Webディレクターは、Webサイトの制作現場における進行管理者です。
クライアントの意向をヒアリングし、WebデザイナーやWebエンジニアなどのスタッフの作業を監修し、スムーズな進行を促すのが仕事となります。
WebディレクターはWeb制作現場における上流職のため、経験者の方が転職に有利と言われていますが、未経験でもWebディレクターへの転職は可能です。
実際に、未経験可のWebディレクターの求人も数多く存在します。
未経験可の求人に応募する前に、しっかりとWebディレクターに関する勉強をして準備をしておくことが重要です。
本記事では、これからWebディレクターを目指す方に向けておすすめな本を分野別に紹介します。
Webディレクターが本を読むべき理由
クライアントのヒアリング、スケジュールの進捗管理、スタッフのモチベーション維持などWebディレクターの仕事は多岐に渡ります。
それに伴い、Webディレクターに必要なスキルも様々です。
そのため、まずはWebディレクターに関する体系的な知識を学ぶのがおすすめです。
最近ではネットを用いての情報収集も可能ですが、ネットの情報は部分的なところもあるので、本を用いて知識を入れるとよいでしょう。
Webディレクターになる前後で本を読むべき理由として
- 必要な知識・スキルが多岐に渡る
- 新しい気づきを得ることができる
という二点が挙げられます。
それぞれ解説します。
必要な知識・スキルが多岐に渡る
Webディレクターとして必要な知識・スキルとしては、例えば以下が挙げられます。
- 課題抽出・問題解決能力
- コミュニケーション力
- Web制作やデザインスキル
それぞれ詳しく見ていきましょう。
課題抽出・問題解決能力
課題抽出・問題解決能力とは発生した問題の根幹となる部分はどこかを見出し、解決に導く力です。
WebサイトやWebコンテンツをより良いものにしていくために、必ず身につけておきたい能力です。
コミュニケーション力
コミュニケーション力とは自分が伝えたい物事を正しく相手に伝える力、または相手の言わんとしていることを正しく受け取る力をいいます。
クライアントは専門的なことがわからないケースが多く、Webディレクターがクライアントの要望を言語化し、現場まで落とし込む必要があります。
そのため、クライアントや制作スタッフとのやり取りをスムーズにするためにも、コミュニケーション能力もしっかりと身につけておきましょう。
Web制作やデザインスキル
Web制作やデザインとは一定レベルのプログラミングスキル、デザインスキルを指します。
プログラミングスキルをある程度理解していると、エンジニアへの指示が的確になるだけでなく、システムの構築にどのくらいの工数がかかるのかをざっくり把握できます。
デザインスキルに関しても、デザインのことがわかっていないと、デザイナーへ的確な指示を出すことができません。
色彩心理学やデザインの基礎などはしっかりと押さえておくようにしましょう。
このように必要なスキルが多岐に渡るのがWebディレクターの特徴です。
これらのスキルを身につけるためにも、読書などでしっかりとインプットしていくことが大切です。
新しい気づきを得ることができる
本を読んで得られるのは知識だけではありません。
「時間がないから本を読まないのではなくて、本を読まないから時間がない」という言葉があるように、本の中には自分の頭だけでは思いつかなかったようなアイデアも眠っています。
こういったアイデアを獲得できるのも、本を読むことに対する大きなメリットです。
そのため、知識をつけるために本を読むのも大事ですが、アイデア獲得のためにWebディレクターになった後も本を読む必要があります。
Webディレクションの基礎を学べる本5選
それでは、ここからテーマ別に本を紹介していきます。
まずは、Webディレクションの基礎を学べる本を紹介します。
「これからWebディレクターになるための勉強がしたい」「Webディレクターがどういった仕事なのかを知りたい」といった方はぜひ手に取ってみてください。
紹介するのは、以下5冊です。
- 現場のプロが教えるWebディレクションの最新常識
- 第一線のプロがホンネで教える 超実践的 Webディレクターの教科書
- Webディレクション標準スキル152 企画・提案からプロジェクト管理、運用まで
- 具体と抽象
- Webディレクションの新・標準ルール 現場の効率をアップする最新ワークフローとマネジメント
それぞれ、あらすじとおすすめな点について解説します。
