Web制作現場でよく耳にする「フロントエンド」。
フロントエンド領域を担当するエンジニアは、フロントエンドエンジニアと呼ばれています。
しかし、フロントエンドの意味がよく分かっていなかったり、似た言葉の「バックエンド」との違いが曖昧だったりする人も多いのではないでしょうか?
本記事では「フロントエンドとバックエンドの違いって何?」「フロントエンドエンジニアに必要なスキルとは?」「フロントエンドエンジニアのキャリアパスって?」といった疑問を解決していきます。
大きく分けて下記の6つのテーマについてお伝えします。
- フロントエンドとバックエンドの違い
- フロントエンドエンジニアの仕事内容と必要なスキル
- フロントエンドエンジニアの年収
- フロントエンドエンジニアに向いている人の特徴
- フロントエンジニアのキャリアパス
- フロントエンドエンジニアの将来性
最後まで読めば「フロントエンド」の意味が正しく理解でき、フロントエンドエンジニアとして活躍し続ける方法が分かります。
フロントエンドとバックエンドの違いとは?
フロントエンドとバックエンドの違いを一言で表すとフロントエンドは「見える部分」、バックエンドは「見えない部分」を指します。
ECサイトで有名なAmazonを例にして考えてみましょう。
商品検索するための入力エリアや検索ボタン、Webサイトのデザイン(フォント・色・レイアウトなど)などの外観はフロントエンドの領域になります。
会員登録やログイン機能、カート内にある商品の購入処理といったデータ処理全般を行うのが、バックエンドです。
また、フロントエンドとバックエンドでは使われているプログラミング言語も異なります。
フロントエンドで使われる主なプログラミング言語は、HTML・CSS・JavaScript(jQuery)です。
携わる案件次第ですが、バックエンドはPHPやRuby、Pythonがよく使用されています。
フロントエンドエンジニアの仕事内容
フロントエンドエンジニアの仕事内容は大きく分けて「設計」と「コーディング」に分類されます。
1つ目は設計です。
ユーザーの直接目に触れる部分を担当するフロントエンドエンジニアは、ユーザーが使いやすいと感じるUI(ユーザーインターフェース)設計を作る必要があります。
WebサイトやアプリにおけるUIは、フォント・ボタン・レイアウトなどユーザーの視界に入るすべての情報が該当します。
どんなにカッコいいWebデザインでも、欲しい情報が手に入らず使い勝手が悪いとユーザーは早々に離脱してしまうでしょう。
ユーザーにとって快適なWebサイト・アプリ設計を考えるのも、フロントエンドエンジニア の大切な仕事です。
2つ目はコーディングです。
Webデザインが完成したら、コーディング作業に入ります。
HTML・CSSといったマークアップ言語でWebデザイナーが作ったデザインを再現し、必要に応じてJavaScript(jQuery)を使ってWebサイトに動きをつけていきます。
案件によってはWordPress開発をフロントエンドエンジニアが担う場合があるので、PHPが理解できていると尚良いでしょう。
フロントエンドエンジニアの年収はどのくらい?
求人ボックスによるとフロントエンドエンジニアの平均年収は594万円です。
一方で全体の給与幅は363〜932万円と比較的広いため、経験や求めるスキルによって大きく変動することが分かります。
また、年齢別の平均年収を見てみると20代は313万円、30代は457万円になります。
参考:職種別 総合年収ランキング
経験やスキルの浅い20代は年収が低めですが、スキルを磨いていけば年収アップが期待できます。
さらに、マネジメント経験や複数スキル(例:Webデザイン・バックエンド・UI / UX)があれば、年収1,000万円に届く可能性が飛躍的に向上するでしょう。
フロントエンドエンジニアに必要な言語をご紹介!
フロントエンドエンジニアになるために必要な言語を4つ紹介します。
まずはWeb制作現場で必ず使用するHTML・CSS・JavaScriptを習得し、余裕ができたらPHPの学習を進めてみてください。
HTML / CSS
HTMLはWebサイトに表示する文字や画像といったコンテンツを指定し、ページの基本構造を作るためのマークアップ言語です。
マークアップ言語はテキストをタグ(例:<h1>・<p>)で囲んで、「これはタイトルです」「これは本文です」のように文章に意味を持たせる役割を担っています。
CSSはWebサイトの文字サイズや色、背景色やレイアウトといった見た目を設定する言語になります。
大半のWebサイトはHTMLとCSSで構成されており、最新バージョンであるHTML5とCSS3の習得は必須です。
JavaScript
JavaScriptとはWebサイトに動きを追加するためのプログラミング言語です。
ページを開いたときに出てくるポップアップや、時間の経過とともに変わるスライドショー、カウントダウンタイマーなど1度は見たことがあるのではないでしょうか?
