Webディレクターとは、Webサイト構築のために企画から運営まですべての過程を指揮監督する責任者を指し、制作チームには欠かせない重要なポジションです。
しかし最近ではWebディレクターがなくなるのではないかといった噂が流れています。
「Webディレクターがなくなるって本当?」
「Webディレクターに将来性はない?」
「今からWebディレクターを目指すのは遅いの?」
「なくなる」といったワードを目にすると「やめた方がいいのかな」と後ろ向きに考え、不安や悩みを抱えてしまう方も多いのではないでしょうか?
しかし結論から申し上げますと、Webディレクターはなくなりません。
Web制作をする上では今後とも必要な立ち位置となるでしょう。
ではなぜ無くならないのか、本記事では以下4つのテーマについて紹介します。
- Webディレクターがなくなると言われる理由
- Webディレクターはなくならないと言える根拠
- 必要とされるWebディレクターになるために意識すべきこと
- Webディレクターの将来性
これからWebディレクターを目指そうとする方に向けて、Webディレクターがなくならないと言える根拠について紹介していきます。
本記事ではWebディレクターの将来性についても解説していますので、これからWebディレクターを目指したい方はぜひ本記事を読み進めてください。
Webディレクターがなくなると言われる理由
世間では、Webディレクターがなくなると言われていますがいったいなぜなのでしょうか?
その理由について以下4つ紹介していきます。
- AIに仕事が取られるという噂
- スキル不足のWebディレクターが増えているから
- 知識不足でクライアントに提案できないから
- クライアントの要望をすべて叶えようとするから
AIに仕事が取られるという噂
近年AI技術による進化が目覚ましく、効率的に業務をこなす点から様々な企業でAIが導入され、その数は今後も増え続けるでしょう。
実際に、野村総合研究所のデータによると10〜20年後、日本の労働人口の49%がAIやロボットなどの機械に置き換えられるという結果が出ています。
参考:https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf
特に、AIはインプットしたデータに基づく単純作業やテキスト・音声の分析などを得意とするので、人間よりも速く正確な情報を導けることは大きなメリットです。
そのためWebディレクターによる業務も、AIが全て進捗管理や品質チェックを行うのではないかと予想されています。
スキル不足のWebディレクターが増えているから
Webディレクターは制作チームの指揮管理を務める監督的な立場です。
クライアントの意向に沿ったプロジェクトを実現できるようチームメンバーに細かく指示を出し、全体を統括することができる責任感強い人が最適でしょう。
しかしWebディレクターの中にはディレクションスキルが不足した人が増加し、円滑に業務を運ぶことができていないケースが多発しています。
チームを統率する力がないほか、プロジェクトの管理を行うことができなければ、Webディレクターとしての役目は必要なくなり、存続価値は薄くなってしまいます。
知識不足でクライアントに提案できないから
Webディレクターは取得必須の資格などがないため、重要な知識やスキルが不足していることが多いです。
たとえば、デザイン知識が不足しているとサイトデザインの企画案を提供できなかったり、マーケティングに関する知識がなければターゲットを絞って戦略を立てることも難しいです。
サイト制作をするためWebディレクターはクライアントの意向だけでなくデザイン・マーケティング要素を含めた専門的知識が必要になります。
Webディレクターが実際に制作する機会は少ないですが、知識不足の状態だとクライアントへ提案することは難しいでしょう。
クライアントの要望をすべて叶えようとするから
Webディレクターの仕事は基本的にクライアントの意向に沿った制作物を創作できるように企画しますが、場合によっては断ることも大切です。
クライアントの中には無理な予算や納期を要求してくる人もいるため、要求を全て承諾してはチームメンバーへの負担が大きくかかり、激務になってしまいます。
Webディレクターは、クライアントとチームをつなぐパイプの役目であるので、両者の要望を均衡に保つことが重要です。
クライアントの要望を全て叶えようとすると制作チームが苦しくなり、結果として必要とされなくなってしまうでしょう。
Webディレクターはなくならないと言える根拠
AI技術の発展や知識不足からWebディレクターはなくなるのではないかと噂されています。
