Webエンジニアとシステムエンジニアは、共通点が多い一方で違いもあります。Webエンジニアは主にWebアプリケーションやWebサイトの開発に携わります。
一方、システムエンジニアは主にサーバーやネットワークなどのシステム全般を設計・開発・運用することが多いです。
しかし、最近ではWebエンジニアがサーバーサイドの開発を行うことも増えており、システムエンジニアがWebアプリケーションの開発に携わることもあります。
つまり、両者の境界線は曖昧になってきています。
共通点としては、プログラミング能力やシステム全体の設計能力が求められることが挙げられるでしょう。
また、両者ともに技術革新に敏感で、常に最新の技術を取り入れた開発を行っています。
求人情報や企業の特徴を把握し、自身のキャリアプランに合った職種を選択することが大切です。
- 1 Webエンジニアとシステムエンジニアの仕事内容の違い
- 2 Webエンジニアとシステムエンジニアのプロジェクトの違い
- 3 Weエンジニアとシステムエンジニアに必要なスキルの違い
- 4 Weエンジニアとシステムエンジニアの勤務先の違い
- 5 Webエンジニアとシステムエンジニアの年収を比較
- 6 Webエンジニアとシステムエンジニアの違いを将来性から比較
- 7 Webエンジニアとシステムエンジニアに向いている人の違い
- 8 Webエンジニアとシステムエンジニアが感じる苦労の違い
- 9 Webエンジニアとシステムエンジニアならどっちがおすすめ?
- 10 未経験ならどっちが転職しやすい?
- 11 方向性を決めて効率的にキャリアチェンジしよう
- 12 よくある質問
Webエンジニアとシステムエンジニアの仕事内容の違い
企業の求人情報やWebサイトの解説で、同じような仕事内容であるにも関わらずWebエンジニアと記載されていたりシステムエンジニアと記載されていたりします。
その結果、Webエンジニアとシステムエンジニアの違いがよくわからず混乱している方も多いでしょう。
まずは、Webエンジニアとシステムエンジニアの仕事内容の違いを解説します。主に定義上の違いを解説しつつ、実態がどのようになっているかも含めます。
両者の境界線は曖昧になっており、求人情報や企業によって異なることが多いため、実態としての違いや共通点も把握することが重要です。
Webエンジニアの仕事内容
Webエンジニアの仕事内容は、Webシステム開発です。具体的には、Webサイト、ECサイト、Webアプリケーションなどが対象になります。
Webシステムを含むシステム開発では、開発工程が上流工程から下流工程に分けられていることが多いです。
一般的には、上流工程から下流工程に向かってシステム開発が進められていきます。
具体的な作業工程は、簡略化すると概ね以下のようになります。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- プログラミング
- テスト
厳密にいえばテストの工程が細かく分けられたり、他にも細かい工程があったりしますが、ざっくりとは上記のような工程になっています。
そして、Webエンジニアは主にWebシステム開発において要件定義~詳細設計を担当し、プログラミングを行うこともわりと多い、といったイメージです。
まず要件定義とは、顧客とシステムの要件を話し合い決定することです。
どのようなシステムを開発するか、どのような仕様を満たしている必要があるか、予算・人員・開発期間はどの程度か、といったことを決定します。
設計については、基本設計はざっくりとした設計、詳細設計は細かい設計というイメージです。
基本設計はどこでどのような機能を実装するかを日本語でざっくりと記載していき、詳細設計ではソースコードを書き込むレベルで細かく機能要件を記載していきます。
WebエンジニアとWebプログラマーの違いについて詳しくは後述しますが、Webエンジニアが作成した設計をもとに、Webプログラマーがプログラミングしていく流れです。
テストの工程はWebプログラマーが行うこともあれば、テスターと呼ばれるテスト専門の人が行う場合もあります。
定義上も、実態としても仕事の区分けは曖昧な部分が多いです。
システムエンジニアの仕事内容