上記のような動きを再現するためにJavaScriptは使われており、多くのWebサイトでも使われているためJavaScriptも習得必須の言語になります。
PHP
PHPはサーバー上で動作するプログラミング言語です。
世界中で使用されているWordPress(CMS)や、多くのWebシステムはPHPで構成されています。特に、日本のWeb制作現場でも導入されることが多いのがWordPressです。
案件によってはフロントエンドエンジニアがCMS開発を担当する場合もあるので、PHPは最低限身につけておきたい言語になります。
フロントエンドエンジニアに必要な知識
フロントエンドエンジニアとしてステップアップするために必要な知識を2つご紹介します。
先ほど紹介した言語(HTML・CSS・JavaScript)が習得できたら、フレームワークとUI/UXに関する知識を身につけていきましょう。
フレームワークの知識
フレームワークとは、汎用的な機能が用意された枠組みのことです。
噛み砕いてお伝えすると「必要な機能(ソースコード)がまとまったもの」がフレームワークになります。
フレームワークを利用すると「コーディングの手間が省ける」「複数人で開発してもソースコードが統一されやすい」といったメリットが生まれます。
開発現場によって使用されるフレームワークはさまざまです。
初心者はまず、JavaScriptフレームワークの求人数が多い「React.js」「Vue.js」「Node.js」のどれかを勉強してみるのがよいでしょう。
参考:JavaScriptフレームワークのまとめ【2022年版】
UIUXの知識
UI(ユーザーインターフェース)はユーザーの目に触れる部分、UX(ユーザーエクスペリエンス)はWebサイトを利用して得られるユーザー体験を指します。
UXの具体例としては下記の通りです。
- 欲しい情報がすぐ手に入った
- サイトの導線が分かりやすかった
- 商品購入までの手間が煩雑だった
たとえ素敵なデザインだとしてもユーザーが「不便・分かりにくい」と感じるWebサイトは、本来の目的を果たしていないと言っても過言ではありません。
ユーザーに気持ちよくWebサイトを使ってもらうためにも、UIUXの知識は必要不可欠なのです。
フロントエンドエンジニアに向いている人とは?
フロントエンドエンジニアに向いている人は一体どんな特徴を持っているのでしょうか?
ここでは下記3つの特徴について解説します。
- 地道な作業が得意
- 新しい技術に興味がある
- ユーザーに寄り添える
地道な作業が得意
フロントエンドエンジニアが行うコーディング作業は、思い通りにいかないことが多々あります。
「JavaScriptがうまく機能しない」「デザインカンプ通りに再現できない」「あるブラウザで見てみると表示が崩れている」といった壁にぶつかることは珍しくありません。
ですので、試行錯誤を繰り返しながら正解にたどり着こうと努力できるなら、フロントエンドエンジニアに向いているでしょう。
また、CSSやJavaScriptといった言語は日々進化しており、その都度学習しなければいけません。
どうしても最初は新しい技術習得に時間がかかるため、コツコツ地道に学ぶ姿勢も大切になります。
新しい技術に興味がある
Web業界はトレンドの移り変わりが激しいため変化を楽しみつつも、自ら新しい技術を吸収できる人はフロントエンドエンジニアの適性があります。
開発現場で使われるフレームワークやライブラリにも流行り廃りがあり、今でも新しいものが開発されています。
また、Webサイトやアプリのデザインにもトレンドがあります。
フロントエンドエンジニアとして開発に必要な言語はもちろん、デザインに関する情報収集も欠かせません。
新しい技術に興味関心を持ち業務に活かせることができれば、フロントエンドエンジニアとしてのステップアップにも繋がるでしょう。
ユーザーに寄り添える
フロントエンドエンジニアはWebサイト・アプリを制作するのはもちろん、実際にサービスを使っているユーザーに「使いやすさ・分かりやすさ・見やすさ」を提供しなければなりません。
操作性も見栄えも悪いWebサイトやアプリだと、ユーザーはどんどん離れていきます。
ですので、ユーザーに満足してもらうために「正確な情報を伝えるにはどうすれば良いか?」「問合せフォームの入力欄を減らして負担を減らそう」など、あらゆる方向から物事を考える必要があります。
フロントエンドエンジニアとしてユーザーに寄り添うことは、技術力と同じくらい大切なスキルなのです。
フロントエンドエンジニアのキャリアパス
フロントエンドエンジニアとして経験を積んだ後には、どんなキャリアパスが描けるのでしょうか?ここでは下記4つのキャリアパスについて解説します。
