ディレクトリ構造という用語は、あまり馴染みのない言葉かもしれません。
しかし、サイトづくりにおいてはとても重視されている事柄です。
ディレクトリ構造をしっかりと設計することで、検索結果の上位表示につながります。
本記事では、はじめにディレクトリ構造とは何かや、なぜSEOにも良い影響があるのかを分かりやすく解説することにしました。
その上で、SEOに効果的な設計のポイントやNG例など、ディレクトリ構造を最適化するための実践的なアドバイスをします。
ユーザビリティ・検索順位改善に大きく関わる内容なので、ぜひ参考にしてください。
ディレクトリ構造とは
ディレクトリ構造とは、サーバーにアップロードされたファイルやフォルダの構造のことです。
我々が日常的に利用するWebサイトは、サーバーに保存された様々なファイルによって構成されています。
それらのファイルは乱雑に存在するのではなく、TOPページ、カテゴリーページなど役割や内容ごとに分類されて保存されているのです。
身近なものを例にとると、PC内のファイルをイメージすると分かりやすいでしょう。
複数あるファイルをバラバラな状態で保存していると、いざデータを探すとき、どこに何があるのかが分からなくて不便ですよね。
しかし、保存する際に「写真」「仕事関係」「プライベート」などのカテゴリーごとのフォルダを作って整理しておくとどうでしょう。
必要なデータがどこにあるか分かりやすく、探し物がすぐにみつかりますよね。
Webサイトに関しても同じことが当てはまります。
それぞれのページが役割・内容ごとにきちんと分類されていると、検索エンジンやユーザーにとっても分かりやすいサイトになるのです。
SEOにおいてディレクトリ構造が重要な理由
ディレクトリ構造がどういうものかということは理解していただけたでしょうか。
実はディレクトリ構造の改善は、SEOという観点からも重視されているのです。
ここからは、サイトの構造がなぜ上位表示に関係するのかについて以下の3つの点から説明します。
- クローラビリティが向上する
- ユーザビリティが向上する
- サイトのテーマ性が高まる
クローラビリティが向上する
ディレクトリ構造が整っていると、検索エンジンがクローリングしやすいサイトになります。
クローラーとは検索エンジンがWebサイトなどのデータを収集するために用いるロボットのことです。
そして、クローラビリティとは、このロボットがどの程度データをみつけやすくなっているかの度合いを示しています。
Googleはこのロボットが集めた情報をもとにインデックスを行っているので、クローラビリティを高めることは非常に大切です。
ディレクトリ構造が整っていないと、クローラーによるページの見落としや、クロール効率の低下を招きます。
その結果、大事なページが評価されず、いつまでもインデックスされないケースもあるのです。
このような事態を防ぐためにも、ディレクトリ構造を最適化し、適切にクローリングが行われる環境を整えておくべきといえます。
ユーザビリティが向上する
ディレクトリ構造が適切なサイトは、ユーザーにとっても使いやすいサイトといえます。
構造が整っているということは、それだけ情報が整理整頓されており、訪問者が欲しい情報を見つけやすい状態です。
ここで、悪い例としてディレクトリ構造がしっかりしていない場合を想像してみましょう。
会社へのアクセス情報、商品の紹介、IR情報など全くジャンルの異なる情報が分類されず、全て同じ階層に並列しているようなサイトがあるとします。
このような情報が散乱している状態においては、ユーザーは欲しい情報が見つけられず困惑してしまうことでしょう。
逆にサイト内の情報が一定の規則のもとに整理されていると、ユーザーは訪問の目的を達成しやすくなります。
そうなれば、訪問者の離脱防止・滞在時間の伸長を招き、結果的にSEOにもいい影響がもたらされるのです。
サイトのテーマ性が高まる
ディレクトリ構造をしっかり設計すると、内容に一貫性が生まれ、サイトのテーマ性を高めてくれます。
サイトテーマとは端的にいえば、サイト全体を通して何について書かれているかということです。
テーマ性が高ければ、検索エンジンから「専門性の高いサイト」と評価され、検索結果に優先的に表示されます。
例えばレシピサイトについて考えてみましょう。
サイト内には、和食・洋食・中華・エスニックなど、複数のジャンルに分かれて様々なレシピが保存されています。
一見すると、それぞれバラバラで統一感がないようにも思われますが、全体としては「レシピ」という1つのテーマが貫かれていますよね。
Googleがサイトの質を評価する際に重視するのは以下の4つの点です。
- Experience(経験)
- Expertise(専門性)
- Authoritativeness(権威性)
- Trust(信頼)
この評価基準は、それぞれの頭文字をとってE-E-A-Tと呼ばれます。
テーマ性アップはE-E-A-Tの担保になり、SEO対策に繋がるといえるので、軽視できない要素です。
ディレクトリ構造最適化のメリット
ディレクトリ構造の最適化には、SEOに直接関係しない部分でもメリットがあります。
それは、サイトを運営するための作業に関わる事柄です。