システムエンジニアの仕事内容は、業務システムの開発です。
業務システムは企業が業務上使用するシステムのことで、対象は幅広いといえます。
そしてここが混乱の原因になっているかもしれませんが、システムエンジニアが対象としているシステムの中には、Webシステムも含まれているのです。
なぜなら、企業が扱っているシステムがWebシステムの場合もあり、結果的にWebエンジニアと類似する仕事をすることもあります。
また開発の流れはWebエンジニアもシステムエンジニアも同じで、担当領域も概ね同じです。
具体的には、要件定義、基本設計、詳細設計がメインで、プログラミングを行うこともあります。
システムエンジニアの場合も同じプロジェクト内にプログラマーがいて、プログラマーがプログラミングやテストを担当することも多いです。
逆にプログラマーという役職が存在せず、システムエンジニアがプログラマーの役割を兼ねているプロジェクトなどもあります。ケースバイケースとお考えください。
Webエンジニアとシステムエンジニアのプロジェクトの違い
Webエンジニアとシステムエンジニアは、両者とも同じエンジニアです。
どちらもプログラミングやシステム開発に携わる職業ですが、対象とするプロジェクトに違いがあります。
WebエンジニアはWebサイトやWebアプリケーションなど、インターネット上で利用されるプログラムの開発を専門的に行います。
一方、システムエンジニアは企業や組織が利用する大規模なシステムやデータベース、オフィスシステムなどを開発することが主な仕事となります。
Webエンジニアは、フロントエンド開発やバックエンド開発、データベース設計やセキュリティ対策などの技術が必要です。
システムエンジニアは、ネットワークやサーバーの設計・構築、プログラム開発、システム構築や運用管理などの技術が必要とされます。
WebエンジニアはWebサイトを主に扱う
WebエンジニアはWebサイト、ECサイト、Webアプリケーションなどを主に扱うと解説しました。
そして、これらの中でもWebエンジニアが メインで扱うのはWebサイトです。
WebアプリケーションやECサイトも扱いますが、市場に存在する数としてはWebサイトの方が圧倒的に多いです。
そのため、Webサイトを扱うことが多いでしょう。Webサイトの開発は、フロントエンドとサーバーサイドに分けられます。
フロントエンドはユーザーの目に触れるデザインや画面の処理、サーバーサイドはサーバー側、つまりユーザーの目に触れない裏側の処理です。
スキルについては後述しますが、Webエンジニアはフロントエンドとサーバーサイドのいずれか、もしくは両方を担当します。
難易度としてはどちらかというとサーバーサイドの方が難しいので、未経験からの転職や経験が浅い場合はフロントエンドから担当するケースが多いでしょう。
システムエンジニアは大規模システムを扱う
システムエンジニアは業務用のシステムを扱うと解説しましたが、業務用のシステムは大規模な場合が多いです。
まとめると、システムエンジニアは業務用の大規模システムを扱うことがほとんどになります。
システムエンジニアもWebエンジニア同様、フロントエンドとサーバーサイドに分ける場合が多いです。
プロジェクトではいずれか、もしくは両方を担当することになるでしょう。
作業工程の話と合わせてまとめると、システムエンジニアはフロントエンドやサーバーサイドの、要件定義、基本設計、詳細設計などを担当することが多く、プログラミングを行う場合もある、ということになります。
区分けがいろいろあって混乱するかもしれませんが、混同しないようご注意ください。
ただし開発現場にプログラマーやテスターといった職種が存在せず、上流工程から下流工程までシステムエンジニアが担当する場合も多いです。
Weエンジニアとシステムエンジニアに必要なスキルの違い
Webエンジニアとシステムエンジニアの業務内容やプロジェクトの違いに加えて、必要なスキルにも違いがあります。
WebエンジニアはWebサイトの構築やフロントエンドの開発など、主にWeb技術に関するスキルが求められます。
一方、システムエンジニアは大規模システムの設計やバックエンドの開発など、より広範な知識が必要です。データベースやネットワークの知識も必要です。