しかし実質的には機械化がしづらく、これからのWebメディアの増加を考えると需要が高く、必要不可欠なポジションであると言えます。
そこで、Webディレクターがなくならないと考えられる根拠について紹介していきます。
AIではできない舵取り役だから
現在多くの企業でAI技術が導入されているため今後はAIが主流の世の中に変わるのではないかと予想されています。
Webディレクターもその一つとして、いずれかAIがプロジェクトの品質管理や素材制作をするのではないかといった憶測も立っています。
しかし現代におけるAI技術はデータや画像による分析を得意としますが、人間のようにチームをまとめたり統率したりすることはできません。
そのため今後ともAIに代替されることはなくWebディレクターは、チーム全体が方向を見失わずに進行するために必要不可欠な存在でしょう。
Web制作はなくならないから
インターネットの利用頻度が増えてからWeb制作の需要が高まり、最近では未経験の人でも簡単におしゃれなサイト制作Webサイトが作れるようなソフトが開発されました。
しかしクライアントはユーザーのことを考えると、細部までこだわり抜いたクオリティの高い制作物を望んでいます。
特にサイト運営をするためにはデザイン性だけでなくターゲット層を考えたマーケティング手法も大事です。
そのためWeb制作は今後とも消えることはなく、それに伴いWebディレクターも制作チームを統率するので、なくなることはないでしょう。
「使えないWebディレクター」と言われないようにするために
Webディレクターは今後のWeb制作にも欠かすことはできない需要の高い役職です。
しかしクライアントに振り回されていたり、メンバーに無茶な依頼をしたりすると使えない存在だと見なされてしまいます。
では、「使えないWebディレクター」と思われないためにはどのようにすれば良いのか、必要なスキルや心構えについてご紹介します。
ディレクションスキルを身につける
Webディレクターはチームを牽引するためのディレクションスキルが大事です。
ディレクションスキルとは、チーム全体に的確な指示を出しながらプロジェクトを成功へと導くマネジメント力のことです。
しかしWebディレクターの中にはディレクションスキルが不足した人が多くいます。
ディレクションスキルがないと現場の指揮や進行管理ができず、チームメンバーに支障をきたします。
また制作現場では急な修正変更や納期日の短縮など予期せぬトラブルも多々生じるため、素早く問題解決の方法を考え、みずからメンバーに指示するスキルも大事です。
提案力を身につける
Webディレクターはプロジェクトを運営するために人を動かし全体を統括しなければいけないので、率先してチームの先頭に立つことが重要です。
クライアントとのヒアリングにおいても自分の意見をしっかりと述べ、主導権を握ることでプロジェクトを推進しやすくなります。
またWebディレクターは直接制作側に携わる機会は少ないですが、チームメンバーに具体的な案の提示をすると完成後のイメージがつきやすいでしょう。
提案力を身につけたWebディレクターは、クライアントと現場の両方を安心させることができるので有能な存在と見なされます。
現場を理解してクライアントの言いなりにならないようにする
プロジェクトを完遂するためにクライアントの意向も大切ですが、制作現場における意見もしっかりと取り入れなければいけません。
クライアントは時として過酷な納期を設定したり、無理難題な要件を提示したりする場合もあります。
そのためWebディレクターがクライアントの意向をそのまま引き受けてしまっては、現場の制作チームへの負担が重くなり、激務になってしまいます。
Webディレクターは現場の意見や提案にもしっかりと耳を傾け、クライアントに伝えることでプロジェクトのタスク管理が行われ、働きやすい環境が保たれるでしょう。
必要とされるWebディレクターになるために意識すべきこと
Webディレクターはクライアントと現場を結ぶ重要なパイプ役です。
そのため責務を全うすると優れた存在として重宝されますが、十分に発揮できなければ使えないディレクターとして判断されてしまいます。
ここでは、必要とされるWebディレクターになるにはどのようにすれば良いのか、意識すべきことについて紹介していきます。
スピード感を意識する
Webディレクターは現状に満足せず、次の段階を常に予測しスピード感を持って行動することが大事です。
スピード感が遅いとその分レスポンスや結果が出るのも遅くなり、プロジェクト全体が遅延する恐れがあるでしょう。
また制作陣のリソースが空いているのにディレクターで業務が止まってしまうと、作業効率が悪くなり、クライアントを不安にさせる原因の1つにもなります。
