「Webエンジニアになるために資格は必要なのか」「Webエンジニア向けの資格が多くて何を選べばいいか分からない」「転職するときに有利になる資格が知りたい」といった悩みを抱えていませんか?
Webエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーションといったWebサービスの設計や開発を行います。
専門性の高い職種ですが、Webエンジニアになるために資格は必要なのでしょうか?
本記事では、Webエンジニアと資格の関係についてご紹介します。
- Webエンジニアに資格は必要なのか
- Webエンジニアが資格を持つメリット
- Webエンジニアの転職におすすめの資格
- Webエンジニアが資格を取得するための勉強方法
Webエンジニアに資格は必要?
Webエンジニアになるために資格は必要ありません。
しかし資格を持っていることは、特定分野のスキルや知識を保有していることを客観的に証明してくれます。
またスキルアップの手段として、資格取得を目標に掲げるのも良いでしょう。
Webエンジニアが資格を持つメリット
Webエンジニアになるために資格は必要ないとお伝えしましたが、未経験からWebエンジニアを目指す人にとって資格は、転職で有利に働く可能性が高くなります。
そこで資格を持つメリットを2つご紹介します。
- 学んできた証明になる
- 転職で差をつけられる
1つずつ具体的に見ていきましょう。
学んできた証明になる
資格を取得することで、自己アピールやスキル保有の証明に役立ちます。
例えば採用面接で「PHP言語が使えます」と伝えるより、「PHP技術者認定試験の資格を持っています」と伝えたほうが説得力が増すでしょう。
採用担当者はまったく知識がない未経験者より、少しでも業務に関する知識を持っている人を採用したいと考えます。
また資格を取得するためには、日々の忙しい時間を割いて勉強する必要があります。
特定分野のスキルや知識があることはもちろん、学習意欲や向上心があることもアピールできます。
転職で差をつけられる
資格を持っていることは、他のWebエンジニアと差別化を図るために役立ちます。
特に未経験者は実務経験が浅いので、自己アピールできる材料が少ない傾向にあります。
具体例として、似た経歴を持った未経験のWebエンジニアが複数人いたとします。
ITに関する資格を持っていない人と、基本情報技術者やPHP技術者認定試験の資格を取得している人なら、あなたはどちらを選びますか?
きっと多くの人は後者を選ぶでしょう。
未経験者にとって資格は強力な武器になるので、採用率を上げることができます。
企業によっては収入が上がる
IT関連の資格があると企業によっては「資格手当」が支給されることもあり、毎月の給料に上乗せされることで年収が伸びていきます。
他にも「合格報奨金制度」がある会社も多く、資格に合格するだけで5〜10万円前後の報奨金が貰えることも。
もちろん、資格のレベル、難易度、重要度によって、資格手当や合格報奨金の額も変わってきます。
一般的には、国家資格の方が民間資格よりも資格手当や報奨金の金額が大きくなる傾向にあります。
同じスキルを持っている社員同士でも、資格の有無で毎月の給料に差が出るならば、「自分も取得してみようかな?」と思う人も多いでしょう。
目指したい職種に関連する資格があるならば、ぜひ資格取得を目指して勉強してみてください。
参考:人気のIT系資格☆合格したら給与はいくら上がる?|【Tech総研】 (rikunabi.com)
Webエンジニア転職におすすめの資格
ネットで調べるとWebエンジニアにおすすめの資格が多数存在し、どれを取得すれば良いか迷ってしまう人もいるかと思います。
ここではIT知識が体系的に身につく資格を3つご紹介します。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
具体的に1つずつ見ていきましょう。
ITパスポート
ITパスポートはITを活用するすべての社会人や学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が問われる国家試験です。
具体的には新しい技術(AI、ビッグデータ、IoTなど)や新しい手法(アジャイルなど)の概要、経営やIT、プロジェクトマネジメントの知識など幅広い分野から出題されます。
ユーキャンによるとITパスポートの合格率は約50%で、比較的取得しやすい資格だと言えます。
IT業界未経験者は、ITパスポートの取得から始めてみるのも良いでしょう。