また、システムエンジニアにはプログラミング言語の知識も必要ですが、Webエンジニアほどには重視されません。
どちらのエンジニアにもプロジェクトマネジメントやコミュニケーション能力が求められますが、システムエンジニアはビジネス的な視点も必要とされます。
これらの違いを踏まえた上で、自分の目的に合わせてどちらのエンジニアを目指すか選択することが重要です。
Webエンジニアに必要なスキル
Webエンジニアに必要なスキルはWeb開発のためのスキルです。
具体的には、上でも少し触れましたがフロントエンドとサーバーサイドの開発スキルです。
フロントエンドの開発には、HTML・CSS・JavaScriptなどの言語を使用します。
これらの言語は他の言語に比べて学習難易度が比較的低く、フロントエンドでプログラミングした内容は画面に出力されるので結果が直感的にわかりやすいです。
そのため、まずはフロントエンドのスキルを習得することが多いでしょう。
開発現場でもまずはフロントエンドを担当することが多いです。
サーバーサイドのプログラミング言語は種類が豊富で、PHP、Java、Ruby、Python、Go、Scalaなどいろいろあります。
まだどのようなWebエンジニアになりたいか方針が決まっていない場合、先にフロントエンドのスキルを身に付けつつ、ある程度フロントエンドに慣れたころにサーバーサイドのことについても調べてみるのがおすすめです。
システムエンジニアに必要なスキル
システムエンジニアに必要なスキルも、Webエンジニア同様フロントエンドとサーバーサイドに分けられます。
ただしシステムエンジニアは対象とするシステムの種類が豊富で、プロジェクトに合わせたスキルを身に付けることが重要です。
フロントエンドもサーバーサイドもWebシステムと同じような言語を使っている場合もあれば、C言語やCOBOLなどWebシステムでは使用しないような言語を使用しているケースもあります。
スキルの幅が広いので、まずは自分が参画したいプロジェクトや企業の情報を調べてスキル選定することが必要です。
またシステムエンジニアは工程としては要件定義や設計を担当する場合が多いと解説しましたが、まずはプログラミングスキルが重要になります。
Webエンジニアでもシステムエンジニアでも同じですが、プログラミングスキルがないと要件定義や設計の工程で良い仕事ができないからです。
プログラミングによる実装をイメージしたうえで要件定義や設計を行うことが重要になります。
Weエンジニアとシステムエンジニアの勤務先の違い
Webエンジニアとシステムエンジニアは、勤務先にも違いがあります。
具体的には、Webエンジニアは制作会社が中心ですが、システムエンジニアはSIerで客先常駐という形で他社ビルなどで勤務することが多いです。
つまり勤め先の企業と実際の勤務地が異なるということになります。
そのため、どちらを目指したいかによって企業選定することが必要です。
上で触れた通りシステムエンジニアがWeb開発を行う場合はWebエンジニアともいえるので、勤務先も一部は重複します。
ただし 基本的にはWebエンジニアとシステムエンジニアで住み分けがされているということです。
Webエンジニアは主に制作会社
Webエンジニアが勤務する主な場所は、Webシステムを制作する制作会社です。
制作会社は、企業からWebシステム制作の受注を受けて、Web制作を行うことが多いです。
受注開発に応じることが多いため、その案件に応じたシステム開発に携わります。
ただし、自社のWebシステムを担当するWebエンジニアや、自社でWebコンテンツを制作して配信や販売を行うWebエンジニアも存在します。
近年、Webエンジニアの対象は多様化しており、Webエンジニア自身がWebシステムを開発し、販売する場合もあります。
どのような場合でも、Webエンジニアの立ち回りは基本的に同じです。
Webエンジニアは、Web技術に関する高いスキルを持っており、Webシステムを制作するために必要なプログラムの設計・実装・保守を担当しています。
システムエンジニアは主にSIer
システムエンジニアは主にSIerに勤務します。
