Webサイトのデザイン業務を行うWebデザイナーの需要は、Webサービスの普及とともに上昇しています。
特にWebデザイナーという職業が広く知られるようになった2000年代以降、右肩上がりで需要が高まっています。
スマートフォンの普及やインターネット広告費の増加によってインターネット上での取引が増え、最近ではコロナ禍の外出自粛から、さらに取引増が見込まれ、今後もWeb業界の成長は続くといえるでしょう。
しかし最近ではAIの発達などから、Webデザイナーの需要が減っていくという声も挙がっています。
実際、今後のWebデザイナーの需要はどうなっていくのでしょうか?
本記事では、Webデザイナーという仕事がなくなっていくかという点とWebデザイナーとして活躍し続ける方法を解説します。
Webデザイナーがなくなると言われる理由
一般的にWebデザイナーがなくなると言われる理由として、以下の4つが挙げられることが多いです。
- 浅い知識でも簡単なサイトなら作れるようになったから
- AIに仕事が取られるという噂
- Webデザイナー間の競争激化
- SNSの普及でWebサイトの需要が下がった?
それぞれの理由について解説します。
浅い知識でも簡単なサイトなら作れるようになったから
Webデザイナーがなくなると言われる1つ目の理由は、浅い知識でも簡単なサイトを作れるようになったからです。
ネット上には多くのWebサイトが存在し、デザインを参考にできるサイトも数多く存在します。
そのため深い知識がなくても、デザインを作成することが可能です。
また、ノーコードツールや自動でバナーなどを作成できるサービスも増えてきており、素人でも簡単に作成できます。
しかしそうなると簡単なWebサイトであふれるため、より付加価値をつけられるWebデザイナーが求められ、結果的にWebデザイナーの需要自体がなくなることはないといえます。
AIに仕事が取られるという噂
Webデザイナーがなくなると言われる2つ目の理由は、AIに仕事が取られると考えられるからです。
上述したようにノーコードでWebサイトを作れるようになったりと、技術的な補助で簡単にWebサイトが作れるようになってきています。
しかし、簡単なデザイン作成やコーティングなど一部の作業はAIに取られる可能性があるものの、すべての仕事が取られる可能性は低いです。
あくまでクライアントが求めているのはきれいなデザインだけではなく、「商品やサービスが売れるための」デザインです。
そのため、Webデザイン知識に加えてWebマーケティングの知識を身につけておく必要があるのを覚えておくとよいでしょう。
Webデザイナー間の競争激化
Webデザイナーがなくなると言われる3つ目の理由は、Webデザイナー間の競争激化です。
Webデザインを学べるスクールが増えたことや独学でもスキルを身につけられるなど、Webに関するスキルを習得するハードルがかなり下がっています。
また近年では子供向けプログラミング教育も増えたりとITに強い若者が増え、学生のうちにフリーランスとして働き始める方もいるほどです。
こういった背景からWebデザイナーを目指す人が増え、低いスキルレベルだと競争に負けて仕事を取りづらくなっています。
競争に勝ち残るためにも、顧客のニーズに応えられる「強み」を持ったWebデザイナーが必要とされるでしょう。
SNSの普及でWebサイトの需要が下がった?