公式サイト:ITパスポート試験
参考:ITパスポート試験の難易度と合格率 | 受験に必要な知識・勉強時間まで解説
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験はITパスポート同様にITに関する基礎知識が問われる国家試験です。
合格率は28.5%でITパスポートよりも難易度が上がります。
試験範囲はソフトウェアやプログラミングなどのテクノロジ系、プロジェクトやサービスといったマネジメント系、システム戦略や経営戦略などのストラテジ系から出題されます。
エンジニアの登竜門として知られる基本情報技術者試験。Webエンジニアとして必要な基礎知識が身につきます。
公式サイト:IPA 独立行政法人情報処理推進機構:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験
参考:令和元年度秋期情報処理技術者試験(情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験)の合格者を発表
応用情報処理技術者試験
応用情報処理技術者試験は技術系や管理系、経営といった幅広い知識と応用力が身につく国家試験です。
高度IT人材を目指す資格で、基本情報技術者試験の上位に位置づけられています。
合格率は24%と非常に狭き門である応用情報処理技術者試験。
Webエンジニアの中でも経験や実績を積んだ人材を対象にしています。
基本情報技術者からのステップアップを図りたい人におすすめの資格です。
公式サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:応用情報技術者試験
参考:令和3年度春期 応用情報技術者試験合格発表 分析コメントと今後の対策
技術力を示すのにおすすめの資格
Webエンジニアとしての技術力を示すのにおすすめな資格を5つご紹介します。
- PHP技術者認定試験
- HTML5プロフェッショナル認定試験
- Ruby技術者認定試験
- Oracle Certified Java Programmer
- Javaプログラミング能力認定試験
具体的に1つずつ見ていきましょう。
PHP技術者認定試験
PHP技術者認定試験はPHP技術者認定機構が主催する試験で、初級、上級、ウィザードの3つのレベルに分類されます。
PHP言語はサーバー上で動くプログラミング言語です。
アメリカのQ-Success社が発表したデータによると、Webサイトの約78%がPHP言語で開発されています。
そのためPHP言語は需要が高く求人数も多いので、未経験からWebエンジニアに挑戦したい人におすすめです。
公式サイト:PHP技術者認定機構
参考:Historical trends in the usage statistics of server-side programming languages for websites
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験はLPI-Japanが主催する試験で、Level1とLevel2に分類されます。
HTML5やCSS、JavaScriptはWebサイト制作において欠かせない知識です。
Webエンジニアの中でも、WebサイトやWebアプリケーションなどユーザーが見る部分を制作する、フロントエンドエンジニアを目指す人におすすめの資格です。
公式サイト:Web資格なら「HTML5プロフェッショナル認定試験」
Ruby技術者認定試験
Ruby技術者認定試験はRubyアソシエーションが主催する試験で、SilverとGoldに分類されています。
Rubyは比較的新しい言語のためPHP言語に比べて案件数は少なめですが、Rubyを使ったWebサービスは年々増えているので需要も高まっていくでしょう。
公式サイト:Ruby Association
Oracle Certified Java Programmer
Oracle Certified Java Programmerはオラクル社が主催する試験で、BronzeとSilver、Goldの3つに分類されます。
受験料が15,000円〜30,000円と高額ですが、Javaを開発しているオラクル社の公式ベンダー資格なので、就職や転職に有利に働く可能性が高いでしょう。
公式サイト:Oracle University
Javaプログラミング能力認定試験