SIerは比較的大規模なシステム開発を請け負い、それを下請け企業に流す形で業界が成立している状況です。
構造的には建築業界に近いといえるでしょう。そのため、IT土方と呼ばれることもあります。
顧客に近い上流の企業もSIerで、下請けや孫請けを行っている企業もSIerです。
そのため、ひとことにSIerといっても企業によって担当しているポジションは異なります。
要件定義やマネジメントを中心に行う元請け企業もあれば、プログラミングやテストを中心に行う下請け企業もあるということです。
システムエンジニアという枠組みでプロジェクトに参画しているのに、要件定義や設計よりもプログラミングやテストばかりを担当する、といったケースも珍しくありません。
下請けや孫請けでプロジェクトに参画することが多い企業に在籍していると、下流工程が中心になるということです。
これが悪いというわけではありませんが、実態として知っておいた方が良いでしょう。
またSIer以外にも、自社システムや自社で開発販売するシステムを担当しているシステムエンジニアも存在します。
ただし割合としてはSIerの方が多いです。
特に違いを検討せずに企業を選ぶとSIerに当たる可能性が高いため、SIerを避けたい場合は意識的に避けて別業界に所属するシステムエンジニアの仕事を探す必要があります。
Webエンジニアとシステムエンジニアの年収を比較
Webエンジニアとシステムエンジニアの年収を比較する場合、統計の出所によって平均年収は異なります。
そのため、Webエンジニアとシステムエンジニアの年収差を正確に知りたい場合は、同じ出所からのデータを比較することが必要です。
今回は、求人ボックス給料ナビのデータを使用しています。
ただし、数字はあくまでも平均値で、個人のスキルや経験によって差が生じます。
また、業種や勤務地、勤続年数などによっても年収に差が出るため、単純にWebエンジニアとシステムエンジニアを比較するだけではなく、より詳細な条件で比較する必要があります。
Webエンジニアの平均年収
求人ボックス給料ナビによると、Webエンジニアの平均年収は555万円です。
日本の職業全体の平均年収と比較すると高めといえるでしょう。
求人ボックスではいろいろな職業の平均年収を紹介していますが、求人ボックスのデータによると300万円台が多いです。
Webエンジニアは専門的なスキルが必要なことや、労働時間が比較的長いことによって平均年収が上がっていると推測できます。
とはいえこれはあくまでも平均的な数字です。
Webエンジニアはスキルによる年収差が大きい職業なので、スキルの高いWebエンジニアは年収1,000万円を超えるようなケースも珍しくありません。
詳しくは後述しますが、フリーランスになってこなした案件に応じて高い年収を得ているWebエンジニアなども多数存在します。
システムエンジニアの平均年収
求人ボックス給料ナビによると、システムエンジニアの平均年収は509万円です。
Webエンジニアと比較すると、システムエンジニアの方が平均年収は低いといえるでしょう。
システムエンジニアの平均年収がWebエンジニアよりも低い理由としては、上でご紹介したSIerの構造が原因と考えられます。
下請け企業のシステムエンジニアは中抜きで多くお金を取られているため、 労働内容の割には給与が低い状況です。
逆に上流工程のシステムエンジニアは労働内容の割には高い給与を得ている可能性もありますが、トータルで見ると下請け企業のシステムエンジニアの方が多いため平均年収は低くなると考えられます。
ただしシステムエンジニアもWebエンジニア同様、スキルによって年収に差が出てきます。
優秀なエンジニアは高い年収で採用されることが多いでしょう。
Webエンジニアとシステムエンジニアの違いを将来性から比較
Webエンジニアとシステムエンジニアの将来性については、IT業界のトレンドや需要の変化によって影響を受けるでしょう。
一般的に、Webエンジニアの需要は今後も高まると予測されています。
ビジネスのデジタル化が進んでおり、Webサイトやアプリケーションの需要が増えることが背景にあるからです。
また、SNSの普及によって、Webサイトやアプリケーションの利用者数も増加傾向にあります。
