近年、企業のIT化が進むにつれて、データベースエンジニアの市場価値が上がってきています。
データベースエンジニアとは簡単にいうと、企業が扱う膨大なデータベースを管理・整理する職業です。
企業のデータベースシステムを支えるために必要な職種ですが、データベースエンジニアの人口は少ないので需要が高まっています。
IT業界への就職を志望している方の中には、データベースエンジニアへの就職を考えている人も多いのではないでしょうか?
また、データベースエンジニアに興味はあるが、詳しい仕事内容が分からないという方もいると思います。
そこで本記事では、データベースエンジニアの詳しい仕事内容、必要な資格やスキル、その学習方法などを紹介していきます。
データベースエンジニアは何をしてる人?
まず、データベースエンジニアとは何をしている人なのでしょうか?
そもそもデータベースとは、コンピュータ上で決まった形式で整理された情報群のことを指します。
例えば、顧客情報を氏名の項目ごとに整理しているデータを思い浮かべてもらうとわかりやすいでしょう。
大量の顧客情報を「氏名」や「電話番号」などの項目ごとに検索できるとかなり便利ですよね。
このようにデータベースで整理して管理することによって、莫大な情報が扱いやすくなります。
ほしいデータをすぐに見つけられるので、自己負担が減り、作業を効率化できます。
そのため、多くの企業でデータベースが活用されているのです。
データベースエンジニアは、そんなデータベースの開発や設計、運用や管理などを行う技術者です。
データベースエンジニアの仕事内容
データベースエンジニアは、データ活用に必須であるデータベースの運用をしていく職業です。
ここでは、データベースエンジニアの実際の仕事内容を更に詳しく解説します。
データベースエンジニアの業務は多岐に渡りますが、大きく3つに分けることができます。
- データベースの設計・開発
- データベース管理
- データベースの運用
設計・開発
まず、1つめの仕事内容はデータベースの設計・開発です。
データベースアプリケーションを使い、顧客のリクエストに合わせてデータベースの開発を行います。
データベースアプリケーションには、OracleやMicrosoft SQL Server、PostgreSQL、MySQLなどの製品があります。
多くの製品の中から適切なデータベースアプリケーションを使用するためには、顧客のニーズや管理するデータの内容をしっかりヒアリングして業務を進めていく必要があります。
データベースエンジニアは、このように顧客がどんなデータを管理したいかによって、最適なデータベースを設計・開発しているのです。
管理
2つめは、データベースの管理です。
設計・開発したデータベースを管理していくことも、データベースエンジニアの重要な仕事です。
データベースが動作するインフラを管理し、データを保存しているストレージサーバーを長期的に保存できるよう最適化を行います。
他にも、ストレージサーバーの効率化などのチューニングも管理の仕事です。
データベース管理システムのインストールやデータベースの名前の設定、テーブルの作成など、細かい管理の仕事はこのように多岐に渡ります。
このようにデータベースエンジニアはデータベースの管理を行っているのです。
運用
3つめは、データベースの運用です。
構築が完了し、セットアップされた稼働中のデータベースをしっかり運用していくことも必要です。
具体的には、セキュリティ規則設計やデータの定期的なバックアップなどを行います。
また、データベースに使用しているミドルウェアのバージョンアップのようなメンテナンス作業もデータベースの運用の内です。
また、データベースエンジニアは、利用状況に合わせたアクセス権の設定も行います。
データベースへの侵入やデータの流出を防ぐためのセキュリティ対策も欠かせません。
データベースエンジニアは、このようにデータベースに関わる様々な業務を請け負っています。
データベースエンジニアに必要なスキル
新卒でデータベースエンジニアになりたいという大学生の方も多いと思います。
しかし、データベースエンジニアになるためには何をどのように勉強していったらいいかわからないですよね。
そこで、データベースエンジニアが求められる知識を3つ紹介していきます。
- 情報システム全般の知識
- データベース全般の知識
- セキュリティ知識
情報システム全般の知識
まず、データベースエンジニアになるためには情報システム全般の知識が必須です。
情報システムの知識は、データベースを適切に管理していくためには必須になります。
データベースエンジニアは、サーバーやネットワークなどのITインフラ全般に関わることも多い仕事です。
そのため、サーバーやネットワークの仕組みについて熟知している必要があります。
使用中のシステムの機能やセキュリティ性、拡張性、コストなどを知っておくと、顧客が求めている最適なシステムを提供することができます。
また、システム開発の全体像も知っておくといいでしょう。
データベースの開発とは、システム開発の一部です。