ここからは、ディレクトリ構造を整理することの利点のうち、運営者目線から見た、以下の2つの利点を紹介していきます。
- サイト管理がしやすくなる
- データ分析がしやすくなる
サイト管理がしやすくなる
ディレクトリ構造が整理されているサイトは、運営者にとって管理がしやすいサイトです。
運営期間が長くなるほど、コンテンツの量は膨大になっていきます。
そうなれば、データが規則性を持って収納されていない場合、欲しいデータへたどり着くのが困難であることは想像がつきますよね。
サイトを運営していく中で、過去に作ったコンテンツに修正を加えたり、不要なコンテンツを削除する場面がでてきます。
その際、どこに何があるのかが分かりづらいとデータ探しに時間がかかり、作業に支障をきたすでしょう。
また、新しいコンテンツの追加時にディレクトリ構造が整理されていなければ、新コンテンツをどこに加えればいいか判断がつきません。
長く運営を続けると、管理者が交代することもあるでしょう。
誰が作業しても、すぐに何がどこにあるのか把握できるような、整頓されたディレクトリ構造を目指すと良いです。
データ分析がしやすくなる
ディレクトリ構造を整えると、URLにも規則性が生まれ、分析作業がしやすくなるというのも利点の1つです。
サイトを運営していく上で、アクセス状況などのデータを分析することは非常に大切な作業といえます。
アクセス分析を行い、現行の課題を浮き彫りにし改善を行えば、売り上げやコンバージョン率をアップさせられるからです。
ディレクトリ構造が最適化されていると、この分析作業が効率よく行えます。
例えば次のようにディレクトリ構造が整えられているとしましょう。
第1階層:TOPページ【https://example.com】
第2階層:海外旅行(カテゴリー)【https://example.com/overseas】
第3階層:海外旅行にまつわるブログ(ブログページ)【https://example.com/overseas/1234】
最適化されていない場合は、それぞれのページのURLを1つずつ入力することになります。
しかし、上記のように最適化されているサイトならばその必要はありません。
海外旅行カテゴリ全体の分析を行う場合、URLにhttps://example.com/overseasを含むページを指定すれば完了なのです。
SEOに効果的なディレクトリ構造
ここまで読んだ時点で、適切なディレクトリ構造には様々な利点があることが分かっていただけたことでしょう。
ここからは、SEOに効果的なディレクトリ構造にするための以下のようなポイントを説明していきます。
- ツリー構造にする
- 4階層以内にする
- 親ページ・子ページの関係を整える
- ディレクトリ構造を意識したURLにする
- パンくずリストを設置する
- 内部リンクを設置する
ツリー構造にする
ディレクトリ構造は、ツリー構造にすることが理想的です。
ツリー構造とは、1つの親ページから複数の子ページ、孫ページへと枝分かれして広がっていくような構造のことを表します。
普段よくみかけるWebサイトの構成を思い出してみましょう。
まず、TOPページがあり、その下に会社情報・商品情報・ブログなどいくつかのカテゴリに分けられたディレクトリがあります。
さらに各カテゴリーの中に、様々な詳細ページが配置される形をとっていますよね。
そのような構成になっていると、検索エンジンのクローラーにとってクロールしやすいサイトになります。
また、サイトを閲覧する人にとっても、目指す情報がどこにあるのかが把握しやすく、使い勝手が良いという利点をもたらすのです。
4階層以内にする
SEO業界では、3クリック以内で目当てのページへ到着できる構造が理想とされています。
3クリック以内というのは、TOPページから特定のページに辿り着くために要するクリック数が3を上回らないということです。
第1階層のTOPページからスタートし、3クリック以内で到着できるのは第4階層までということになるため、4階層以内が理想的といわれます。
これを意識していないと、Googleのクローラーがサイト内を満遍なく巡回するのを妨げる要因となるでしょう。
また、訪問者にとっては、ストレスを感じる原因にもなりかねません。
なぜなら、欲しい情報にたどり着くまでが遠く、操作も複雑になるからです。
過大なストレスはユーザーの離脱を招くことになります。
これらの弊害を防ぐためにも、階層は4層以内に納まるように設計しましょう。
親ページ・子ページの関係を整える
親ページ・子ページといった各階層の関係が適切かを確認してみてください。
両者の関係が整っていないと、訪問者にとって分かりづらいサイトとなってしまうからです。
例えば、家電の紹介サイトがあったとします。
スマートフォンという階層があり、その下にiPhone・Androidというより細かいテーマが入っている場合は自然で分かりやすいですよね。
もしも、これが逆になっていたらどうでしょうか。
iPhoneという階層の下に、スマートフォンというよりジェネラルな言葉がカテゴライズされていると、いかにもちぐはぐな印象を与えます。
階層関係は、大きなテーマの中に、より細かく細分化されたテーマが入れ子になっているかに注意しましょう。
ディレクトリ構造を意識したURLにする
