PHPはWebアプリ開発を中心に幅広い分野で採用されるうえ、学習難易度も低いためプログラミング未経験者から人気を集めている言語です。
しかし、PHPは知っているけど「PHPエンジニアがどんな職業か具体的にイメージできない」と感じている人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では「PHPエンジニアの具体的な仕事内容は?」「PHPエンジニアってどのくらい稼げるの?」「PHPエンジニアの将来性が気になる」といった疑問や悩みを解決していきます。
今回は大きく分けて6つのテーマについて解説します。
- PHPエンジニアの仕事内容
- PHPエンジニアに求められるスキル
- PHPエンジニアの将来性と需要
- PHPエンジニアの年収
- 未経験からPHPエンジニアになるためのロードマップ
- 未経験からPHPエンジニアに転職する方法
最後まで読めばPHPエンジニアに対する理解が深まり、未経験でもPHPエンジニアに転職する方法が分かります。
PHPエンジニアの仕事内容
PHPはWebアプリやWebサイトの開発、業務システムやゲーム開発などで使われています。
それでは具体的な仕事内容をひとつずつ見ていきましょう。
Web開発
PHPエンジニアが携わる案件の中で大半を占めているのが、WebアプリやWebサイトといったWeb開発です。
有名なWeb開発の事例として、下記サービスが挙げられます。
- インターネット百科事典「Wikipedia」
- SNS管理サービス「Hootsuite」
- レストラン予約サイト「ぐるなび」
- スキルシェアサービス「ココナラ」
- ECサイト専用CMS「EC-CUBE」
PHPはWebサイトやECサイト、SNSなど幅広いジャンルで採用されています。
業務システム開発
PHPは社内で使う業務システム開発でたびたび使用されています。
具体例として、営業なら売上・スケジュール・顧客管理、人事なら従業員の勤怠・給与等を業務システムで管理します。
具体例で挙げた情報はExcelでも管理可能です。
ただ、データが膨大になるとExcelが不具合を起こしやすくなるので、業務に支障を出さないためにPHPとデータベースを使って業務システムを構築するケースが多々あります。
ゲーム開発
PHPは、不特定多数の人と楽しめるオンライン型ソーシャルゲームの開発で使用されています。
1点注意してほしいのが、PHPエンジニアが携わるのはゲーム本体の開発よりもデータ処理をするサーバー側のプログラム作成が主な仕事です。
企業によってはPHPエンジニアでもゲーム本体の開発に携われる場合もありますが、案件数はあまり多くありません。
もし、ゲーム本体の開発をメインで行いたい場合はC#やC++、Javaの知識が必要になります。
PHPエンジニアに求められるスキル
PHPエンジニアとして働くためには、PHPでプログラミングが書けること以外にも幅広いスキルが必要です。
ここでは、PHPエンジニアを目指すなら必ず身につけておきたいスキル4つを下記の順番で解説します。
- PHPのスキル(オブジェクト指向)
- HTML・CSS・JavaScriptのスキル
- PHPフレームワークのスキル
- サーバーやクラウド、データベースの知識
PHPのスキル(オブジェクト指向)
PHPエンジニアに求められるのは、オブジェクト指向を意識したプログラミングができることです。
オブジェクト指向とは、オブジェクト(モノ)単位でシステムを作る考え方を指します。
万が一オブジェクト指向を取り入れずに自己流でプログラミングすると、ソースコードが冗長化し保守性が著しく低下するといったデメリットが生じます。
オブジェクト指向の考え方はプログラミング経験を通して少しずつ身につくので、PHPを書き続けることがオブジェクト指向を習得する近道です。
HTML・CSS・JavaScriptのスキル
PHPはWebアプリやWebサイト開発に用いられることが多いため、Web開発に必要なHTMLとCSS、JavaScriptのスキルは必要不可欠です。
簡単にHTML・CSS・JavaScriptについて説明します。
HTMLはWebサイトに表示する文字や画像などを指定し、ページの基本構造を作るための言語です。
CSSはWebサイトの文字サイズや色、背景色やレイアウトといった見た目を設定する言語になります。
最後にJavaScriptはWebサイトに動きを加えたり、PHPと同様にサーバーサイドの処理を行う言語です。
また、携わる案件によってはjQuery・React.jsといったJavaScriptライブラリを扱う場合があります。
PHPフレームワークのスキル
PHPを使ったWebアプリ開発では、作業の効率化を図るためにフレームワークを利用するケースがほとんどです。