一方、システムエンジニアは、今後ますます複雑化するシステムを設計・構築する需要があるとの予測です。
特に、IoTやAIの普及によって、システムエンジニアの役割がますます重要になっていくとされています。
そのため、どちらの分野も将来性が高いと言えますが、求められるスキルや技術は変化していく見通しです。
しかしシステムエンジニアには懸念点もあるので、その点はご注意ください。
Webエンジニアの将来性
Webエンジニアは将来性のある職種といわれることが多いです。
Webの需要は今後も続く可能性が高く、Webエンジニアの需要も続くと考えられるからです。
ただし、Webエンジニアの仕事の一部はAIで代替されるともいわれています。これについてはある程度事実でしょう。
とはいえWebエンジニアの仕事のすべてをAIで代替することは不可能で、またAIが普及するからこそAIを活用してサービスを生み出すWebエンジニアにさらなる需要が生まれるとも考えられます。
Webの需要は続き、市場が変化してもWebエンジニアは新たなスキルを獲得すれば生き残れるということです。
またユーザーがWebサイトからSNSに移行しているといった意見もありますが、SNSからWebサイトにリンクして詳しい情報を見るといった形で、相乗効果のあるツールです。
システムエンジニアの将来性
システムエンジニアもWebエンジニア同様、市場の変化に合わせてスキルを変化させれば生き残れる可能性が高いでしょう。
しかし、システムエンジニアにはWebエンジニアと異なる事情があります。
それは、システムエンジニアが多く在籍しているSIerが問題視されているということです。
上で解説した通りSIerは多重請負構造になっていて、法的にもグレーゾーンになります。
多重請負構造は法的にグレーゾーンですが、官公庁などの大規模システムの開発をSIerに依頼しているため、簡単にSIerを解体するのは難しいといった状況です。
今後SIerが解体され、Webエンジニアが在籍する制作会社を含めて開発の依頼先が分散されていくという見方もあります。
システムエンジニア自体の将来性がないというわけではありませんが、 SIerの将来性には不安な面が多いでしょう。
Webエンジニアとシステムエンジニアに向いている人の違い
Webエンジニアは主にWebサイトやWebアプリケーションの開発に携わり、クライアントと直接やりとりをしながら、要件定義から開発・テスト・納品までのプロセスを担当します。
一方、システムエンジニアは、Webエンジニアよりも広範囲で業務を行います。
システムエンジニアは、ネットワークシステム、データベースシステム、サーバシステムなど、ITシステム全体の設計・構築・運用・保守を行います。
このような違いから、Webエンジニアはデザインやコーディングに長けている人、クリエイティブな人に向いているといわれます。
一方システムエンジニアは、論理的思考力に優れた人、問題解決に長けている人に向いているとされるのです。
ただし、最近では両方のスキルを兼ね備えたフルスタックエンジニアも求められるようになっており、優れたエンジニアとなるためには、幅広いスキルを磨くことが求められています。
Webエンジニアに向いている人
具体的な技術としてはWebエンジニアはデザインやコーディングが重要ですが、これについては今後変化する可能性もあります。
AIの台頭によってエンジニア全般の業務は変わってくるでしょう。そのため、より普遍的な観点からWebエンジニアに向いている人の特徴を挙げます。
- 新しい技術への関心が強い
- 独学の意欲が高い
- 個人で実際に手を動かしてプログラミングするのが好き
Webエンジニアに向いている人の特徴として、以上のようなものが挙げられるでしょう。
Web業界は技術の変化が激しく、パソコン一台で開発ができます。
つまり新しい技術を積極的に学び、実際に手を動かしている人が伸びていくということです。
逆にいえば、積極的に学習しない人は市場に置いていかれる可能性が高いでしょう。そして学習は一時的ではなく、継続することが求められます。
システムエンジニアに向いている人
システムエンジニアの仕事は、Webエンジニアに比べれば市場の変化が遅く、また個人で学習しにくい環境です。