Javaプログラミング能力認定試験は、サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催する試験で、1級から3級まであります。
TIOBE Softwareが発表したプログラミング言語の人気ランキングによると、2022年5月時点でJavaは3位を占めておりトレンドの言語だと言えます。
需要を伸ばしているWebアプリケーションや大規模開発に使われる言語なので、今後もJavaの需要は上がっていくと予想されます。
Oracle Certified Java Programmerよりも良心的な価格なので、力試しに受けてみるのも良いでしょう。
参考サイト:Javaプログラミング能力認定試験
Webエンジニアが資格を取得するための勉強方法
Webエンジニアが資格取得するための勉強方法を3つご紹介します。
- 参考書
- オンライン講座
- スクール
具体的に1つずつ見ていきましょう。
参考書
資格試験に特化した参考書は多数販売されているので、自分に合った参考書を探してみましょう。
独学は自分のペースで場所を選ばずに勉強を進められます。
またスクールや有料のオンライン講座と比べて、費用を安く抑えられるメリットがあります。
しかし分からないことが出てきた場合は、自分自身で解決しなければいけません。
またモチベーションが維持しづらいといったデメリットもあります。
オンライン講座
オンライン講座とは、インターネット上で受講できる講座のことを指します。
スマホやパソコンがあれば受講できるため、忙しい社会人や近くにスクールがない方にオススメの勉強方法です。
有料のSchooやUdemy、無料で使えるYouTubeなどさまざまな動画配信サービスがあります。
しかし講座の配信が終了したり、資格の試験範囲をすべて網羅していない場合もあるので、参考書と併用しての使用をおすすめします。
スクール
一人での勉強に不安を感じる人や、勉強しながら現場で使えるスキルを身に付けたいと考える人は、スクールの活用をおすすめします。
参考書やオンライン講座に比べて費用はかかりますが、分からないことを説明してくれるプロがいるので未経験者でも安心して学べます。
また通学型やオンライン型のスクールがあるので、ライフスタイルに合った学習方法が選べるのも魅力的です。
iTECやWinスクール、INTERNET ACADEMYなど資格取得に特化したコースを用意したスクールがあるので、取得したい資格や費用、通い方などあなたの希望に合ったスクールを探してみてください。
職種や言語によっても取るべき資格は変わる
あなたが目指す職種や使用する言語によって、取るべき資格は変わってきます。
例えばフロント側の言語(HTML・CSS・JavaScript)を扱うWebエンジニアがいると仮定します。
基本情報技術者試験やHTML5プロフェッショナル認定試験は、IT全般の知識や業務で使うスキルに関わる資格なので取得したら役に立つでしょう。
しかしJavaプログラミング能力検定試験は、業務とは直接関係ないので取得してもあまり意味がありません。
資格を取って無駄になることはありませんが、あなたの仕事の強みになる資格を選ぶように心がけましょう。
あくまでも重要なのはスキルや経験
ここまで技術力を示すのに有効な資格や勉強方法について触れてきましたが、資格があるというだけで即戦力になるとは限りません。
一番大事なのは、あくまでもその人が持っているスキルや経験です。
特に重要なスキルや経験は以下の通り。
- データベース関連のスキル
- セキュリティ関連のスキル
- Linux関連スキル
- クラウド関連スキル
具体的に1つずつ見ていきましょう。
データベース関連のスキル
データベースに関する分野は専門性も高く「データベースエンジニア」と呼ばれる専門性の高い職種もあります。
一般的に、データベースエンジニアに求められる能力は以下の通り。
- 情報システムに関する全般知識
- システム開発の知識
- データベースを扱う知識・スキル
- データモデルの知識
- セキュリティに関する知識とスキル
- コミュニケーションスキル
- 論理的思考
引用:データベースエンジニアのスキルセットを7つ紹介!習得方法やキャリアパスを解説 – WEBCAMP MEDIA (web-camp.io)
いずれも、データベースを設計・開発・管理・運用・保守するためには欠かせないスキルです。
特に、クライアントの要望を叶えるためのコミュニケーションスキルやデータベース構築に必要な論理的思考も求められるスキルであるということを心に留めておきましょう。