URLは、ディレクトリ構造を意識しつつ、シンプルで分かりやすいものにしましょう。
URLがコンテンツ内容にあった適切なものに設定されていると、ユーザーにもクローラーにとっても分かりやすいサイトになります。
例えば、URLがhttp://example.com/smartphone/iphone/だとしましょう。
訪問者は、自分が今スマホというカテゴリーの中でも特にiPhoneについて書かれたコンテンツにいるということが一目で理解できますよね。
逆に、URLがhttp://example.com/%E55%…/1122/のような数字や記号の羅列だったらどうでしょうか。
これを見ただけでは、コンテンツのことやサイト内での現在地については一切ヒントが得られませんよね。
構造を意識した明瞭なURLはユーザーとクローラーに階層関係や当該コンテンツの内容・役割を伝えてくれます。
パンくずリストを設置する
パンくずリストを活用すると、訪問者がサイトのディレクトリ構造を把握しやすくなります。
パンくずリストとは、サイト訪問者にサイト内での現在地を視覚的にわかりやすく示す表示のことです。
一言にパンくずリストといってもいくつか種類がありますが、位置型パンくずリストが最も一般的でしょう。
普段色々なページを閲覧していると、「TOP>カテゴリ>コンテンツ名」といったような表示を見かけませんか。
現在閲覧していただいているLaunch Studioの場合、記事上部に表示されていますね。
これが位置型パンくずリストと呼ばれ、TOPページから現在読んでいるコンテンツまでの階層を表示したものです。
サイトのディレクトリ構造に則った形で表示されるため、仮にどの階層から流入してきたとしても、読者は自分の現在地がすぐに把握できます。
また、検索エンジンのクローラーはパンくずリストをたよりに巡回をおこなうため、パンくずリストの活用はクローラビリティ向上にも寄与するのです。
内部リンクを設置する
ディレクトリ構造を整えた上で内部リンクを活用すると、クローラビリティ・ユーザビリティのさらなる向上が図れます。
内部リンクとは、同一ドメイン内の異なるコンテンツ同士を結ぶリンクのことです。
関連性の高いコンテンツ同士を繋ぐことは、SEOにも効果的という話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
サイトの構造を整えたら、内部リンクの最適化も図りましょう。
ディレクトリ構造がしっかり設計されていても、内部リンクが上手く活用されていなければ、クローラーがコンテンツを見落とす原因になります。
また、サイトを訪れた読者からしても、内部リンクが効果的に貼られていないとコンテンツ同士を自由に移動できず不便です。
内部リンクはディレクトリ構造と密接に関連しており、上手く活用すればディレクトリ構造をさらに活かすことができるでしょう。
ディレクトリ構造のNG例
上手に整備されると様々な利点があるディレクトリ構造ですが、誤った設計をしてしまうと逆効果になります。
そのような失敗を回避すべく、ここからはディレクトリ構造の設計にありがちな、次の2つの失敗例をみていきましょう。
- 階層が深すぎる
- 空の階層がある
自サイトがこれらの失敗例のようになっていないか点検してください。
階層が深すぎる
サイトの階層は深くなりすぎないように注意してください。
階層の深さが、直接ランキング結果を左右することはありません。
しかし、階層が深すぎるとクローラーがコンテンツをみつけるまでに時間がかかります。
そのため、深いところにあるコンテンツほど重要度が低いと認識されるのです。
また、深すぎる階層はユーザビリティの観点からも考え物といえます。
階層があまりにも深すぎると、訪問者が目当ての情報に辿りつくまでに手間と時間がかかることになり、離脱の原因になるからです。
特に、サイトの規模が大きくなるほど階層も深くなる傾向があるので、十分に気をつけましょう。
空の階層がある
空の階層があるパターンも、理想的なディレクトリ構造とはいえません。
そもそも空の階層があるとはどういうことか考えてみましょう。
例えば語学スクールの検索サイトがあるとします。
サイト内が「大阪府>梅田エリア>梅田のスペイン語教室」となっているのが理想的な設計です。
ここでもし、梅田エリアの部分が空になっていたらどうでしょうか。
大阪府から一気に梅田のスペイン語教室まで飛んでしまうことになりますよね。
このような設計になっていると、ユーザーやクローラーの混乱を招くことになります。
空の階層を含んでいないか、今一度自サイトを確認してみましょう。
ディレクトリ構造を最適化しよう
本記事ではSEOとディレクトリ構造に関する重要な事項を説明しました。
ディレクトリ構造を最適化すると、クローラビリティ・ユーザービリティ・サイトのテーマ性が向上することがわかりましたね。
さらに、運営者の視点からも、サイトの管理やデータ分析がしやすくなるという報告があります。
このように、ディレクトリ構造を整えると、サイト運営において多くの面で良い効果が期待できるのです。
ぜひ、本記事で紹介した構造設計に関するアドバイスを参考にしてサイトづくりを行ってみてください。
ユーザー・検索エンジンそして運営者にとっても有益となるでしょう。