Webデザイナーがなくなると言われる4つ目の理由は、SNSの普及でWebサイトの需要が下がってきていると考えられるからです。
会社の商品やサービスをWeb上でアピールできるのはWebサイトだけではありません。
TwitterやInstagram、FacebookといったSNSツールでもWeb上での宣伝効果が期待できます。
そのため、企業や業界によっては自社でホームページを用意するよりもSNSで宣伝を行う方が効果が高いと考えるところも多いです。
こういったところから、Webデザイナーがなくなるのではないかという噂に繋がっています。
Webデザイナーがなくならないと言える根拠
これまでWebデザイナーがなくなると言われる理由を解説してきましたが、もちろんWebデザイナーがなくならないと言える根拠もあります。
業界の状況を正しく把握して需要のあるWebデザイナーになることを目指せば、Webデザイナーとして仕事が来なくなるということはないでしょう。
Webデザイナーがなくならないと言える根拠として、今回は以下の2点に注目して解説します。
- より付加価値の高い仕事に取り組む必要があるから
- Web制作はなくならないから
より付加価値の高い仕事に取り組む必要があるから
Webデザイナーがなくなると言われる理由でも述べましたが、簡単なWebサイトを作れるようになったことから、Webデザイナーとして活躍するにはより付加価値の高い仕事に取り組む必要があります。
例えば、マーケティングスキルを身につけてよりユーザーの興味を惹きつけるデザインを制作したり、ディレクションスキルを身につけてWeb制作チームのマネジメントも行える人材になったりといった具合です。
こういったように、デザイナー視点からマーケティングやディレクション業務などをできるようになると、AIに全ての仕事を取られる可能性は低いです。
Web制作はなくならないから
インターネットの普及によりWeb業界自体は成長していき、企業としてもWebサイトを制作して欲しいという需要は高まる一方です。
そのため、Web業界の動向から考えてWebデザイナーの需要が大きく下がることはないです。
しかし上述しましたが、指示されたものだけを作るWebデザイナーではWebデザイナー間の競争に負けてしまう可能性があります。
そのため、マーケティングスキルなどを身につけて自身のWebデザイナーとしての付加価値を高める必要性があることを認識しておくとよいでしょう。
Webデザイナーとして生き残るためにやるべきこと
今後もWebデザイナーとして生き残るためには、ただWebサイトを作れるだけでは難しいです。
Webデザインを制作できるのはもちろんのこと、プラスアルファでスキルを身につけると今後も活躍することができるでしょう。
やるべきこととしては、以下の3つが挙げられます。
- Webデザインスキルを磨き続ける
- 関連するスキルを身につける
- ディレクション・マネジメントを行えるようにする
それぞれ解説します。
Webデザインスキルを磨き続ける
活躍できるデザイナーになるためには、レイアウトやフォント、配色といった基礎知識は押さえつつ、移り変わっていくデザインのトレンドに日頃からアンテナを張り巡らせ、表現の引き出しを増やし続けることが大切です。
話題のWebサイトなどは実際に使用しながら、デザイナーと消費者、両面の視点からデザインスキルを伸ばすとよいでしょう。
また、Photoshop、Illustratorなど、クリエイティブの現場で使われるデザインツールも頻繁にバージョンアップされます。
追加された新機能を使いこなすことで、今までなかったデザイン表現ができるようになったり、業務効率化ができることもありますので、ツールのアップデートも重要です。
関連するスキルを身につける
デザインスキルの向上も効果的ですが、Webデザイナーとしての付加価値を高めていくために、Webデザイナーに関連した他のスキルを身につけることも効果的です。
例えば、プログラミングやマーケティング分野のスキルも身につけておくと、Webデザイナーに加えて他の仕事の幅も広げることができます。
特にマーケティングスキルは習得しておくことをおすすめします。
Webサイトにユーザーを集客し、売上を伸ばすためにはマーケティングの知見が必須だからです。
おしゃれなデザインではなく、ユーザーの興味を惹くデザインができるWebデザイナーになることを意識しましょう。
ディレクション・マネジメントを行えるようにする
上記の「関連するスキルを身につける」とも繋がりますが、ディレクションやマネジメントを行えるようになると強いです。
実際にデザイン制作するデザイナーという立場から、チームマネジメントやマーケティング施策を考えたりといった、上流工程の仕事に就く立場へシフトする意識を持って、ディレクションやマネジメントスキルを身につけることに取り組むとよいでしょう。
早いうちからディレクションスキルなどを身につけた状態だと、数多くいるデザイナーから一つ抜きん出てデザイナー間の競争に巻き込まれにくくなります。
需要の高いWebデザイナーになるために意識すべきこと
スキルを向上させることももちろん重要ですが、今後も需要の高いWebデザイナーであり続けるためには業務上で意識するとよいことがいくつかあります。
今回は以下の3つを紹介します。
- スピード感を意識する
- デザイン・コーディング技術を向上させる
- ビジネスモデルを意識する
このことが身についていると、Webデザイナーとして一つレイヤーの高いパフォーマンスを発揮できるので、普段から意識して取り組むとよいでしょう。
スピード感を意識する
Webデザイナーとして業務レベルを上げようと考えたとき、いきなりデザインの質を上げることは難しいです。
デザインといったクリエイティブなスキルを向上させることはどうしても時間が必要となります。
そこで、自分で調節可能でクライアントの評価を上げやすいのが業務スピードです。
同じクオリティでも他の人より早く完成させられれば、それだけ自身の生産性が高いことを示せます。
一つの作業を終わらせるまでの時間を計測したり、普段から定時帰りしたりして、常に時間を意識すると業務のスピードアップに繋がるのでおすすめです。
デザイン・コーディング技術を向上させる
Webデザイナーとしての需要を高めるには、デザイン・コーディング技術を向上させることも重要です。
Webデザインはトレンドがあり、移り変わるスピードが早いです。
そのため、常にトレンドのキャッチアップを行い、最新のトレンドを取り入れる必要があります。
常に好奇心をもってデザインの基礎からトレンドまでを学び、ブラッシュアップし続けることを意識しましょう。
また、いいデザインのWebサイトを多く見ることもデザインの勉強になるので、いいデザインに触れる習慣をつけることもデザイン・コーディング技術の向上に繋がります。
ビジネスモデルを意識する
企業がWebサイトを制作する目的は、Webサイトを通じて商品やサービスの利益を上げることです。
WebデザイナーとしてWebサイトをデザインする際、このことを理解しているかどうかで成果物に大きな違いが生まれます。
見やすさや魅力的なデザインではなく、閲覧数やリーチ数といった数字に直結するようなデザインを制作することができます。
ビジネスモデルによって、クライアントのニーズも変わってくるものです。
そのため、ビジネスモデルを理解しているのとしていないのとでは、サイトの成果物つまり自身のWebデザイナーとしての業務レベルが大きく変わってきます。
Webデザイナーとして更にレベルアップするには
Webデザイナーとしてレベルアップして需要の高いWebデザイナーになっていくためには、以下の2つの方法がおすすめです。
- 転職して知識・経験を身につける
- フリーランスとして仕事を獲得する
この2つからわかる通り、Webデザイナーとしてスキルアップしたり、仕事の幅を広げるのならキャリアチェンジするのがベストです。
それぞれ解説します。
転職して知識・経験を身につける
まずは転職して制作会社や事業会社を経験して、更に企業内で学べる経験を積んで一連の仕事を高いレベルでこなせるようになりましょう。
ちなみに制作会社と事業会社では、会社の目的が違い、そのことから業務内容も異なります。
制作会社ではWebサイト制作を通してクライアントの課題解決が目的ですし、事業会社ではWebサービスを用いて収益を上げることが目的です。
そのため、制作会社ではWebサイト制作の一連の流れを経験できますし、事業会社ではWebサービスの運用を経験できます。
自身のキャリアプランに合った会社を選ぶことをおすすめします。
フリーランスとして仕事を獲得する
会社である程度経験を積むまたは独学で勉強して、フリーランスのWebデザイナーとして働く手もあります。
フリーランスで働く場合、クライアントと業務委託契約を結び、業務や作業を代行します。
どの案件と契約するかを自身で選べるので、働き方を自由に選べるのが特徴です。
フリーランスのWebデザイナーの場合には、サイトの企画から制作までをひとりで担う場合もあるので、マーケティングスキルが必須となります。
そのため、デザインからマーケティングまで幅広くスキルアップを目指せます。
自分自身で仕事を選択できるため、キャリアの選択肢も広いのがフリーランスのメリットです。
Webデザイナーの将来性は明るい
スキルアップ次第でWebデザイナーには多くのキャリアパスが存在します。
例えば、Webデザイナーの上位職のWebディレクターやWebプロデューサーだったり、プログラミングスキルを習得した上でフロントエンジニアになったり、更にデザイナースキルを磨いてアートディレクターになるという道もあるなど様々です。
それぞれ業務内容が違えば必要となるスキルも違います。
そのため、自身に合ったキャリアパスを調べて身につけるべきスキルや経験を知っておくことがとても大切です。
Webデザインプラスアルファのスキルを身につければ、様々なキャリアパスが期待でき将来性が高いといえるでしょう。
Webデザイナーはまだまだ必要とされる職種
本記事では、Webデザイナーという仕事がなくならない根拠とWebデザイナーとして活躍し続ける方法を解説してきました。
様々な噂でWebデザイナーの将来が危険視されていますが、Webデザイナーの需要は今後も続くことが見込まれるため、将来Webデザイナーの仕事がなくなるとは考えにくいです。
今後もWebデザイナーとして活躍し続けるためには、より付加価値を付けた仕事をこなす必要があります。
そのために、Webデザインのスキルを向上させたり、マーケティングスキルやディレクションスキルなどWebデザインに関連したスキルを身につけたりして、Webデザイナーとして仕事の幅を広げることが効果的です。
また仕事のスピード感を上げたりなど、そもそもの自身の業務レベルを向上させることも重要です。
Webデザイナーのキャリアパスは多様なため、スキルアップができれば将来性が高いといえます。
ぜひ本記事を参考に、自身のキャリアを考えるきっかけにしてください。