像解析が出来る言語として注目されているPythonですが、Webサイト構築・アプリ開発においても多くの案件で採用されています。
Pythonは少ないソースコードで実装でき、かつ初心者でも分かりやすい構文になっているのが大きな特徴です。
PythonのWeb開発用フレームワークであるDjango(ジャンゴ)は、代表的なフレームワークの一つでもあり、かつ情報も多いため初心者が学ぶのにおすすめです。
Ruby
Rubyは英語に近い文法のため書きやすくて読みやすいといった、初心者にとって嬉しい利点を持ったプログラミング言語です。
Rubyは多くのWebアプリで使われており、食べログやGunosy、クラウドワークスといった有名なアプリもRubyで開発されています。
Rubyはフレームワークを使った開発が多く、なかでもRuby on Railsを必須スキルとしている求人が多数見受けられるので、忘れずに学習しておきましょう。
Go言語
2009年にGoogleによって開発されたGO言語は、コードの書きやすさを実現するために機能を最小限に抑えた言語です。
比較的新しい言語なのでインターネット上の情報や書籍が少なく、未経験者にとって習得するのは難しく感じるかもしれません。
ですので、PHP・Python・Rubyのどれかを学んでから、GO言語に挑戦することをおすすめします。
Java
JavaはOSに依存しないため汎用性が高く、さまざまな場面で使用されているプログラミング言語です。
具体例として業務システムやIoTシステム、Webアプリやスマホアプリなどが挙げられます。
学習難易度が高い言語ですが、Javaが習得出来れば幅広い業務に携わることが出来るので、キャリアパスの選択肢を増やせるでしょう。
プログラミング言語の選び方とポイント
バックエンド開発でよく使用されるプログラミング言語を見て、「どれを選べばいいのか分からない」と悩んでしまったかもしれません。
そこで「就業したい企業の規模感」「求人数」「トレンド」の3方面から、おすすめ言語をお伝えします。
まず、スタートアップやベンチャー企業で働きたい人におすすめ言語は下記の4つです。
- Ruby
- PHP
- Python
フレームワークの充実さ、学習コストの低さから開発スピードを重視するスタートアップやベンチャー企業で使われることが多い言語です。
また、大規模案件を担う中小や大企業で働きたい場合はJavaのスキルが必要になります。
Javaは汎用性が高く、オブジェクト指向のため効率的な開発が求められる大規模開発に向いています。
次に、プログラミング言語別の求人数を見てみましょう。
レバテックキャリアが発表したデータによると、2019年のプログラミング言語別新規求人割合ランキングは下記の通りです。
参考:【2020年7月発表】プログラミング言語別求人案件ランキング
「出来るだけ多くの選択肢の中から自分にあった仕事を探したい」なら、求人数に着目してプログラミング言語を選ぶのも1つの手段になります。
最後に、トレンドのプログラミング言語を学びたいならGO言語の習得をおすすめします。
まだまだ求人は少ないものの、近年注目を浴びているGO言語。
多数の大企業がGO言語を活用していることから、今後ますます需要が伸びていくことが予想されます。
「新しい技術を使って出来ることを増やしていきたい」なら、GO言語は学習するのにピッタリだと言えます。
バックエンドエンジニアのキャリアパス
バックエンドエンジニアとしてキャリアを積んでいったら、どんなキャリアパスが描けるのでしょうか?
ここでは下記4つのキャリアパスについて解説します。
- セキュリティエンジニア
- フルスタックエンジニア
- プロジェクトマネージャー
- ITコンサルタント
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアはセキュリティ業務に特化したエンジニアを指します。
具体的にはセキュリティに考慮したシステム設計や構築を行い、未然にサイバー攻撃を防ぐのが大きな役割です。
通常業務においてデータベースに保管してある企業や個人情報を取り扱うバックエンドエンジニアにとって、セキュリティ関連の知識は必要不可欠です。
ですので、セキュリティ関連のスキルを伸ばせば、セキュリティエンジニアを目指すのは難しくないでしょう。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアとは、Web・システム開発の設計から開発、運用保守まですべて一人でこなせるエンジニアを指します。
バックエンドエンジニアがフルスタックエンジニアになるには、フロントエンドの知識と開発経験が必要です。
複数人で開発するプロジェクトをフルスタックエンジニアは一人で担えるため、市場価値が高く、求めている企業も多数あります。
ですので、バックエンドエンジニアよりも高収入が期待できます。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーはチーム全体のマネジメントを行い、プロジェクトを成功に導くマネジメント職です。
現場経験があるバックエンドエンジニアは、よりチームメンバーに寄り添ったマネジメントが可能になります。
具体的には「開発時に起こりうる想定外の事態を考慮し、無理のない範囲でスケジュールを組む」「現場経験を活かした技術的なアドバイスができる」などが一例です。
マネジメントスキルを身に付けると、プロジェクトマネージャーとしての道が切り開けます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、クライアントが抱える企業課題をIT技術やツールを用いて解決に導いていく職種です。
バックエンドエンジニアからキャリアアップすることで、現場経験で身につけた知見を活かした戦略的な提案が可能になります。
マネジメントスキルやコミュニケーション能力、クライアントが属する業界の知識や動向など、求められるスキルや知識は多岐に渡ります。
クライアントの経営課題に直接関わる重大な仕事をやってみたいと考えているなら、ITコンサルタントは魅力的でしょう。
バックエンドエンジニアの将来性は?
結論からお伝えすると、バックエンドエンジニアの将来性は高いと言えます。
年々Webサイト・アプリ市場も拡大しているので、比例してバックエンド開発の需要も伸びていくと予想されています。
しかし、「プラットフォームやAIによる業務自動化が浸透すると、バックエンドエンジニアの業務が奪われるのでは?」と心配になっている人もいるでしょう。
確かに一部の業務は自動化される可能性はありますが、幅広い業務範囲を担当するバックエンドエンジニアの仕事がすべて無くなるとは考えにくいと思われます。
だからといって、現状維持のままで満足しているバックエンドエンジニアは淘汰されていくでしょう。
時代の移り変わりによって、バックエンドエンジニアに求められるスキルや役割も変化していきます。
ですので、時代に合ったスキルを兼ね備え顧客のニーズに応えられるなら、変化する環境の中でも生き残れるバックエンドエンジニアになれるのです。
まとめ
Webサイト・アプリ制作の土台を支える「バックエンド」について解説しました。
バックエンドとはユーザーの目には見えない領域を意味しており、バックエンド開発に携わるエンジニアはバックエンドエンジニアと呼ばれています。
バックエンドエンジニアが使用する言語は、PHP・Python・Ruby・Go言語・JavaScript・Javaがメインです。
どの言語がいいか選べないとお悩みなら、下記を参考にしてみてください。
スタートアップ・ベンチャー企業に就職したいなら、PHP・Python・Ruby・JavaScript。
大規模案件に携わりたいなら、Java。
トレンドの言語を習得したいなら、Go言語がおすすめです。
もしあなたが「幅広いスキルを身につけて多方面で活躍したい」と考えているなら、バックエンドエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか?