近年のIT技術の発展によりスマートフォンやタブレットといった電子機器が欠かせない時代になりました。
特に端末による進化のみならず、時代のニーズに沿ったアプリやソフトウェアが次々と開発されるため、システムエンジニアの需要が急速に高まっています。
そしてシステムエンジニアの中でも、チーム全体を統括し主軸となって動くリードエンジニアの存在は必要不可欠です。
しかしリードエンジニアについての認知度はまだ低いため、「リードエンジニアってどんな仕事をしているの?」「未経験からリードエンジニアとして活躍できるの?」と興味はあるけどよくわからないという方も多いと思います。
そこで、本記事ではリードエンジニアに関する6つのテーマについて紹介していきます。
- リードエンジニアとは
- リードエンジニアの仕事内容
- リードエンジニアに必要なスキル
- リードエンジニアの年収
- リードエンジニアの将来性とキャリアパス
- リードエンジニアになるための方法
リードエンジニアに必要なスキルをあらかじめ把握しておくことで逆算してキャリアを身につけることができます。
リードエンジニアについて興味を持たれている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
リードエンジニアとは
リードエンジニアとは別名「テックリーダー」とも呼ばれ、ソフトウェアの開発現場においてチームを牽引するリーダー的存在です。
リードエンジニアは主に「技術的リーダー」「窓口」「架け橋」の3つの役割を担っています。
一つ目に、技術的リーダーとしてチームを指揮管理し、全体を引っ張っていかなければなりません。
優秀なスキルを持ったリードエンジニアはチームを先導し、メンバーへ具体的なアドバイスや業務指導を行います。
二つ目は、チームの窓口としてメンバーと連携をうまく取りまとめることも必要です。
悩みや不安があるメンバーをいち早く察知して寄り添うことで、気持ちよく働ける空間を整備できるでしょう。
三つ目は、チームが複数発生した場合には、他チームとの連携をとるため「架け橋」にもなる立場です。
リードエンジニアの仕事内容
リードエンジニアは技術面においてのサポートとチームのメンターにもなります。
しかし、業務はこれだけに留まらずチーム全体の進捗管理やプロジェクトの設計も委ねられています。
そのためリードエンジニアはチームの中でも秀逸したスキルや知識を持ち、なおかつ人としての信頼も厚い人が向いていると言えるでしょう。
ここではリードエンジニアがどのような仕事をしているのか、具体的な仕事内容について4つ紹介します。
プロジェクトの進捗管理
1つ目は、プロジェクトの進捗管理です。
リードエンジニアはチーム全体を統制するリーダーであるため、チーム内のプロジェクト管理やスケジュール管理を行います。
特にプロジェクトが企画通り進行し、チームの生産性を最大限に向上できるよう事前に今後の過程を推測したり、開発環境を整えたりします。
またチームごとのミーティングを行う際にも現在の進捗状況や問題点について問われるため、全体の流れについて常に把握しておくことが必要です。
そしてプロジェクトが大きくなるとエンジニアチームも複数になります。そのような場合は各チームにリードエンジニアが置かれ、担当チームのスケジュール管理に加え他チームとの連携も図る必要があります。
チームメンバーへの仕事の割り振り
2つ目は、チームメンバーへの仕事の割り振りです。
プロジェクトを完遂するためにはチームメンバーのスキルを把握し、タスク管理を行うことで効率よく実行することができます。
リードエンジニアはチームメンバーの個々の能力を理解し、それぞれのレベルに合ったタスクを割り当てます。
この時1人に業務量が集中し過ぎたり他の人に分散してしまったり、偏りをなくすよう調整します。
またチームメンバーのスキルをあらかじめ認識することで、作業に時間がかかる工程を優先的に割り振り、バランスの良いタスク管理を目指すことができます。
メンバーへ平等に仕事を分配するためには個々の技術能力を把握し、細かいタスクを構築しなければなりません。
コードレビュー
3つ目はコードレビューです。
コードレビューとはコンピュータープログラムのリストコードを検査し、誤りがないかチェックする取り組みです。
経験豊富なプログラマーでもバグが発生してしまうことはあります。
そのため作成者とは別の第三者が査読し、正確なコードレビューをすることでミスを防ぎます。
リードエンジニアはコード品質に責任を持ち、維持する役割があるので丁寧にチェックします。
