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ITアーキテクトとは?仕事内容や必要なスキル、キャリアプランまで解説

この記事の監修者
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橋本 琢王
CIRANUI株式会社代表取締役 2015年にエンジニアとしてのキャリアをスタートし、制作会社のWEBディレクター、ヘルスケアスタートアップのWEBエンジニア、事業会社のプロジェクトマネージャー・プロダクトマネージャーなど様々なプロジェクトに参画。 プロジェクトマネージャー、WEBディレクター、WEBエンジニアとしてのキャリアを築く。 プロジェクトに参画しながら、2016年にフリーランスチーム「FIREWORKS」を立ち上げ、フリーランスで活躍するエンジニアやデザイナーと共に、WEBブランディング、WEB開発を行う。 2021年に個人事業主から法人化をしてCIRANUI株式会社代表取締役に就任。

ITアーキテクトは企業の経営戦略を最適化するためのシステム設計を担う職種です。

DX化が急速に進む現代のビジネスシーンに欠かせない職種として注目を集めています。

求められるスキルは幅広く、ITの知識だけではなく経営やビジネスの知識、開発チームをまとめるためのスキルなど、様々な知識とスキルが高いレベルで必要です。

システムエンジニアからのキャリアアップ先としてITアーキテクトを目標にする方も増えています。

「ITアーキテクトに興味があるものの、難しそうなイメージがある」という方も多いのではないでしょうか?

本記事では、ITアーキテクトの仕事内容や必要なスキル、キャリアプラン、おすすめの資格などを詳しく解説していきます。

ITアーキテクトについて興味がある方や、プログラマーやシステムエンジニアからの転職を考えている方はぜひ参考にしてください。

ITアーキテクトとは

ITアーキテクトは、企業のビジネス戦略などに基づきシステム全体を設計する職種です。

アーキテクトとは通常「建築士や設計士」のことを指しますが、ITアーキテクトの場合はシステム設計の専門家を意味します。

具体的には、クライアントである企業の経営課題を解決するためのIT戦略の立案からシステム全体の設計までを担う「設計士」がITアーキテクトです。

ITアーキテクトの中には官公庁向けのITインフラの設計を行う方や、Webアプリケーションのシステム全体を設計する方など、様々な形で活躍しています。

近年、企業のDX化に伴い経営戦略とシステムの運用を最適化する企業が増えていることから、ニーズが高まっています。

システムエンジニアからのキャリアアップ先としても人気の職種です。

技術面のスキルや知識だけではなく、企画や提案などのビジネススキルや経営に関する知識も求められるため、IT職種の中でも上級職に位置づけられます。

ITアーキテクトの仕事内容

ITアーキテクトの仕事内容は、企業の経営戦略やビジネス課題をもとに、問題なく運用できるシステムを設計することです。

ビジネスとシステムをつなぐ上で必要な仕様や要件の検討・運用から保守、技術チームのマネジメントも含めた全体の設計図をデザインします。

専門分野によって仕事内容が異なり、分類は下記の3つです。

  • アプリケーション・アーキテクチャ
  • インテグレーション・アーキテクチャ
  • インフラストラクチャ・アーキテクチャ

それぞれの仕事内容について解説していきます。

アプリケーション・アーキテクチャ

アプリケーション・アーキテクチャは、ソフトウェアの設計や基本構造の設計に特化したITアーキテクトの専門分野の一つです。

任される仕事は単にソフトウェアを設計するだけではありません。

企業の経営戦略におけるニーズを満たすための技術やフレームワークの決定、システム全体の方向性を決めることが役割です。

その上で、ユーザビリティやパフォーマンスを考慮したソフトウェアの設計が求められます。

このように、ビジネス面とユーザー面の両方の視点に立って、バランスの取れたソフトウェアを設計することがアプリケーション・アーキテクチャの仕事内容です。

インテグレーション・アーキテクチャ

インテグレーション・アーキテクチャは、複数のアプリケーションやシステムの統合に特化したITアーキテクトの専門分野の一つです。

複数の部署がある企業や、企業間で使用されている複数のアプリケーションやシステムの統合・連携を実現するための設計を担います。

主な業務は、システム設計や仕様書の作成、システムのインストールや設定などシステム間のデータ連携を実現することです。

複数あるアプリケーションやシステムの統合・連携が可能になれば、業務の効率改善につながるので経営的視点から見ても必要な仕事といえます。

これまで部署間で異なる複数のシステムを利用してきた大企業や部署の多い企業に求められる分野です。

インフラストラクチャ・アーキテクチャ

インフラストラクチャ・アーキテクチャは、システムにおけるインフラ環境の設計に特化したITアーキテクトの分野です。

インフラとは基盤のことで、システム基盤はハードウェア・プラットフォーム・セキュリティなどのシステムの土台部分の設計を担います。

ITインフラは企業全体のシステムの土台であり、それを専門とするインフラストラクチャ・アーキテクチャは非常に重要な職種です。

インフラストラクチャ・アーキテクチャは、企業の経営戦略やニーズに合わせてITインフラを設計・運用することで、技術方面から経営の土台を支える役割を担います。

ITアーキテクトに必要なスキル・知識

ITアーキテクトに必要なスキル・知識はITに関するものだけではありません。

企業の経営戦略を把握してシステム全体を設計するためには、経営やビジネスに関する幅広いスキルや知識が必要です。

ここでは、ITアーキテクトに必要なスキルを下記の3つに分けて紹介します。

  • システム開発スキル
  • コンサルティングスキル
  • コミュニケーションスキル

どれもITアーキテクトにとっては欠かせないスキルですので、確認してみましょう。

「独立行政法人情報処理推進機構」が定義するITアーキテクトに必要な知識を踏まえた上で解説していきます。

参照:独立行政法人情報処理推進機構

システム開発スキル

ITアーキテクトには、システム開発に関するスキルや総合的な知識が求められます。

それらの知識を持たないとITアーキテクトの役割であるシステム全体の設計ができません。

経営と技術をつなぐためのグランドデザインを設計するためにはシステム開発に関するスキルや総合的な知識が必要不可欠です。

システムエンジニアとしての経験があれば、ITに関する総合的な技術と知識を身につけられるので、ITアーキテクトを目指す方が多いのも納得できます。

現在システムエンジニアの仕事をしていて、将来的にITアーキテクトへのキャリアアップを目指す方はシステム開発スキルを磨いておくことが重要です。

コンサルティングスキル

ITアーキテクトには、システム設計や開発の技術スキルだけではなくコンサルティングスキルも必要となります。

経営層と協力してビジネス戦略に関わり、ITを駆使した業務改善方法などを提案する能力が求められるからです。

適切な業務改善方法を提案するためには、企業のビジネス戦略における課題やニーズを理解して運用可能なシステムを設計できる必要があります。

その上で、仮説の立案や検証を行い、どのようなアプローチで業務改善を行うべきか経営層に提案しなければいけません。

常に最新のIT技術や業界全体の流れ、企業の経営方針や抱える課題を把握しておくことで、改善方法を提案するコンサルティング能力を得られるでしょう。

コミュニケーションスキル

ITアーキテクトは一人で完結する仕事ではないので、必然的にコミュニケーションが発生します。

クライアント企業の経営層へのヒアリングや提案、技術チームでの打ち合わせなど、プロジェクトを円滑に進めるためにはコミュニケーションスキルが必要です。

経営面と技術面、双方の意見を把握してシステム全体を俯瞰しゴールに向かうためには、コミュニケーションによって情報を集める必要があります。

単にコミュニケーションを行うだけではなく、相手の意見を汲み取る能力や相手に伝わるように説明できる能力といった、全体をまとめ上げられる総合的なコミュニケーション能力が必要不可欠です。

ITアーキテクトの平均年収

ITアーキテクトの平均年収は778万円です。(参考:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年)

システムエンジニアの平均年収が509万円なので、ITアーキテクトの平均年収はIT業界の中でも高いといえます。(参考:求人ボックス

また、2021年の日本の平均年収が443万円であることから、日本国内の平均年収と比べてもITアーキテクトの年収は非常に高い水準です。(参考:国税庁令和3年分民間給与実態統計調査

外資系や所属する企業の規模によってはITアーキテクトとしての平均年収をさらに上回る年収を得ることもできるでしょう。

フリーランスとして独立することで、年収1,000万円を目指すことも可能です。

急速に企業のDX化が進む中、ITアーキテクトを求める企業は増え続けていることから、年収は今後も高水準で推移することが予測できます。

ITアーキテクトになるには

ITとビジネスに関する高いスキル、そして経験が必要なITアーキテクトになるためには、未経験からの転職は難しいとされています。

一般的にはシステムエンジニアやプログラマーからのキャリアアップとしてITアーキテクトになる場合がほとんどです。

ここではシステムエンジニアからのキャリアアップと、資格を取得して転職を有利にする方法についてご紹介します。

システムエンジニアとして経験を積む

ITアーキテクトになる方法としては、システムエンジニアとして経験を積みキャリアアップが一般的です。

ITアーキテクトには高いシステム開発スキルやITに関する知識や経験が求められるため、まずはシステムエンジニアとしてIT業界での経験を積むことが多くなっています。

システムエンジニアとして経験や技術を得てスキルアップした後は、システム開発のプロジェクトリーダーとしての経験が必要です。

ITアーキテクトには、チーム全体を巻き込んでプロジェクトを遂行するリーダーシップが求められます。

システムエンジニアとしてプロジェクトのリーダー経験があれば、ITアーキテクトを目指した際の転職活動でアピールできるポイントとなるでしょう。

資格を取得する

ITアーキテクトになるためには特定の資格取得は必須ではないものの、資格取得によるメリットがあります。

資格取得のメリットとしては、ITアーキテクトに求められる知識やスキルを保有していることを証明できる点です。

高度な知識や専門性の高いスキルを保有していることを証明できることで、転職活動でのアピールポイントとなります。

さらに、資格取得過程で必要なITの知識やITアーキテクトに求められるスキルが身につくことも大きなメリットです。

ITアーキテクトを目指す際に有利な資格は次にご紹介します。

ITアーキテクトに役立つ資格

ITアーキテクトに必須の資格はありませんが、資格取得はスキルの向上を促しスキルを保有していることを証明する手段となります。

今後ITアーキテクトを目指す方やフリーランスとして仕事を受注する際にアピールポイントが必要な場合は、取得しておいて損はないでしょう。

ITアーキテクトに役立つ資格は下記の2つです。

  • システムアーキテクト試験
  • プロジェクトマネージャー試験

それぞれ解説していきます。

システムアーキテクト試験

システムアーキテクト試験は、国家資格である情報処理技術者試験のひとつです。

この資格を取得することで、企業のIT戦略におけるニーズを経営層へヒアリングし、最適なシステム全体の設計を提案するスキルを有することを証明できます。

ITシステムの企画から設計・運用・保守まで、ITアーキテクトに必要なシステム全体を見渡すための総合的なITスキルを身につけたい人におすすめです。

広い視野でシステム全体を把握し、システム開発の上流工程に携わる能力を習得できるため、これからITアーキテクトを目指すエンジニアにとって役に立つでしょう。

プロジェクトマネージャー試験

プロジェクトマネージャー試験は、国家資格である情報処理技術者試験のひとつです。

この資格を取得することで、プロジェクトマネージャーに必要なプロジェクトの計画・進捗管理、品質・コスト管理、リスク管理などのスキルが身につきます。

プロジェクトマネージャーのスキルはプロジェクト全体を管理するITアーキテクトにも必要不可欠です。

これらのスキルは目に見えないので証明が難しいですが、プロジェクトマネージャーの資格を取得することで対外的にスキルの保有を証明できるでしょう。

合格率15%前後と難関資格ですが、システムエンジニアからITアーキテクトへのキャリアアップに最適な資格です。

ITアーキテクトのキャリアパス

ITアーキテクトはIT技術職の中でも上級職種ですが、さらに上を目指したい場合のキャリアパスもあります。

ITアーキテクトからさらにキャリアアップを目指す場合、主な進路は以下の3つが挙げられます。

  • ITコンサルタント
  • CTO
  • フリーランス

与えられる役割や働き方がそれぞれ異なるので、自分の適性や目指すキャリアに応じて選択することが重要です。

それぞれの内容や特徴を確認してみましょう。

ITコンサルタント

ITコンサルタントは、ITアーキテクトとして身につけたITの知識やマネジメントスキル・経営層への提案力を活かすキャリアです。

ITアーキテクトがビジネス戦略から技術面まで考慮してシステム全体を管理するのに対して、ITコンサルタントはITを用いた経営課題解決に特化しています。

しかし、両者には仕事内容が似ている部分もあるので、ITコンサルタントからITアーキテクトへキャリアアップを目指す方も多いです。

ITコンサルタントの平均年収はITアーキテクトと比較して高い傾向があり、特に外資系企業では1,500万円程度になることもあります。

CTO

CTOは「Chief Technical Officer」の略で、最高技術責任者という意味があります。

企業の技術戦略に関する方針や意思決定を担当する重要なポジションで、DX化が急速に進む現代においては非常に重要な役割です。

ITアーキテクトからCTOにキャリアアップをするためには、技術面の知識を深めるだけでなく経営戦略やマネジメントスキルも身につける必要があります。

スタートアップ企業ではCTOのポジションを募集していることがあり、まずはそこでCTOとしての経験を積むことがキャリアアップの近道です。

スタートアップ企業でCTOの経験を積めば、別の企業から声がかかる可能性もあります。

そうなればキャリアアップの選択肢が広がるでしょう。

フリーランス

ビジネスセンスや営業力に自信があれば、フリーランスとして独立することも可能です。

メリットとして、自分のスキルや経験を活かした案件を選択する自由や働き方の自由度も高くなります。

また、経験を積みフリーランスとして活躍すれば、ITに関するあらゆる仕事を巻き取れるため、収入アップが見込めることも魅力のひとつです。

もちろんフリーランスとして仕事を獲得するには、ITアーキテクトとしての高いスキルが求められます。

他にも、顧客の獲得や契約管理などの会社に所属しているときには必要なかった業務を処理しなければならないデメリットもありますが、収入アップや自由な働き方を求める人にはおすすめのキャリアパスです。

ITアーキテクトはやりがいのある仕事

本記事では、ITアーキテクトの概要や必要なスキル、キャリアパスについて解説しました。

ITアーキテクトは、企業の経営面と技術面をつなぎ、課題解決のためのプロジェクトを推進させるという重要な役割を担っています。

DX化が求められる現代において、ますます需要が高まることが予想される職種です。

求められるスキルや知識は高度で多岐に渡るので、システムエンジニアなどのIT技術職での経験が必要になります。

システムエンジニアとして経験を積みITアーキテクトへキャリアアップを目指す場合、システム開発のスキルを磨きつつ、プロジェクトリーダーとしての経験も積むことが重要です。

また、ITアーキテクトに関係する資格取得もおすすめです。

資格取得の過程でITアーキテクトに必要なスキルや知識をより具体的に把握して身につけられます。

ぜひ本記事を参考にITアーキテクトへのキャリアアップを検討してください。

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