企業の業務システムはある程度固定されていて、どんどん入れ替えるというよりは改修をしつつ概ね現状維持している場合が多いでしょう。
システムエンジニアにとっても学習意欲は必要ですが、Webエンジニアと比較すると、常に市場の変化に合わせて勉強しないと取り残されるということはないはずです。
現在参画しているプロジェクトの仕事に慣れていけば、あとは慣れている仕事を繰り返す形でも日々の業務をこなしていくことは可能でしょう。
ただし、プログラミングなど技術的な仕事以外に事務作業やクライアントとの調整業務などを行うケースも多いです。
そのため、資料整理や基本的なコミュニケーション業務などはWebエンジニアよりも多くなる可能性があります。
言い換えれば、一般的な社会人としての能力はWebエンジニアよりもシステムエンジニアの方が強く求められる可能性があります。
Webエンジニアとシステムエンジニアが感じる苦労の違い
Webエンジニアとシステムエンジニアが抱える苦労には、それぞれ違いがあります。
Webエンジニアが抱える主な苦労は、デザインやマーケティングの知識が必要であること、進化が早く常に最新技術を追いかけなければならないこと、ブラウザの違いによる互換性問題があることなどが挙げられます。
一方、システムエンジニアが抱える主な苦労は、膨大な量のコードを扱う必要があること、セキュリティ対策が必要であること、バグの発生やトラブル対応が必要であることなどが挙げられます。
どちらのエンジニアも、専門的な知識と技術を持ち、日々の業務において新しい課題に直面し、それを解決していくことが求められます。
Webエンジニアの苦労
上では現状の具体的な苦労を挙げましたが、ここではより普遍的な観点でWebエンジニアの苦労を挙げます。
具体的な技術は今後変わっていく可能性が高いですが、以下のような普遍的な部分は技術が変化しても同じだからです。
- 学習し続けなければならない
- 優秀なWebエンジニアと比較される
上でもご紹介した通り、Web業界は技術の変化が激しく、また勉強しやすいという点から勉強しないとかえって差がついてしまうということがあります。
Web技術が好きで勉強を続ける優秀なWebエンジニアもいるので、どうしても比較もされるでしょう。
優秀なエンジニアに仕事が集中する傾向もあるため、使えないWebエンジニアという烙印を押されると仕事を続けにくくなります。
事実、優秀なWebエンジニアと自分を比較して辞めてしまうWebエンジニアも多いようです。
学習しやすい環境というのは、逆にいえば学習しないと差を付けられてしまうという大変さもあるということです。
システムエンジニアの苦労
システムエンジニアもWebエンジニアと同じような苦労は多かれ少なかれあるでしょう。
しかしシステムエンジニアが在籍している業界は比較的技術の変化が遅く、また個人で学習しにくい環境であることから常に勉強することまでは求められない場合が多いです。
しかし、以下のようなシステムエンジニアならではの苦労もあります。
- 業界がいつまで続くかわからなくて不安
- 労働の割に給与が低い
- 同じことの繰り返しになりがちで苦痛
- セキュリティやバグなどにより強い責任感が求められる
まずSIerの将来性について上でご説明した通り、渦中にいるシステムエンジニアは不安を感じている人が多いでしょう。
下請け企業に在籍しているシステムエンジニアは、待遇面でも不満を感じているケースが多いです。
そして技術の変化が少ないということは、同じような仕事の繰り返しになりやすいということでもあります。
またSIerは業務の役割分担が進んでいることが多いです。
たとえば同じプログラミングの工程でもパーツごとに役割が分担されていて、特定のパーツの専門家のような扱いをされるということになります。
プロジェクト全体を円滑に進めることを優先すると、エンジニア一人一人もパーツのように扱った方が効率的ということです。
新しいことを学んで新しい技術を試していきたいエンジニアには、システムエンジニアの労働環境は苦痛かもしれません。
また業務システムはバグが許されにくく、厳しくチェックする事務的な作業が求められます。
Webエンジニアとシステムエンジニアならどっちがおすすめ?
Webエンジニアとシステムエンジニアは、それぞれに得意分野があります。
WebエンジニアはWebサイトやWebアプリケーションの開発が得意であり、システムエンジニアはシステム全体の開発・構築が得意です。
そのため、どちらのエンジニアに向いているかは、その人の興味や得意分野によって異なります。
たとえば、Webデザインやマーケティングに興味がある人は、Webエンジニアに向いているかもしれません。
一方、ネットワークやセキュリティに興味がある人は、システムエンジニアに向いている可能性が高いでしょう。
また、プログラミングスキルや経験によっても適性は異なります。
スキルを磨き続けたいならWebエンジニア
Webエンジニアが在籍しているWeb業界は技術の変化が早く、学習し続けているWebエンジニアは市場で高く評価されるということでした。
つまり、スキルを磨き続けたい人にはWebエンジニアが向いているということです。
またWebシステムはパソコンがあれば実際にプログラムを書いて実行することができるので、その点でもスキルを磨き続けやすい環境になります。
また単純にWebサイト、Webアプリ、ECサイトに関心があり、これらのサービスを構築していきたい人にもWebエンジニアは合っています。
抽象的な適正で考えていくことももちろん重要ですが、具体的に興味のある技術が決まっているのであれば、技術を主軸に考えるのがおすすめです。
Webエンジニアになった後に技術が大きく変化していく可能性も高いですが、大枠でのWebという点は変わらないでしょう。
市場の変化に合わせてWeb技術を取得し続けたいならWebエンジニアが合っています。
より上流工程に携わるならシステムエンジニア
システムエンジニアは下請け企業だと待遇があまり良くなく、下流工程の仕事が中心です。
しかし、元請け企業に入社すれば上流工程の仕事が中心になります。
そのため、 上流工程に携わりたい場合はシステムエンジニアの方がおすすめといえるでしょう。
Webエンジニアも上流工程を担う場合は多いですが、基本的にWebエンジニアは上流工程から下流工程まで幅広く担当します。
上流工程に特化したい場合、システムエンジニアとして元請け企業に就職するのが最善です。
最初は入社しやすい下請けのSIerに入社し、そこでスキルを身に付けて元請けのSIerに転職するといったキャリアアップ方法もあります。
ただし、下流工程のシステムエンジニアはスキルが身に付かない、あまり良い経験が積めない、というわけではありません。
未経験からプログラミングスキルを身に付けていく環境としては優れています。
労働環境に厳しい面もあるため、下流工程でスキルを身に付け、上流工程に向かっていくルートが効率的ということです。
未経験ならどっちが転職しやすい?
