初心者でも学びやすく、人気が高いプログラミング言語の一つである「PHP」。
しかし、「どうしてPHPが人気なのか分からない」と考えているプログラミング未経験者も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では「PHPはどんな言語なの?」「PHPが初心者向けと言われる理由が知りたい」「PHPの学習方法が知りたい」といった疑問やお悩みを解決します。
今回は大きく分けて4つのテーマについて紹介していきます。
- PHPの特徴
- PHPでできること
- PHPの将来性
- PHPの勉強方法
最後まで読めばPHPの理解が深まり、どのように学習すれば良いか明確になりますので、ぜひ参考にしてみてください。
PHPとは?
PHPとは動的ページを作ることができるサーバーサイドのスクリプト言語です。
MySQLと呼ばれるデータベースと簡単に連携できるので、WordPressを筆頭にさまざまなWebアプリ開発で使用されています。
簡単に、上記に出てきた「動的ページ」「サーバーサイド」「スクリプト言語」について紹介します。
PHPを理解する上で押さえておきたい用語なので、しっかり把握しておきましょう。
動的ページとは、Webサイトにアクセスしたときの状況に応じて表示される内容が異なるWebページを指します。
ユーザーが投稿することで内容が変わる口コミサイトやブログ、ECサイトなどが一例です。
次にサーバーサイドとは、Webサーバー側でデータ管理をしたりプログラムを実行することです。
サーバーサイドで動くプログラミング言語はPHP以外にも、Ruby・Python・Javaなどが該当します。
最後にスクリプト言語とは、ソースコードの記述や実行処理が比較的簡単に行えるプログラミング言語のことです。
ちなみにJavaScript・Python・Rubyもスクリプト言語と呼ばれており、PHPと同じくらい習得しやすい言語になります。
PHPの特徴
世界中のエンジニアから利用されているPHPですが、特にプログラミング初心者から絶大な人気を誇ります。
なぜ、数あるプログラミング言語の中でもPHPは初心者から注目されているのでしょうか?
ここでは下記3点の側面からPHPの特徴について解説します。
- シンプルな構文
- 充実したフレームワーク
- 学習コストが低い
シンプルな構文
PHPの構文は比較的シンプルで、プログラミング初心者でも理解しやすくなっています。
どのくらい分かりやすいのか、実際にPHPのコードを見てみましょう。
具体例として、PHPで「Hello World」と表示するソースコードを書いてみます。
ちなみに他の言語で書くと、
public static void main(String[] args) {
System.out.println(“Hello World”);
}
}
printf(“Hello World”);
return 0;
}
ご覧の通り、PHPがいかにシンプルで記述量も少なく済むかが分かると思います。
PHPのシンプルさはエラーが発生したときの修正箇所の特定がしやすいというメリットにつながり、初心者にとって嬉しいポイントと言えます。
充実したフレームワーク
PHPはフレームワークが充実しているため、Webアプリ開発を効率的に進められます。
フレームワークとは、必要な機能(プログラム)をまとめた骨組みのことです。
有名なPHPフレームワークをいくつかご紹介します。
- Laravel
- CakePHP
- Symfony
- FuelPHP
- Phalcon
中でも、Web開発者の中で最も人気のフレームワークはLaravel(ララベル)です。
参考:PHPの市場シェア 2022年版
Laravelは記述量が少ないため学習コストが低く、初心者でも扱いやすいフレームワークです。
PHPフレームワークを使ったことがない人は、まずLaravelを使って開発してみることをおすすめします。
学習コストが低い
PHPはシンプルな構文、かつPHPにまつわる情報がネット上に多数あるので学習コストが低いプログラミング言語です。
情報が多いということは、つまりソースコードのサンプルやPHPの記述方法を容易に知ることができるため効率的に学習が進められます。
またプログラミングを学習していると、必ずと言っていいほどエラーが発生します。
プログラミング初心者にとってエラー原因を特定し、解決するのは難しいことです。
ですが、ネット上にはエラーの原因や対処方法をまとめた記事が多く公開されているので、独学でもPHPを習得しやすい環境が整っています。
以上の理由から、PHPは初心者がプログラミングを学ぶ最初の言語としておすすめだと言えます。
PHPでできること
PHPはWebアプリを開発するためのライブラリや機能が豊富です。
そして、PHPの特性を活かしてできることは多岐に渡ります。
ここでは、下記5つのPHPでできることを解説します。
開発するために必要なWordPressのプラグインや、ライブラリも合わせて紹介しているので参考にしてみてください。
- お問い合わせフォーム
- 予約システム
- ECサイト
- SNS
- WordPressのテーマ・プラグイン
お問い合わせフォーム
多くのWebサイトに設置されているお問い合わせフォーム。
PHPを使えば、下記の機能を満たしたお問い合わせフォームが簡単に実装できます。
- 送信者の名前やメールアドレスなどの情報入力
- メッセージの送信
- 送信者へ自動返信メールを送る