フレームワークとは、必要な機能(プログラム)をまとめた骨組みを指します。
PHPフレームワークとして有名なのが、Laravel・CakePHP・Symfonyです。
また、開発するWebアプリによって使用するPHPフレームワークは異なります。
PHPエンジニアとして多種多様なジャンルのWebアプリ開発に携わりたいなら、幅広いフレームワークの知識が必要になります。
サーバーやクラウド、データベースの知識
PHPエンジニアはプログラミング言語だけでなく、サーバーやデータベースの知識が必要です。
サーバーとはパソコンやスマホ、タブレットなどの端末にネットワークを介して情報を提供するコンピューターを指します。
一方データベースとは、管理されたデータの集まりのことです。
ちなみに、サーバー構築でクラウドコンピューティングサービスを利用する開発現場が増えています。
クラウドコンピューティングとは、クラウド環境(インターネット環境)で提供されるコンピューティングサービス(サーバー・データーベース・ネットワークなど含む)を指します。
代表的なクラウドコンピューティングサービスとして、AWS(アマゾン ウェブ サービス)が挙げられます。
PHPエンジニアは、ユーザーから見えないサーバーサイド処理のプログラム開発に携わることが多いので、サーバー・データベース・クラウド(AWSなど)も扱えるようにしておきましょう。
PHPエンジニアの需要と将来性は高い!
タイトルにある通り、PHPエンジニアは需要が高く将来性のある職業です。
なぜPHPエンジニアの将来が明るいのか、PHPエンジニアの求人数とPHPのシェア率の側面から解説していきます。
求人数が多い
転職・求人サイトのGreenで「PHPエンジニア」と検索してみると、4,989件の求人がヒットしました。
他の人気言語であるJava・Python・Rubyで検索してみると、下記のような結果になります。
Java | 5,613件 |
PHP | 4,989件 |
Python | 4,377件 |
Ruby | 3,144件 |
参考:Green
以上のデータから、数あるプログラミング言語の中でもPHPの需要は高いことが分かります。
また、求人数が多いということはPHPエンジニアが不足していると言い換えられます。
とは言っても、需要があるのはスキルがあるPHPエンジニアです。
「スキルがある」と言うのは開発経験が豊富だったり、上流工程の経験があったりなど、PHPを扱える以外のスキルを持っている人材を指します。
PHPエンジニアとして活躍し続けるためには、マネジメントスキルやPHPフレームワークを扱えるスキルなど、プラスアルファのスキルを身につける必要があります。
Webサイトのサーバーサイドシェア率の8割はPHP
Q-Success社によると、Webサイトのサーバーサイドを開発する言語として最も利用されているのはPHP(シェア率77.5%)だと発表しました。
Rubyは5.7%、Javaは4.2%なので、PHPのシェア率がどれだけ高い数字なのか分かっていただけたかと思います。
参考:w3Techs
多くのWebサイトがPHPで開発されているということは、既存サービスの運用・保守案件が豊富にあると言い換えられます。
既存サービスが運用を続ける限り、PHPの需要は一定数保たれるということです。
また、PHPは世界中で使われているWordPressの開発言語です。
Q-Success社は、インターネット上のWebサイトの約43%がWordPressを使用していると明らかにしました。
続いてJoomlaは2.6%、Drupalは1.7%を占めており、WordPressの普及率が圧倒的だと分かります。
WordPressno市場全体のシェア率は8年連続で1〜4%増加しており、今後も伸びていくことが予想されます。
以上のデータから、WordPressの使用率が急速に衰えることは考えにくいので、今後もPHPの需要がなくなることはないでしょう。
参考:WordPressの市場シェア
PHPエンジニアの年収相場
indeedによると、PHPエンジニアの平均年収は586万円だと分かりました。
PHPエンジニアの年収が多いのか少ないのか比較するために、他のITエンジニアの年収を見てみましょう。
Rubyエンジニア | 685万円 |
サーバーサイドエンジニア | 615万円 |
PHPエンジニア | 586万円 |
Webエンジニア | 519万円 |
アプリケーションエンジニア | 456万円 |
フロントエンドエンジニア | 368万円 |
参考:indeed(2022年8月4日時点)
以上より、PHPエンジニアはITエンジニアの中でも平均的な年収だと言えます。