未経験から転職する場合、システムエンジニアの方が転職しやすいです。
システムエンジニアの方が未経験者への間口が広く、逆にWebエンジニアは経験者でないと難しい場合が多いでしょう。
特にSIerは必要なエンジニア数が多く、スキルのあるエンジニアは避ける傾向があります。
結果的に、未経験の人も採用していかないと人手不足を解消できないということです。
ただし、未経験からシステムエンジニアとして就職できる企業はSIerの下流工程の企業が多いです。
SIerの下流工程でシステムエンジニアとしての経験を積んだ後、SIerの上流工程を目指すルートや、Webエンジニアを目指すルートがあります。
実際にやってみなければわからないことも多いかもしれませんが、長期的な視点を持っておくのもおすすめです。
方向性を決めて効率的にキャリアチェンジしよう
Webエンジニアとシステムエンジニアのどちらを選択するかは、その人の方向性次第です。
たとえば今後どんどんスキルを身に付けて稼いでいきたい方はWebエンジニア、上流工程を目指してマネジメントスキルなどを身に付けていきたい方はシステムエンジニア、といった考え方になります。
ただしどちらのエンジニアも就職する企業によって違いがあり、また共通する部分も多いです。
システムエンジニアの場合は、就職するだけでは今後が不安ということもあるでしょう。
未経験からシステムエンジニアとして就職し、その後Webエンジニアへの転職を目指すといった戦略もあります。
実際に働いてみれば考え方が変わる可能性も高いですが、いったんはキャリアの方向性を決めてからキャリアチェンジするのがおすすめです。
よくある質問
次にWebエンジニアについてよくある質問とその回答をご紹介します。
上でも触れてきた内容ですが、改めて質問と回答の形式でのご紹介です。
現時点で特に疑問を持っていない方も、事前によくある質問と回答を把握しておくことで合理的な選択がしやすくなるかもしれません。
多くの方が疑問に感じていることは、ぜひ把握しておいてください。
Webエンジニアとプログラマーの違いはなんですか?
WebエンジニアはWebシステムの要件定義や設計を担当することが多いとされています。
一方で、プログラマーはプログラミングやテストを担当することが多いです。
ただしこれらの説明は一面的なので、もう少し現場感覚や細分化した情報をもとに解説します。
まずWeb業界は一人が担当する工程が幅広い傾向があり、Webエンジニアは要件定義からテストまですべて担当するケースが多いです。
そのため、Webエンジニアはプログラマーが担当するとされているプログラミングやテストも行うことが多いということになります。
次に、ひとことにプログラマーといっても対象とするシステムは様々です。
たとえばWebプログラマーといえばWebエンジニア同様、Webシステムを担当していると考えられるでしょう。
ただし上でご説明した通り、WebエンジニアとWebプログラマーは実態としてそこまで業務の区分けはされていません。
またシステムエンジニアが在籍しているようなSIerでもプログラマーという役職があり、主にプログラミングやテストを担当しています。
SIerではWeb業界と比べると業務の区分けがはっきりしていますが、それでもプログラマーが要件定義や設計を担当するようなケースも多いです。
一応定義上の違いはあるものの、実態としてはケースバイケースとお考えください。
Webエンジニアとプログラマーの違いは以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
オンラインサービスの普及とデジタル化が進んだことにより、プログラミングに関連する職種の需要は高く、Web業界で働きたい人は増加している傾向にあります。 あなたも、Web業界に転職をしたくて行動している人の一人ではないでしょうか? […]
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Webエンジニアはやめとけと言われるのはなぜですか?
Webエンジニアはやめとけと言われることがありますが、この理由は複数あります。
もっとも大きい理由としては、大変だからということでしょう。
Webエンジニアはスキルを身に付けることで稼げる職種で、スキルアップし続ければどんどん市場価値は上がっていきます。
ただし一時的に市場価値が高まっても、勉強をやめれば市場に取り残される可能性が高いです。つまり勉強し続ける大変さがあります。
Webエンジニアとして就職してから一定期間は、モチベーションを維持できるかもしれません。
しかし、長年Webエンジニアとして働いていると、プライベートの優先度が高まることなどにより学習意欲が薄れていく可能性もあるでしょう。
Webエンジニアとして働き続ける限り、学習を辞めるという選択肢は難しいです。
ただし、一定期間Webエンジニアとしてスキルを身に付けた後に、マネジメント側やコンサルタントになるといった選択肢はあります。
Webエンジニアを一生続けることは大変かもしれませんが、Webエンジニアとしてスキルを身に付ければキャリアアップの選択肢が出てくるのです。
Webエンジニアには大変さもありますが、キャリアアップの選択肢まで考えるとWebエンジニアになったら一生大変なままということにはなりません。