そのため、データベースにかかわる知識だけではなく、必要な製品を選んだり、開発工数の算定などのシステム開発全般の工程を知っておく必要もあります。
データベース全般の知識
また、データベースエンジニアになるためには、データベース全般の知識が求められます。
代表的なデータベース製品であるSQL Server、MySQLやPostgreSQLを扱う知識が必要です。
そのためには、データベースの開発に必要なSQL言語を取得しなければなりません。
SQL言語とは、データベース管理システムに対してデータの操作や定義を行うデータベース言語のことです。
データベース開発にはこのSQL言語が必要とされます。
SQLを使用して行う主な業務にデータの抽出があります。
データの抽出とは、表のような形で管理しているデータから、必要な項目を選択したり条件を加えて、意図する形でデータを取得することです。
また、ER図などの要件定義に関する知識も求められます。
ER図とは、データベース設計で使う設計手法のことで、設計工程におけるアウトプットの代表例です。
ER図は、データの構造やその関連性が記載されている非常に重要なものです。
なので、データベースエンジニアになりたい人はER図の基本的な書き方を身に着けておく必要があります。
セキュリティ知識
最後に、セキュリティ知識もデータベースエンジニアには必須の知識です。
データベースエンジニアは、安全にデータベースを管理するため、セキュリティ対策を実装することもあります。
企業でデータベースを使用する場合、個人情報が含まれていることがほとんどです。
データベースは外部からの攻撃に弱いわけではないですが、年々サイバー攻撃は巧妙になっています。
最近では、Webアプリの中のデータベースを直接狙ったSQLインジェクションという攻撃もあります。
サイバー攻撃から個人情報を守るためには、データ・管理者の監視やデータの暗号化、アクセス制御を適切に分散させることなどが必要です。
このように、データベースエンジニアの仕事にはセキュリティ知識が豊富でないと行えない業務があります。
データベースエンジニアが取るべき資格とは?
データベースエンジニアになるために資格を取得しようと考えている方も多いと思います。
しかし、IT系の資格は種類が多いので、データベースエンジニアに適切な資格を判断するのは難しいのではないでしょうか。
そこで、データベースエンジニアが取っておくべき資格を3つ紹介します。
- ORACLE MASTER
- データベーススペシャリスト試験
- 基本情報・応用情報技術者試験
ORACLE MASTER
まず1つめはORACLE MASTERです。
この資格は、データベースシェア率1位のORACLE社製品に対するスキルを証明できる資格です。
世界で最も使われているデータベースの資格になるので、こちらは取っておいて損はないでしょう。
ORACLE MASTERは難易度ごとに4つの種類があるので、難易度が易しい順に紹介していきます。
- Bronze
- Silver
- Gold
- Platinum
まずBronzeは、データベースエンジニアとして最低限の知識を持っているという証明になります。
Silverは、データベースの中でもリカバリーなどのより実践的なスキルや知識が求められます。
Goldでは、Silverの知識に加えて、適切な対応ができるかどうかも評価対象です。
最後にPlatinumは、データベースに関わる資格の中でも最高峰で、データベースエンジニアとして非常に高い能力を証明できる資格です。
まずはBronzeから挑戦してみてください。
データベーススペシャリスト試験
次に、データベーススペシャリスト試験を紹介します。
この資格は、データベース全般に関する知識があることを証明できる国家資格です。
資格の中でも知名度が高く、利用しやすいものなので、データベースエンジニアになりたい方はぜひ取っておきましょう。
データベーススペシャリスト試験は国家資格なので、特定の商品については問われません。
製品の使い方ではなく、一般的なデータベース理論などについて問われます。
概念に関する問題が多いため、データベーススペシャリスト試験の難易度は高くなっています。
しかし、この資格を取得すれば汎用的にデータベースについて理解しているという証明になります。
使用する製品が決まっていない方にもおすすめの資格です。
難易度が高い分、取得するメリットも大きいので、挑戦する方はしっかり対策をして臨んでください。
基本情報・応用情報技術者試験
最後に、基本情報・応用情報技術者試験について紹介します。
基本情報・応用情報技術者試験とは、IT関連の資格の中でもかなり人気が高い資格です。
必須ではないですが、ITエンジニアはこの試験の勉強をしておくと仕事の基本知識が学べます。
基本情報・応用情報技術者試験共に就職や転職の際に高く評価される傾向にあります。
基本情報技術者試験のほうが少し易しめで、合格率は23〜27%です。
試験の形式はマークシートのみで、プログラミングに関わる問題が出題されます。