お問い合わせフォームの作成方法はネット上にも情報が多く、PHPMailerやValitonといったライブラリも用意されているため初心者でも作りやすいでしょう。
予約システム
ネット上でレストランや美容院、映画館などの予約をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
こういった予約システムもPHPで作成できます。
また、実際の現場で予約システムを開発する場合、セキュリティとデータベースに関する知識が必要です。
個人で予約システムを作るならユーザーに使ってもらうことを想定し、セキュリティ面も考慮してみてください。
また、WordPressなら予約システムを構築するBooking PackageやBooking Systemといったプラグインが多数公開されているので、初心者におすすめです。
ECサイト
Amazonや楽天市場などWeb上で商品を購入できるECサイト(ショッピングサイト)の構築もPHPで実現可能です。
ECサイトには下記の機能が必要ですが、すべてPHPで実装できます。
- ログインとログアウト
- 会員情報登録、更新、削除
- 商品の購入、予約など
- オンライン上での決済処理
- 商品の在庫管理と売上管理など
- カートに入った商品の自動計算
ECサイトはWordPressのプラグインであるWelcartやWP-OliveCartを使えば構築できますが、本格的なECサイトを作るとなると難易度が高くなります。
SNS
TwitterやFacebook、InstagramやLINEなど多種多様なSNSが世界中で使用されています。
こういったSNSもPHPでの開発が可能です。
実際に、FacebookもPHPをベースに開発した独自のプログラミング言語・Hackで作られています。
SNSでは下記の機能が必要ですが、すべてPHPで実装できます。
- アカウント登録、更新、削除
- 投稿の作成、更新、削除
- マイページの作成
- ユーザー同士のフォロー
- チャットやメッセージ機能
SNSを自作しているユーザーが多く、ネット上には多数の情報が公開されているので、初心者でも比較的簡単にSNSの制作ができます。
WordPressのテーマ・プラグイン
WordPressのテーマやプラグインはPHPで制作されているので、PHPが使いこなせるようになるとオリジナルのテーマやプラグインが作れます。
WordPressのテーマとは、Webサイト全体のデザインや構成を決めるためのテンプレートを指します。
一方プラグインとは、WordPressに新しい機能を追加するためのプログラムのことです。
また、WordPressはWebサイト制作で導入されることが多いCMSです。
もし「PHPエンジニアとしてWeb制作現場で働きたい」と考えているなら、WordPressを扱えるようにしておくと携われる案件を増やせるでしょう。
気になるPHPの将来性は?
結論からお伝えすると、PHPは将来性も需要も高いプログラミング言語になります。
Q-Success社によると、Webサイトのサーバーサイドを開発する言語として最も利用されているのはPHPだと発表しました。
PHPのシェア率は77.5%です。
Rubyは5.7%、Javaは4.2%なので、PHPが圧倒的な利用率の高さを誇っていると分かります。
参考:w3Techs
多くのWebサイトがPHPで開発されているということは、既存サービスの運用・保守案件が豊富にあると言い換えられます。
また、GitHubが発表した長年にわたる人気のプログラミング言語によると、2021年時点でPHPは6位です。
参考:The State of the Octoverse
PHPが誕生してから約25年。
数々のプログラミング言語が開発されている中、昔からあるPHPが上位に君臨しているのは、PHPの汎用性の高さと学習コストの低さが要因と考えられます。
次にPHPに関する求人数を見てみましょう。
フリーランスエンジニア向けのIT求人を多数掲載しているフリーランススタートには、PHPに関する求人が29,899件ありました。
ちなみに、近年AI開発現場で使われることが多いPythonは11,018件、初心者でも学びやすいことで注目されているRubyは12,135件です。
このようにPHPは長きにわたって高い人気を博しているので、今後も十分な需要があると予測できます。
PHPを学ぶためのおすすめ入門書5選
PHPが学べる書籍は多数存在するので、どれが良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、プログラミング未経験者に打ってつけの入門書を5冊紹介します。
確かな力が身につくPHP「超」入門
確かな力が身につくPHP「超」入門は、PHPの基礎構文からしっかりと解説しています。
本書はECサイト制作に携わる人を対象にしているので、ECサイトに必要なショッピングカートやログイン処理の仕方、商品管理などで使用するDBの設定や制御方法が学べます。
またWeb開発現場で求められる知識を、本書に掲載されているサンプルコードを体験しながら習得できるのも嬉しいポイントです。
ECサイト制作に興味がある方はぜひ本書を手に取ってみてください。
独習PHP
独習PHPは最新バージョンのPHP8に対応した、Webページ・アプリ開発する際に必要な基礎知識が学べる1冊です。
基本構文やクラス、DB連携やセキュリティまで丁寧に解説されているので、本書だけでPHPの基礎固めができます。