セキュリティ関連のスキル
セキュリティに関するスキルは、今現在、多くの企業で求められているスキルの1つです。
セキュリティ対策が脆弱なために、個人情報が流出したり、サイバー攻撃の標的になったりすると、企業の信用問題・経営破綻に繋がる可能性もあります。
そのため、高いセキュリティ関連のスキルを持った人材を多くの企業が必要としているのです。
こちらも「セキュリティエンジニア」と呼ばれる専門性の高い職種がありますが、求められる能力は以下の通り。
- 基礎的なIT技術系のスキルと知識
- 経営に関する知識
- 法律に関する知識
- 規格認証に関する知識
- サーバーやネットワーク、OSの知識
- サイバーセキュリティに関する知識
- マネジメントスキル
- コミュニケーションスキル
引用:セキュリティエンジニアになるには?必要なスキルや知識も紹介 (levtech.jp)
いずれも、セキュリティに関する企画・設計・実装・テスト・運用に必要なスキルですので、再度確認しておきましょう。
参考:セキュリティエンジニアのスキルマップとは? (levtech.jp)
Linux関連スキル
Linuxはリーナス・トーバルズ氏によって開発されたOSで、Windowsと双璧を成す世界トップレベルのOSです。
Linuxに関する仕事内容として、サーバーの設計・構築・運用・保守などの業務があり、今後ますますその需要は高まっていくでしょう。
これらの業務を進める上で欠かせないスキルが以下の7つ。
- コミュニケーション能力
- ヒアリングと提案能力
- 文章作成能力
- マネジメントスキル
- Linuxの知識
- ITインフラの専門知識や経験
- クラウドの知識とスキル
引用:Linuxエンジニアとは?Linuxエンジニアの主な業務5つとやりがいを紹介 – IT業界、エンジニア、就活生、第二新卒、転職者、20代向け情報サイト (acrovision.jp)
Linux・ITインフラ・クラウド関連の知識が必要なのはもちろんのこと、その他技術的な部分以外のスキルも非常に必要なことが分かります。
顧客の要望を聞き取るコミュニケーション能力やヒアリング能力、仕様書や設計書を作成するための文章作成能力、進捗管理をおこなうためのマネジメントスキルなど。
Linux関連の業務は自分一人では完結できないため、多くの人と協力してスムーズに仕事を進めていくための能力が一層重要となります。
クラウド関連スキル
クラウドの登場によりインターネット上でインフラの構築・運用ができるのが当たり前になってきています。このクラウド関連スキルに必要な知識や技術は主に以下の5つ。
- クラウドサービスを扱う知識・スキル
- サーバー・ネットワークの知識・スキル
- ミドルウェアの知識・スキル
- セキュリティの知識・スキル
- プログラミングスキル
引用:クラウドエンジニアに必要なスキル8選!技術・社会人スキル別に解説 | 侍エンジニアブログ (sejuku.net)
1つ目のクラウドサービスについては、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)、Azure(マイクロソフトのアジュール)、GCP(グーグル・クラウド・プラットフォーム)など。
2つ目のサーバーネットワークについては、Wi-FiやLANなどネットワーク整備関連。
3つ目のミドルウェアはOSとアプリケーションの間にあるシステムのことで、Webサーバー
やデータベース等。
4つ目のセキュリティについては、データ流出やハッキングなど設定項目。
5つ目のプログラミングスキルについては、Python・Ruby・Javaなどを習得することでの作業効率の向上。
これらの5つの技術的な知識・スキルに加え、コミュニケーション能力・企画力・マネジメント能力など社会人に欠かせないスキルも忘れてはいけません。
参考:クラウドエンジニアに必要なスキル8選!技術・社会人スキル別に解説 | 侍エンジニアブログ (sejuku.net)
資格取得でWebエンジニアとしてのレベルを上げよう
Webエンジニアになるために資格は必要ありませんが、あなたが習得したITスキルや知識を客観的に証明できます。
資格を取得することで転職が有利に進んだり、年収が上がる可能性もあります。
しかし現場で活躍するWebエンジニアになるためには、資格よりも実践で使えるスキルのほうが大切です。
ただの資格マニアにならないように仕事に活かせるか考えた上で、あなたに本当に必要な資格を取得しましょう。