また品質が高く、方向性の定まったコードを書けるチームであれば、開発効率も上がり毎回点検する手間も省くことができるため作業効率が上がるでしょう。
リードエンジニアが正確なコードレビューを行うことで、チームメンバーの育成にも繋がります。
設計サポート
4つ目は、設計サポートです。
通常、ITシステムの設計はITアーキテクトが行いますが、リードエンジニアにとっても重要な業務の1つです。
リードエンジニアは技術的リーダーでもあるため、チームメンバーが業務を進行しやすくなるよう分かりやすいビジョンを示すことが必要です。
そのためシステム設計図を明確に策定し、方向性を統一することでチームメンバーが納得して仕事を遂行できるようになるでしょう。
また、ITアーキテクトと連携してチームメンバーが効率よく作業するための設計サポートを行うこともあります。
プログラミング言語・フレームワーク・ライブラリなど開発に必要な技術を事前に設計することでチームメンバーにも分かりやすく伝わるでしょう。
リードエンジニアに必要なスキル
リードエンジニアは、チームメンバーへのアドバイス・相談・進捗管理など多岐に渡る業務を統括しています。
特にチームプレイで業務を進めていくと、様々なトラブルが発生するためその都度主体となって解決していく必要があります。
そのためリードエンジニアの存在がなければ、チーム全体が円滑に仕事をすることは難しいと言えるでしょう。
優れたリードエンジニアになるためにはどうすれば良いのか、必要と考えられるスキルについて紹介します。
マネジメントスキル
リードエンジニアは、チーム全体を統括し、作業が円滑に進むよう運営するマネジメントスキルが必要です。
プロジェクトの進捗管理やチームメンバーのスケジュール管理など全体フローを把握し、運営します。
また、プロジェクトを成功に導くためにはクオリティの高い品質を納期に間に合わせるようにしなければなりません。
しかし制作に充てられる費用や人員といったコストは限度があり、効率的に作業が進むよう人員の配置やタスクの割り振りをする必要があります。
そのため、リードエンジニアのマネジメントスキルによって作業効率が左右されると言っても過言では無いでしょう。
また、チームが複数存在する場合はそれぞれのリードエンジニアが自分が担当するチームを責任持って管理していきます。
プログラミングスキル
リードエンジニアにはプログラミングスキルも必要です。
チームの方針を策定し、技術面におけるリーダーとしてチームを牽引するため、みずからも率先してコードを書かなければいけません。
そのためにはプログラミングスキルや知識が豊富にあることが望ましいでしょう。
また、リードエンジニアは品質を担保するためにコードレビューの作業が欠かせません。
チームメンバーが書いたコードについて適切な評価やアドバイスを下し、ミスやトラブルが起こらないよう念入りにチェックをする必要があります。
コードの読み書きに優れたリードエンジニアだからこそ、リーダーとしてチーム全体を統率することができます。
コミュニケーションスキル
リードエンジニアはチームメンバーのサポートや他の部署との話し合いなどが多いため、コミュニケーションスキルが必要です。
特にチームプレイで作業を進めていくと、様々なトラブルにぶつかり、イレギュラーな事態が発生するでしょう。
チーム内で問題が発生した場合は、リードエンジニアが主導となって解決していかなければいけません。
そのためにはチームの窓口としてメンバーからの話を細かく聞き出し、原因を究明することが大切です。
また、プロジェクトの規模によっては複数チームに別れて実行する場合もあります。
その際には、他チームとの連携が必要になり、チームごとの進捗状況の共有を具体的に説明するため細かな意思疎通が必要です。
リードエンジニアの年収
リードエンジニアの平均年収は「求人ボックス」で調べたところ、600〜800万円でした。
つまり、月収に換算すると月に約50〜66万円になります。
一般的なエンジニアの平均年収が約400〜600万円なので、リードエンジニアは比較的高い傾向であることがわかります。
また現在ITにおける人材が不足しているためエンジニアの需要は高く、給与も平均以上の位置に分布しています。
マネージャー的ポジションであるリードエンジニアは、幅広い知識とスキルに加えヒューマンスキルも重要です。
そのためリードエンジニアとしてのキャリアをより多く積むと年収アップの見込みも考えられ、平均年収が1000万円を超えることもあるでしょう。
参考:求人ボックス
リードエンジニアの将来性とキャリアパス
リードエンジニアは将来性のある仕事と言っていいでしょう。