また、解説→例題→理解度チェックの3ステップが踏める構成になっているので、理解を深めながら学習が進められます。
スラスラわかるPHP
スラスラ分かるPHPはプログラミング未経験者が自力でプログラムが書けるようにと、要点を分かりやすく丁寧に解説している1冊です。
プログラミングの基礎知識や作法、PHPの基本構文やテクニックなど初心者が押さえておきたい内容が網羅されています。
また、チャット掲示板やアルバムなどの機能を搭載した交流サイトを作る課題が用意されているので、手を動かしながら開発に必要な知識をバランスよく習得できます。
最初に「読む」PHP
最初に「読む」PHPはイラストや図版を使って、初心者でも読みやすいように工夫を凝らしています。
初心者がつまずきやすい開発環境の構築方法も丁寧に解説しているので、PHPの学習を始めるスタート地点で行き詰まることはなくなるでしょう。
また、本書は条件分岐・ファイル操作・DBやAPI連携といったWebサービスを開発する際に必要な知識を、サンプルコードを作成しながら学ぶ形式になっています。
よくわかるPHPの教科書【PHP7対応版】
よく分かるPHPの教科書はプログラミングに苦手意識がある人でも、さくさくと読み進められるようにやさしい言葉で書かれている1冊です。
本書はPHPの基本文法やDBを学んだ後、実際に手を動かしながらプログラムを作るための考え方を鍛えます。
その後、メモの管理ができるWebアプリやTwitterのような掲示板を作り、実用レベルでの知識とスキルを身につけていきます。
PHPを学ぶためのおすすめ学習サイト4選
PHPの基礎が身についたら実際にプログラムを組んで、アウトプットを積み重ねていきましょう。
ここでは未経験者におすすめな学習サイトを4つ紹介します。
Progate
引用:Progate
Progateはイラスト中心のスライドで学習してから、実際にコードを書いて学べる学習サイトです。
面倒な開発環境を構築せず、すぐにプログラミングが実施できます。
ProgateがPHP習得に必要なレッスンを用意してくれているので、「何を学べばいいのだろう?」といった悩みを解決してくれます。
スマホ用アプリもリリースされているので、隙間時間に勉強できるのもProgateを活用するメリットです。
ドットインストール
引用:ドットインストール
ドットインストールは、3分の動画を見ながら学べるプログラミング学習サービスです。
月額1,080円(税込)のプレミアムサービスに登録すれば現役のエンジニアに質問できたり、すべてのレッスン動画が見られたりと、より効率的な学習が実現できます。
自分のレベルに合わせて学習できるため初心者はもちろん、中上級者でも活用しやすいのがドットインストールの特徴と言えます。
paizaラーニング
引用:paizaラーニング
paizaラーニングは1本3分の動画を見た後に、動画の内容を実際に試すことができる学習サイトです。
ゲーム感覚でプログラミングが学べるコースが充実しており、楽しみながらスキルアップができる画期的なサービスです。
また、paizaラーニングの動画はプロの声優さんがナレーションしています。
アニメや声優ファンの方にとっては、とても魅力的に感じるのではないでしょうか。
初心者用PHP入門
引用:初心者用PHP入門
初心者用PHP入門は、PHPの開発環境構築の解説から簡単なWebアプリ開発の作成方法が網羅されている学習サイトです。
シンプルな学習サイトですが、ローカル環境でPHPのコーディングをしながら学びたい人に向いています。
注意点として、初心者用PHP入門に掲載されている開発環境の構築方法はWindows向けになっています。
Macを使用している人は次章を参考に、開発環境の構築を進めてみてください。
学習前にPHPをインストールしよう!
PHPを学習する際に必要なのが、PHPを動かすための開発環境です。
しかし初心者にとって、開発環境構築はつまずきやすいポイントになります。
そこで今回は、誰でも簡単に開発環境が作れるDocker(ドッカー)をご紹介します。
Dockerとは、コンテナを使ってアプリ開発やリリース作業(デプロイ)を簡単に行う仕組みのことです。
アプリケーション実行に必要なファイルや実行環境をひとまとめにした「箱」がDockerだと覚えておきましょう。
早速、こちらからDockerをダウンロードしてみましょう。
Macの場合、CPUがInterlかAppleかでダウンロードファイルが異なるので注意してください。
以上でDockerのインストールは完了になります。
Dockerの詳しい環境構築方法は下記の動画を参考にしてみてください。
引用:【2021年最新】Docker環境構築入門|14分でdocker-composeまで完全解説!【windows/mac対応】Dockerの使い方
まとめ
PHPの特徴やできること、未経験者がPHPを学ぶためにおすすめの書籍と学習サイトを紹介しました。
PHPはシンプルな構文、かつネット上にもPHPに関する多くの情報が公開されているため初心者でも学びやすいといったメリットも持っています。
ですので、未経験者がプログラミングを始める場合、最初に選ぶ言語としてPHPはおすすめです。
また、PHPは誕生してから20年以上経つものの、人気と需要は衰えておらず将来性のあるプログラミング言語だと言えます。
安定したニーズがあるPHPエンジニアとして働くために、今回紹介した書籍や学習サイトを活用してPHPの勉強を始めてみてはいかがでしょうか?