スピード感を意識して物事に対応することができれば、プロジェクトを成功させるだけでなく、Webディレクターとしての価値も高めることができるでしょう。
デザイン技術やコーディング技術を向上させる
Web制作は、最初にクライアントとヒアリングをして制作内容・金額・工数を策定するので、具体的なデザインやコーディング技術についての理解があると提案の幅が広がるでしょう。
また制作過程でクライアントと進捗を確認する際には細かい技術知識があると、どこまで完了しているのかも提案しやすいです。
現場でもデザイナーやエンジニアに的確な指示を促すことができるので、依頼した通りの制作物が上がってきます。
Webディレクター自身がデザインやコーディング技術を向上させておくことで高品質の制作物をクライアントに納品できるでしょう。
ビジネスモデルを勉強する
Webサイトを構築するためにはマネジメント力が欠かせないためビジネスモデルを勉強するといいでしょう。
Webサイトを使用してどのようにマネタイズしていくのか分析することで、予算を策定する前におおよその金額を提案することが可能です。
そして制作するサイトはどのような方向性で、どのようなマーケティング手法を使用するのか決定することで、よりターゲットに伝わりやすいコンテンツを作成することができます。
また企業のブランディング価値についても学ぶと、より明確にターゲットをキャッチアップできるでしょう。
ディレクターのステップアップするためには
Webディレクターとしての経験をある程度積むと、新たな刺激や出会いを求め転職をする人が増えます。
特にWebディレクターは経験が重視されるため、スキルがある人ほど選択肢の幅も広がるでしょう。
ディレクターとして今後さらにステップアップするためには、どのように働くのがおすすめなのでしょうか?具体的な方法について紹介します。
転職して他の企業を経験する
Webディレクターとしてさらに経験を積みたいと感じている方は、他の企業に転職してみるといいでしょう。
Web制作には主に、「制作会社」と「事業会社」の2つがあります。
制作会社は、クライアントにプロジェクトを納品することで収益を得ているのに対して、事業会社は自社が運営するプロジェクトの運営を行います。
同じWeb制作でも対象が異なるので業務内容も少し異なるでしょう。
また一つの会社でずっと働き続けると、案件に偏りが出てしまうので、複数の企業でたくさんの案件に携わることができる会社だとスキルアップにも繋がります。
フリーランスとして一人で一から初めてみる
会社というバックがついていない中でフリーランスとして始めるにはかなりの不安が募ると思われます。しかし、フリーランスとして活動するとお金の管理など経営的視点についても学ぶことができるでしょう。
また、企業に属していると似た案件であったり、自分の興味が沸かない分野であったりしても選択することができません。
しかしフリーランスでは、複数のクライアントと携わることができるため幅広い案件に挑戦し、スキルが磨かれます。
そのため個人差はありますが、会社員時代よりも高額な報酬が期待できるかもしれません。
Webディレクターの将来性は明るい
Webディレクターは非常に将来性の高い職業と言っていいでしょう。
転職サイトdodaの平均年収ランキングによると、Webディレクターは平均448万円です。Webディレクターが属するクリエイティブ系の平均年収は372万円なので、平均水準よりも高く、稼ぎやすい職であることが分かります。
またインターネットの普及によりいつどこからでもWebサイトに接続可能になったので様々なWebサービスが開発され、今後ともオンラインサイトやホームページを通じた購買行動が促進されるでしょう。
今後のWebコンテンツの増加に伴いユーザーが求めるサイトを作成するためには、プロジェクト全体の指揮を取るWebディレクターの存在が必要です。
まとめ
今回は、Webディレクターがなくなると言われる根拠について徹底解説しました。
「Webディレクターがなくなる」と噂される理由として、AIへの代替懸念があります。しかし、AIは人それぞれに対応したコミュニケーションスキルが不足しているためクライアントとヒアリングしたり、チームメンバー個々の能力を見定めた仕事の割り振りをしたりWebディレクターの業務を行うことは難しいでしょう。
またクライアントはWebサイトからの集客を見込み、ユーザーを上手くキャッチアップできるような高品質のコンテンツ作成を求めています。
そのためには、経験豊富な制作陣に依頼することが予想され、チームを統括するにはWebディレクターの存在が欠かせないでしょう。