IT技術の進歩により市場規模も拡大し、現在では利便性の高いツールが次々に開発されています。
しかし、エンジニア業界全体として慢性的な人材不足が問題視されています。
特にリードエンジニアはプロダクトの設計・開発・運用を担当する重要なポジションです。
では、リードエンジニアは今後どのような存在になるのか、将来性やキャリアパスについて紹介します。
リードエンジニアの将来性
リードエンジニアは近年需要が高まっている職種の1つです。
情報技術の急速な進化によりニーズに合ったアプリケーション開発が期待を寄せられているため、今後企業側も事業拡大によるチーム数を増やすでしょう。
特に、システム開発はチームプレイで行い、1チームにつき最低1人のリードエンジニアを置くため、必要不可欠なポジションと言えます。
さらに、リードエンジニアはチームメンバーや他チームとの連絡など多方面で連携をとるためコミュニケーションスキルも必須です。
AIが主流の時代になると予測されますが、技術とコミュニケーションを取り揃えたリードエンジニアは機械化が難しく、今後とも重宝されるでしょう。
リードエンジニアのキャリアパス
リードエンジニアからのキャリアパスは以下の通りです。
- ITアーキテクト
- システムアーキテクト
- エンジニアリングマネージャー
- CTO
リードエンジニアは、「エンジニア」と「マネジメント」の2つのスキルを持っているため技術的なエンジニアの道に進むか、企業マネジメントの道に進むか、選択できます。
エンジニアスキルを活かす場合は、システムアーキテクトがあります。
クライアントの意向に沿ったITシステムを構築するため、高度な設計能力が重視される役職です。
またマネジメント分野には、最高技術責任者のCTOがあります。
エンジニアとしてのスキルに加え、企業全体のマネジメントの構築を任されるので、リードエンジニアとしての経験を活かすことができます。
リードエンジニアになるための方法
リードエンジニアは情報スキル・マネジメントスキル・ヒューマンスキルの3つをバランスよく取り揃えた人が適任です。
豊富な知識と高いスキルが求められるため、未経験からの挑戦は難しく一定の経験値が求められるでしょう。
では具体的にリードエンジニアになるためには、どのようにすれば良いのでしょうか?
リードエンジニアになるための方法について細かくご紹介します。
エンジニアの経験を積む
まずは、エンジニアとしての経験を積みましょう。
チーム全体を統括するためには幅広い知識が求められるため、エンジニアとしての基礎知識が必須です。
リードエンジニアはシステムの設計から全ての流れを監修するため、エンジニアとして活躍している間に設計・開発・運用全ての流れに携われるようにしましょう。
またリードエンジニアの最も重要な業務の1つはコードレビューです。
ミスのないプロダクトを納品するためにみずからもコードを書き、チームメンバーが書いたコードの品質を維持する責任があります。
エンジニアとして経験を積むことでコードを書く機会が増加し、可読性が高まるのでコードレビューに活かすことができるでしょう。
マネジメント経験を積む
また、マネジメントの経験を積むとリードエンジニアの仕事に繋がりやすくなります。
リードエンジニアは、プログラミングとしてのスキルだけでなく全体の進捗管理やメンバーのスケジュール管理も行わなければなりません。
そのため、いかに効率よく質の高いプロダクトを納品できるか、リードエンジニアのマネジメントスキルにかかっているでしょう。
しかしいきなりチーム全体のマネジメントを任されては何から始めればいいのか戸惑ってしまいます。
そこで、まずは開発リーダーとしての経験を積むことをおすすめします。
現場でチームメンバーを先導しながら、プロジェクトの推進を図り、指示を促すのでリードエンジニアとして必要なスキルが身につきます。
まとめ
今回はリードエンジニアにおける定義やスキル、キャリアパスについて紹介しました。
リードエンジニアはシステム開発におけるリーダー的ポジションであり、情報スキル・ヒューマンスキル・マネジメントスキルを兼ね揃えた重要な役職です。
常に業務が同時並行しているため、いつ振られても速やかに対応できる知識やスキルが必要です。
未経験からの転職は難しいですがエンジニア経験やマネジメント経験がある人は十分に活かすことができるでしょう。
また、リードエンジニアは、マネジメント力とエンジニア力を持ち合わせているため大変な役職ですが、その分やりがいもとても大きい職業です。
将来のキャリアパスについても選択肢の幅が広くあるので、今後とも需要が高く期待されるでしょう。