また他のITエンジニアと同様に、PHPエンジニアもフリーランスの方が高収入を得られやすくなります。
フリーランススタートのデータを見てみると、PHPエンジニアの月額平均単価は63.5万円で年収に換算すると760万円です。
参考:フリーランススタート(2022年8月時点)
高単価案件ではPHPのスキルだけでなく「プロジェクトマネジメント経験」「3年以上の開発経験」「ドキュメント成果物の作成経験」などが求められます。
PHPエンジニアとして高い年収を得るには上記のような経験や実績、スキルが必要です。
未経験からPHPを学ぶためのロードマップ
PHPエンジニアの必要なスキルを効率よく学ぶには、正しい順番で学習を進める必要があります。
下記の順番に沿って解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
- HTML・CSS・JavaScriptを習得する
- PHPの基礎を学ぶ
- データベースを学ぶ
- 開発環境を構築する
- フレームワークを学ぶ
- Webアプリを作る
1.HTML・CSS・JavaScriptを習得する
まずは、Webサイトやアプリ開発に必要なHTML・CSS・JavaScriptを習得します。
HTML・CSS・JavaScriptを使ってWebサイトやアプリ画面を制作するフロントエンドエンジニアのように、完璧に使いこなす必要はありません。
しかし、書かれているソースコードがどういった動きをしているのか分かるレベルまで理解を深めておくことが大切です。
2.PHPの基礎文法を学ぶ
変数・条件分岐・ループ処理・関数・クラスといった必要最低限の基礎文法を学んでいきます。
おすすめの学習方法はProgateやPaizaラーニング、Udemyなどの学習サイトを使って、手を動かしながら学ぶことです。
基礎文法が理解出来ていないとプログラムが組めないので、しっかりとPHPの基礎を体に染み込ませましょう。
PHPについてのより詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
関連記事:PHPはどんなプログラミング言語?未経験者おすすめの書籍と学習サイトを一挙公開
3.データベースを学ぶ
PHPはデータベースにデータを保存したり引っ張ってきたりと、データベースの処理を実行するために使われる言語です。
データベースはさまざまな種類がありますが、その中でもMySQLの勉強をおすすめします。
MySQLはWebサイトでよく使われているWordPressのデータベースなので、MySQLを勉強すればWordPressの仕組みを理解することに繋がります。
4.開発環境を構築する
PHPを学習する際に必要なのが、PHPを動かすための開発環境です。
しかし初心者にとって、開発環境構築はつまずきやすいポイントになります。
そこで今回は、誰でも簡単に開発環境が作れるDocker(ドッカー)をご紹介します。
Dockerとは、コンテナを使ってアプリ開発やリリース作業(デプロイ)を簡単に行う仕組みのことです。
アプリケーション実行に必要なファイルや実行環境をひとまとめにした「箱」がDockerだと覚えておきましょう。
早速、こちらからDockerをダウンロードしてみましょう。
Macの場合、CPUがInterlかAppleかでダウンロードファイルが異なるので注意してください。
以上でDockerのインストールは完了になります。
Dockerの詳しい環境構築方法は下記の動画を参考にしてみてください。
引用:【2021年最新】Docker環境構築入門|14分でdocker-composeまで完全解説!【windows/mac対応】Dockerの使い方
5.フレームワークを学ぶ
PHPフレームワークの中で1番おすすめなのがLaravel(ララベル)です。
Laravelは記述量が少ないため学習コストが低く、未経験者でも使いやすいフレームワークです。
また、Laravelは多くのユーザーに利用されているため、ネット上にも多くの情報が公開されています。
PHPフレームワークを使ったことがない人は、Laravelを用いた開発から始めてみてください。
6.Webアプリを作ってみる
今まで学習してきた知識をフル活用し、実際にWebアプリを作ってみます。
お問い合わせフォームや掲示板、ToDOリストなどPHPで開発できるWebアプリはさまざまです。
まずは簡単なWebアプリから開発し、徐々に難易度を上げていきます。
作成したWebアプリは、転職活動の際に企業にスキルをアピールできる材料としてポートフォリオ(作品集)にまとめておきましょう。
未経験からPHPエンジニアに転職する方法
PHPが初心者向けの言語とお伝えしてきましたが、本当にプログラミング未経験者でも転職することは出来るのでしょうか?