一方、応用情報技術者試験は難易度が高めで、合格率は18〜24%です。
試験の形式はマークシートと記述の両方が課せられ、システム開発全般の業務知識などが問われます。
初心者の方は、まず基本情報技術者試験を受験することをおすすめします。
データベースエンジニアの年収をご紹介
データベースエンジニアの平均年収は日本の平均年収と比べて高い傾向にあります。
初任給の相場は22万円で、データベースエンジニア全体の平均月収は50万円です。
しかしあくまでも平均ですので、勤務先や勤続年数、スキルによっても年収は大きく変わってきます。
地域で比較すると、関東がいちばん年収が高いです。
特に東京では年収が600万円越えとかなり高い水準です。
データベースエンジニアへの就職を考えている場合、年収に重きを置くのであれば上京も1つの手ですね。
ハイレベルな求人が平均年収を引き上げていると考えられます。
上流工程を担当できる人材が求められているので、年収を上げたい方はスキルを磨いていく必要があります。
特に、難易度の高い資格や案件に挑戦していくことが大切です。
データベースエンジニアの将来性に迫る
データベースエンジニアの需要は年々高まっています。
データベースのパッケージ化は進んでいるものの、大規模データベースの設計・開発ができるデータベースエンジニアは特に今後も必要とされるでしょう。
データベースはITシステムのバックエンドなので、クラウドがどれだけ普及しても消滅することはありません。
しかし、データベース専門のエンジニアの仕事は少しずつ減っています。
そのため、将来性が心配な方は、データベースの知識やスキルだけではなく、プログラミングなどその他のITスキルも身に着けておくとより安心です。
今後も大規模プロジェクトでデータベースエンジニアの需要は高まっていくので、優れたスキルを持つデータベースエンジニアの将来は安泰でしょう。
データベースエンジニアは今後も活躍できる職種
本記事ではデータベースエンジニアの仕事内容や取るべき資格などを紹介してきました。
データベースエンジニアの仕事内容は、データベースの設計・開発、管理や運用などです。
データベースにかかわる幅広い業務を行います。
それらの業務を遂行するためには、情報システムやデータベース全般の知識、セキュリティに関しての知識も必要になります。
また、データベースエンジニアを目指す方には是非取得してほしい資格が3つあります。
- ORACLE MASTER
- データベーススペシャリスト試験
- 基本情報・応用情報技術者試験
データベースエンジニアは今後も将来性があり、活躍できる職種です。
データベースエンジニアへの就職や転職を考えている場合は、上記の資格を取るなどしっかり準備をしてから臨んでください。
よくある質問
最後に、データベースエンジニアに関するよくある質問に回答していきます。
データベースエンジニアになりたいと思っていても、簡単に自分の将来は決められず不安になる方も多いでしょう。
ここでは、以下の2つについて説明します。
- データベースエンジニアのキャリアパスにはどのようなものがあるか
- 「データベースエンジニアはやめとけ」の声は本当か
データベースエンジニアのキャリアパスにはどのようなものがありますか?
データベースエンジニアが目指すキャリアパスの1つとして、プロジェクトマネージャーがあります。
プロジェクトの責任者であるプロジェクトマネージャーになるには、まず現場での経験を重ねてプロジェクトリーダーになる必要があります。
まずは、プロジェクトの各工程を熟知し、マネジメントスキルを身につけましょう。
ビジネスとしてシステム開発を捉える経営者的観点も必要になります。
他にも、フリーランスになる道もデータベースエンジニアのキャリアパスの1つです。
実はデータベースエンジニアの中には、フリーランスとして働いている人も多くいます。
フリーランスになると、案件を自分で取ることが必要になるので、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルも求められます。
スキルや実績があれば、フリーランスとして年収を上げていくことも可能です。
他にも、データベースコンサルタントやデータサイエンティストなど様々なキャリアパスがあります。
「データベースエンジニアはやめとけ」の声は本当ですか?
「データベースエンジニアはやめとけ」という意見を耳にしたこともあるかもしれません。
しかし、結論から言うとそんなことはありません。
データベースエンジニアはまだまだ需要が高まっている職種です。
需要に反して人材不足なので、今後も非常に将来性があると言えます。
規模が大きい企業の重要業務に関われるので、やりがいもある職種です。
データベースエンジニアとして働いていると、データベースだけではなく様々なIT技術や知識が身につくでしょう。
データベースエンジニアは平均年収も高い傾向にあり、給与面でのやりがいも大きいと言えます。
データベースエンジニアはこのように魅力的な面が多く存在する職種なので、今後も注目されていくでしょう。