- Webデザイナー
- UI・UXエンジニア
- Webディレクター
- フルスタックエンジニア
Webデザイナー
Webデザイナーとはその名の通り、クライアントの要望に沿ったWebサイトのデザインを制作する職種です。
フロントエンドエンジニアで培ったコーディング知識(HTML・CSS・JavaScript)があると、コーディングを意識したデザイン制作が可能になります。
しかし、Webデザイナーに必要なツールであるPhotoshopやIllustratorの使い方、配色・フォント・レイアウトといったデザインの基礎知識をゼロから学ばなければなりません。
覚えることも多く大変ですが「コーディングもできるWebデザイナー」になれば、あなたの市場価値はグッと上がるでしょう。
UI・UXエンジニア
UI・UXエンジニアはWebサイトやアプリのUI(ユーザーインターフェース)をデザインし、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上を通してユーザーの満足度を高めていきます。
Webサイト制作に欠かせないデザインやコーディングの知識だけでなく、サイト設計や改善策考案、Google Analyticsなどの分析ツールの活用といった幅広いスキルと知識が求められます。
比較的新しい職業であるUI・UXエンジニアは、需要はあるものの母数が少ないので年収が上がりやすいでしょう。
Webディレクター
WebディレクターはWeb制作現場を管理する、すなわちリーダーポジションを担う職種です。
スケジュール管理やクライアントとの打合せ、開発メンバーへの指示などコミュニケーション能力が必要とされます。
他にもコーディングやデザインの知識、Webマーケティング(SEO施策・Web広告運用など)やアクセス解析といったWeb全般の知識も必須です。
フロントエンドエンジニアで築いた経験や知識があると、クライアントや開発メンバーから技術的な話を振られたときでもスムーズに対応できます。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアは別名マルチエンジニアと呼ばれており、Webサービスの設計から開発・運用まで全ての工程を担えるエンジニアを指します。
また、フルスタックエンジニアの定義は曖昧で、企業や人によってニュアンスが異なるので注意してください。
フロントエンドエンジニアは、フロントエンドとバックエンドのスキルを身につけることでフルスタックエンジニアにキャリアチェンジが可能です。
バックエンドとは、Webサーバーやデータベースといったユーザーの目に見えない領域を指します。
フルスタックエンジニアは分野を問わず幅広い業務を一人で行うため、年収も高めに設定されています。
フロントエンドエンジニアの将来性に迫る!
近年、Webサイトやアプリの需要も増えているため、フロントエンドエンジニアを必要とする企業も増加しています。
ただしAIや自動化といった技術の発展により、フロントエンドエンジニアの仕事内容が変わってくる可能性があります。
また、コーディング知識がなくてもWebサイトやアプリが制作出来るサービスが浸透しているので、コーディングしか出来ないエンジニアは淘汰されていくでしょう。
市場価値を高めるにはフロントエンドエンジニアとしての価値だけでなく、付加価値を身につける必要があるのです。
たとえば、「UIUXを意識したWebデザイン制作ができる」「バックエンド領域の開発ができる」「UIUXの改善提案や業務効率支援ができる」が一例です。
万が一フロントエンドエンジニアの仕事が減ったとしても、上記に示したような複数のスキルを持っていれば、他の職種に転身する際も有利になります。
もしあなたが、他のフロントエンジニアと差別化できるスキルを身につけられるなら「フロントエンジニアの将来は明るい」と考えてもよいでしょう。
まとめ
Web制作する上で欠かせない「フロントエンド」について詳しく解説しました。
フロントエンドとはユーザーの目に見える部分を指し、フロントエンド開発するエンジニアはフロントエンドエンジニアと呼ばれています。
駆け出しのフロントエンドエンジニアは年収が低く設定されている場合が多いですが、スキルを磨き、経験を積んでいけばどんどん年収は上がっていくでしょう。
そして複数のスキル(マネジメントスキル・Webデザイン・UI/UXスキルなど)を身につければ、WebディレクターやWebデザイナー、UI・UXエンジニアといった多彩なキャリアパスを実現できます。
もし、あなたがキャリアに悩んでいるのなら将来性のあるフロントエンドエンジニアに挑戦してみてはいかがでしょうか?