ここでは未経験からPHPエンジニアに転職する方法を3つお伝えするので、自分に合った手段を取り入れてみてください。
未経験可の求人に応募する
dodaやGreenといった求人サイトには、PHPエンジニア未経験でも応募できる求人が多数掲載されています。
dodaでは121件、Greenでは1141件の未経験向け求人が見つかりました。
先述した通りPHPは需要が高いもののエンジニアが不足しているため、自社で未経験者を教育する企業が増えています。
ですので、PythonやRubyなどの他言語と比べてPHPエンジニアの求人は、比較的探しやすくなります。
とは言っても、経験者向け求人より遥かに未経験者向け求人数は少ないので、求人サイトは複数活用しましょう。
転職エージェントを活用する
求人サイトでもPHPエンジニア向けの求人は見つかりますが、「求人を探すのが面倒」「提出書類の添削や面接対策をしてほしい」と思っている人もいるかと思います。
少しでも転職にかかる時間や手間を省きたい場合は、転職エージェントの利用を検討してみてください。
転職エージェントが独自で持っている求人の紹介や、ネットには載っていない企業の内部事情を教えてくれるなど、転職エージェントを活用するとより自分の希望にあった企業と出会えるかもしれません。
レベテックキャリアやマイナビIT AGENT、paiza転職などエンジニア転職に強いエージェントは多数あり、サービスによって特色も持っている求人内容もまったく異なります。
ほとんどの転職エージェントは無料で使えるので、気になる転職エージェントが見つかったら実際に話を聞いてみてください。
プログラミングスクールを活用する
「独学でPHPの勉強ができるか不安」「学習から転職までトータルでサポートしてほしい」と考えているなら、プログラミングスクールの活用がおすすめです。
プログラミングスクールはプロの講師が直接指導してくれるので、実務で使えるスキルや知識が身につきます。
また、分からないことが出てきてもすぐに相談できる環境が整っているので、効率的に学習が進められるのもプログラミングスクールの魅力です。
多くのプログラミングスクールは転職支援にも力を入れています。
求人紹介はもちろん、提出書類・ポートフォリオの添削や面接対策など、転職エージェントと似たサービスを提供しています。
しかし、転職支援の内容はプログラミングスクールによって異なるので、必ず事前にチェックしておきましょう。
DMM WEBCAMPやTechAcademyなどPHPを教えているスクールは多数あるので、料金や通い方、転職支援の内容なども考慮して無理なく続けられるスクールを探してみてください。
未経験向けのおすすめプログラミングスクールは以下の記事でまとめています。
どれも転職に強いプログラミングスクールですので、きっとエンジニア転職を叶えられるでしょう。
関連記事:未経験からエンジニアに!転職に強いおすすめのプログラミングスクール3選!
まとめ
PHPエンジニアの仕事内容や年収、将来性について紹介しました。
PHPはWeb開発を中心に、業務システムやゲーム開発分野で採用されている言語です。
また、Webサイトのサーバーサイドシェア率の80%がPHPだったり、人気言語のPythonやRubyよりも求人数が多かったりと、PHPは需要が高く将来性のある言語だと言えます。
PHPは学習コストが低いため「IT業界で働きたいけどプログラミング経験がない」と考えているあなたに向いています。
今回紹介した学習ロードマップを参考に、PHPエンジニアに必要なスキルを身につけてみてください。
もし、独学でつまずいてしまった場合はプログラミングスクールを活用し、PHPエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか?