フリーランスになりたいと考えているエンジニアの方は多いのではないでしょうか?
フリーランスになると自由な働き方ができる点が魅力的ですよね。
しかし、フリーランスになるに当たって具体的にどんな準備をするべきかわからないという方も多いでしょう。
本記事では、フリーランスになる前に準備しておくべきことと手続きについて詳しく解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、フリーランスになるためのスケジュールを作成してください。
退職前にやっておくといいこと
会社員からフリーランスになる場合は、会社を退職する前にやっておいた方がいいことが3つあります。
- 各種契約
- 貯金
- 人脈づくり
具体的にはどんなことをすればいいのか、1つずつ紹介していきます。
各種契約
まずは各種契約です。
会社員からフリーランスになる場合、社会的信頼が低くなってしまうことがデメリットとして挙げられます。
そのため、社会的信頼の高い会社員である時に以下の契約手続きを済ませておくとスムーズです。
- クレジットカード
- 賃貸契約
- ローン契約
これらの契約は収入が安定している人の方が審査が通りやすいです。
フリーランスは働き方が自由で様々なメリットがありますが、収入が不安定だったり会社員に比べて社会的信頼を得るのが難しかったりします。
特にクレジットカードは個人のものと分けて、フリーランス用に新しく作成しておくことをおすすめします。
貯金
2つ目は貯金です。
前述したように、フリーランスは収入が不安定です。
そのため、初期投資や月々の必要経費などを貯金しておく必要があります。
フリーランスになるために道具や備品を揃えるので、初期費用にある程度お金がかかります。
最低でも1,2か月分の必要経費や生活費は貯金しておきましょう。
いざという時に備えて、ある程度の貯金を作っておくと精神的な余裕にも繋がります。
また、参加するプロジェクトによっては報酬の受け取りが数か月先ということも充分に考えられます。
ある程度の貯金をした上で会社を退職することがおすすめです。
人脈作り
最後に、人脈作りです。
フリーランスになる前から人脈作りをしておくと、独立後に役に立つことがあります。
取引先や職場の人など、会社員としての立場から築くことができる人脈は独立前から積極的に築いておきましょう。
人脈作りをしておくと、独立後に仕事を紹介してもらえたり、ビジネスに役立つ情報を共有してもらえたりする可能性もあるので人脈作りは非常に重要です。
また、すでにフリーランスとして独立している人たちとの人脈作りも大切です。
独立して活躍している人たちと交流することで、フリーランスとしての働き方や情報を教えてもらえる可能性があります。
エンジニア交流会などのイベントやセミナーには積極的に参加してみましょう。
フリーランスが行うべき手続き
ここまでは、独立前に自分で行っておくべきことを紹介しました。
次に、フリーランスになるときに役所や税務署などで行わなくてはならない手続きについて3つ紹介していきます。
- 開業届の提出
- 国民健康保険への切り替え
- 国民年金への切り替え
1つずつ詳しく見ていきましょう。
開業届の提出
まずは、税務署に開業届を提出することが必要になります。
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」と言い、開業から1か月以内に提出するものです。
開業届には屋号を書く欄があるので、事前に考えておくとスムーズです。
屋号とはビジネスネームのことで、比較的自由につけることができます。
ちなみに屋号は空欄でも大丈夫です。
開業届を提出するメリットはいくつかあります。
- 控除額の大きい青色申告ができる
- 屋号で銀行口座を作成することができる
開業届は提出しなくても罰則などはありませんが、このように受けられるメリットが大きいので基本的には提出しておくことをおすすめします。
国民健康保険への切り替え
次に、国民健康保険への切り替えです。
会社員からフリーランスになる場合、健康保険から国民健康保険に切り替える必要があります。
会社員は一般被保険者として健康保険に加入していますが、フリーランスは国民健康保険に加入することが必要です。
会社員時代に入っていた保険の解約手続きは会社が行います。
しかし、国民健康保険への加入は退職翌日から14日以内に市区町村役場で自分で手続きする必要があります。
もしも保険に入らなかった場合、医療費を全額負担しなければならないので注意しましょう。
ちなみに国民健康保険の保険料は収入によって異なりますが、年間平均約16万円です。
所得によって保険料は大きく異なるので、独立前にシミュレーションしてある程度把握しておきましょう。
国民年金への切り替え
3つ目は国民年金への切り替えです。
会社員からフリーランスになる場合、厚生年金から国民年金への切り替えが必要になります。
国民年金とは基礎年金であり、保険料が一定のものです。
20歳以上65歳未満の人は加入義務があります。
会社員の場合、この国民年金に上乗せする形で厚生年金に加入しており、会社が保険料を半分負担しています。
このように年金は今まで給料から天引きされていましたが、独立後は自分で支払わなければなりません。
会社員時代の厚生年金は退職時に会社が脱退手続きを行います。
しかし、国民年金への加入は自分で市町村役場で行う必要があるので気を付けてください。
フリーランスとして働くために準備したいこと
次に、フリーランスとして働き始めるに際して準備しておくべきことを紹介します。
- 事業用の銀行口座・クレジットカードの作成
- 仕事用メールアドレスの作成
- 名刺・ポートフォリオ・スキルシートの作成
- 仕事に必要な備品の購入
- その他確定申告やSNSの準備
具体的に何をするべきなのか、1つずつ解説していきます。
事業用の銀行口座・クレジットカードの作成
まずは事業用の銀行口座・クレジットカードの作成です。
プライベート用とは分けて、事業用のものを作成しておくことをおすすめします。
事業用に銀行口座とクレジットカードを作成しておくと、様々なメリットがあります。
- 会計管理が楽になる
事業を行う上で、帳簿の作成などの会計管理は必須です。
青色申告をする際に入出金を詳細に記載する必要があるので、専用口座を作っておくと、この会計管理が効率よく行えます。 - 会計ソフトとの連動
事業用の銀行口座を作っておくと、会計ソフトと銀行口座の同期が可能です。
同期しておくことで、入出金のデータを自分で入力しなくて済むので、効率よく帳簿付けをすることができます。 - 名前に屋号を入れられる
事業専用の銀行口座は、屋号付きにすることが可能です。
法人とは違い、屋号のみの銀行口座は作成できませんが、名前+屋号を名義とする口座を開設できます。
仕事用メールアドレスの作成
次に、仕事用のメールアドレスを作っておきましょう。
メールアドレスをプライベート用と分けることで、以下のメリットが挙げられます。
- 信頼度が上がる
フリーランスとして活動するために独自のメールアドレスを作成していれば、企業から信頼されやすくなるでしょう。
自分の事業や屋号に即したメールアドレスにすることで、どんな事業をしているかが一目でわかります。
認知度UPにも繋がるでしょう。 - プライベートのメールと混同しない
プライベート用のメールアドレスを使ってしまうと、仕事用と混同してしまい、返事が遅れたり重要なメールを見逃したりしてしまいます。
連絡を返し忘れるなど、コミュニケーションにトラブルがあるとクライアント企業からの信頼を失ってしまう可能性があるので、仕事用のメールアドレスは作っておきましょう。
名刺の作成
フリーランスとして活動する際には、名刺を作成しておきましょう。
フリーランスでも名刺を持っておくべき理由をいくつか説明します。
- 信頼度が高くなる
名刺があることで、クライアント企業からの信頼度がUPします。
名刺は人脈を作るために大切な営業ツールになります。 - ビジネスマナー
ビジネスマナー的には、初対面の人とは名刺交換を行うのが一般的です。
フリーランスでもビジネスマナーは求められるため、マイナスな印象を与えないために名刺を用意しておく必要があります。 - 案件獲得の役に立つ
名刺を相手に渡しておくことで、その場では案件に繋がらなくても後々仕事を依頼される可能性もあります。
また、名刺を受け取った人が他の誰かに自分のことを推薦してくれることもあるでしょう。
このように、名刺は自分を覚えていてもらうために有効です。
自分の仕事内容がわかりやすいような名刺を作っておくとより効果的です。
ポートフォリオやスキルシートの作成
次に、ポートフォリオやスキルシートの作成をしましょう。
ポートフォリオやスキルシートを作ることで、クライアントに自分の実力や強みを効果的にアピールすることができます。
スキルシートとは、自分の個人情報や経験したプロジェクトの規模、習得した技術などを記載するものです。
このシートを作成すると、自分の経験やスキルを明確にアピールすることができます。
ポートフォリオとは、主に自己紹介と作品紹介を記載するものです。
ポートフォリオを作成することで、自分の実績やスキル、センスなどを相手にアピールすることができます。
仕事に必要な備品の購入
フリーランスになる前に、仕事に必要な備品を購入しておくことも重要です。
いつ仕事がくるかわからないので、すぐに対応できるように準備しておいてください。
まず、どんな職種でもPCは必ず準備しておくべきです。
業務に使える充分な性能のものを購入しておきましょう。
他にもプリンターや電話、事務所の住所が記載された印鑑や封筒など、今後の業務に欠かせないものを揃えておきましょう。
確定申告の準備
フリーランスは自分で確定申告を行わなければならないので、確定申告の準備もしておきましょう。
会計ソフトなどを導入しておくとスムーズです。
また、青色申告申請書を提出しておくと、確定申告で節税効果のある青色申告ができます。
青色申告をして得られる特別控除は、10万・55万・65万と3段階あります。
その中で、55万・65万の特別控除を受ける場合は、複式簿記をつけておかなければなりません。
複式簿記は複雑に見えますが、会計ソフトを使用すれば会計知識が乏しくても簡単に帳簿することができます。
会計ソフトは、弥生・freee・マネーフォワードなどのソフトがおすすめです。
SNSアカウントの開設
フリーランスとして独立する際には、SNSアカウントの開設もしておきましょう。
プライベート用とは別に仕事用のSNSを作成することをおすすめします。
コミュニケーションツールとして使用したり、集客をしたりするために使用することが可能です。
自分の作品や参加した案件をSNSで発信することで、企業やユーザーが投稿を見て仕事のオファーをくれることもあります。
また、自分の知名度を上げることで仕事の幅を広げることも可能です。
必要書類のテンプレート作成
最後に、必要書類のテンプレート作成です。
フリーランスとして仕事をする上で頻繁に必要となる書類はあらかじめ作成しておくといいでしょう。
例えば、請求書や見積書、納品書等です。
最初に自作しておくのもいいですし、会計ソフトなどでフリーで提供されているものを利用するのも1つです。
一般的に請求書などにはある程度決まった型があるので、テンプレートを使用すると楽に書類作成ができます。
フリーランスになるための準備期間はどれくらい?
フリーランスになるためには、約3か月は準備期間を確保しておくべきです。
3か月あれば、充分な準備をすることができます。
フリーランスになるためにはどんなことに気を付けるべきなのか、成功するためにはどうしたらいいのかをじっくり調べましょう。
また、独立への準備もそうですが、同時に現在勤めている会社を円満退職するためには3か月前には退職の意向を伝えておく必要があります。
退職届は1か月前の提出で問題はありませんが、辞めた社員の穴を埋めるために会社側は中途採用の活動をしなければなりません。
中途採用はすぐに決まるものではないので、1か月前に退職の意向を伝えると会社や同僚に迷惑をかけてしまうことになります。
フリーランスが活用したいサービス
最近は、フリーランスにとって便利なサービスも多いです。
必要に応じて登録し、利用するようにしましょう。
ここでは以下のサービスについて詳しく紹介していきます。
- フリーランスエージェント
- クラウドソーシングサイト
- バーチャルオフィス
フリーランスエージェント
まずはフリーランスエージェントです。
フリーランスエージェントとは、営業から契約締結までの業務を代行してくれるサービスのことです。
案件の紹介や履歴書の書き方のアドバイス、契約処理や請求書などの書類作成なども行ってくれます。
フリーランスエージェントを利用することで、以下のようなメリットを受けられます。
- 仕事選びの幅が広がる
自分1人で仕事選びをしている時よりも、フリーランスエージェントに仕事紹介をしてもらう方が仕事の幅が広がります。
実績にもなりますし、新しい得意分野が見つかる可能性も高いです。 - 安定して受注できる
フリーランスエージェントは、案件の切れ目を把握して仕事を提案してくれることが多いです。
安定して仕事を受注できるのはフリーランスにとってかなり大きなメリットではないでしょうか。 - 営業にかかる時間を節約できる
フリーランスエージェントを利用すると、営業にかかる時間を節約できます。
営業が苦手な方や、営業の時間もエンジニアの仕事に回したい人には特におすすめです。
クラウドソーシングサイト
次に、クラウドソーシングサイトです。
クラウドソーシングサイトとは、業務を外注したい人と仕事を請け負いたい人のマッチングを手助けするサイトのことで、主に案件探しに利用できます。
クラウドソーシングサイトを利用することで、今まで繋がることのできなかった企業と個人がそれぞれのニーズに合った仕事の受注ができるサイトです。
クラウドソーシングサイトには、クラウドワークスやランサーズなどのサイトがあります。
この2つのサイトは大手で案件も多いので、とりあえず登録しておいて損はないでしょう。
バーチャルオフィス
最後はバーチャルオフィスです。
バーチャルオフィスとは、ビジネス用の住所を低コストでレンタルできるサービスのことを指します。
働く場所は自宅ですが、名刺や書類などに自宅の住所を記載したくない人におすすめです。
レンタルできる住所は都心のものなので、クライアントのイメージの向上に繋がります。
他にもバーチャルオフィスは、ミーティングスペースの利用ができたり、郵送物の郵送や電話番号の提供や転送などの事務サービスも利用できたりします。
事業を行う上で最低限の機能はバーチャルオフィスで揃うでしょう。
フリーランス成功のカギは十分な準備
フリーランスになる際には、充分な準備が必要になります。
必要な準備期間は約3か月です。
会社を退職する前に、クレジットカードや口座の開設、人脈づくりなどをしておきましょう。
他にも、開業届の提出・国民健康保険への切り替え・国民年金への切り替えなどの手続きがあります。
それぞれ期限があるので早めにやっておいてください。
フリーランスになってすぐに仕事を受注できるように、様々な準備をしておくことがフリーランス成功のカギになります。
フリーランスがやることにまつわるQ&A
最後に、フリーランスがやることにまつわるよくある質問に2点答えていきます。
しっかり確認して、フリーランスになる準備を行いましょう。
フリーランスと個人事業主の違いは?
まずは、フリーランスと個人事業主の違いを説明します。
フリーランスとは、仕事ごとに契約を結び、案件ごとに業務を行う働き方のことです。
個人事業主は、税務署に開業届を提出し、法人を設立せずに個人で事業を営む人のことです。
つまり、フリーランスが税務署に開業届を提出すると税務上は個人事業主になります。
フリーランスが払う税金は?
次に、フリーランスが払う税金についてです。
フリーランスは以下の税金を支払う必要があります。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税
この中でも特に消費税に関しては、2023年10月1日からインボイス制度が導入されたため、少し複雑になっています。
インボイス制度とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式のことです。
インボイス制度導入後は、税務署で登録申請した適格請求発行書事業者が発行する、適格請求発行書が発行された取引にのみ、消費税の仕入税額控除が適用されます。
適格請求発行事業者として登録するかどうかは、取引先によっても異なるので、フリーランスになる際にはインボイス制度についてもしっかりと知っておきましょう。