現場のプロが教えるWebディレクションの最新常識
1冊目は「現場のプロが教えるWebディレクションの最新常識」です。
この本は、Webサイトの制作ディレクションを行う方に向けて、制作ワークフローとディレクションに関する最新トピックや重要項目を集めて解説したものです。
Web業界は新しい技術やサービスが続々と生み出される業界のため、制作フローや必要なスキル・能力も目まぐるしく変化していきます。
この本では、Webデザインのトレンド変化や、Web制作現場で実際に変化した制作フローを解説しています。
実際のWeb制作現場に活きた知識を学ぶことができるでしょう。
第一線のプロがホンネで教える 超実践的 Webディレクターの教科書
2冊目は「第一線のプロがホンネで教える超実践的Webディレクターの教科書」です。
この本は、セミナー講演もするような現役Webディレクター3人が「今すぐ日々のディレクションワークに役立つ情報」とその「本質となる考え方」そして「超実践的なトレーニング手法」についてまとめた本です。
現役のWebディレクターが日々の仕事を通して得たノウハウを共有してくれているので、かなり実践的といえます。
実際のプロジェクトの回し方から先のキャリアの話まで書かれているので、Webディレクターにとって心強い一冊ではないでしょうか。
Webディレクション標準スキル152 企画・提案からプロジェクト管理、運用まで
3冊目は「Webディレクション標準スキル152 企画・提案からプロジェクト管理、運用まで」です。
この本は、日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)に所属する15社の現役Webディレクターたちが、プロとして知っておきたいスキル152項目を解説した本です。
プレゼン、コミュニケーションなどの日常業務で必要なスキルから、クライアントや制作スタッフとのやり取りで必要な知識、HTML5/CSS3、クラウドなどの最新動向といったWebの周辺領域まで幅広くカバーされています。
「若手Webディレクターの悩みを解決したい」という思いで書かれた本なので、Web初心者や新人教育にももってこいの1冊です。
具体と抽象
4冊目は「具体と抽象」です。
具体化とは漠然とした物事をはっきりとした形にすること、抽象化とは複数の情報に共通する要素を抜き出すことを意味します。
「人が議論してもズレるのはなぜか?」を「具体」と「抽象」という観点から紐解いていくなど、人間の知性を支える頭脳的活動を「具体」「抽象」で解説した本です。
コミュニケーションを円滑にしたり、課題解決の精度を上げたりするのに必要な具体化と抽象化を学ぶことができます。
また、本の内容について4コマ漫画でフォローが入っているので楽しく理解できる1冊となっています。
Webディレクションの新・標準ルール 現場の効率をアップする最新ワークフローとマネジメント
5冊目は「Webディレクションの新・標準ルール 現場の効率をアップする最新ワークフローとマネジメント」です。
最近のWeb制作における「ワークフローとマネジメント手法の変化」をベースにしながら、「企画」「設計」「制作・進行管理」「運用・改善」のフェーズに沿って解説しています。
こちらも現役Webディレクター複数名で執筆されているため、現場に沿った知識・スキルを得られます。
また上流工程に重きを置いており、「プロジェクトが進むにつれて曖昧になりがちな点を上流工程でどのように固めるか」「後工程で目的からブレ出したときや遅れが発生したときに、どうやって軌道修正していくか」といったリアルのプロジェクト進行について多く学べるでしょう。
Webマーケティングを学べる本3選
続いては、Webマーケティングを学べる本を紹介します。
Webディレクターの基礎を身につけるのも大事ですが、WebマーケティングもWebディレクターにとって重要な知識・スキルの一つです。
紹介するのは、以下3冊です。
- 沈黙のWebマーケティング −Webマーケッター ボーンの逆襲−
- いまさら聞けないWebマーケティング
- デジタルマーケティング 成功に導く10の定石: 電通デジタルのトップマーケッターが教える 簡単に分かる売れ続ける仕組みをつくるツボ
こちらもそれぞれ、あらすじとおすすめな点について解説します。
また、Webマーケティングを身につけるのにおすすめの本については以下の記事でもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:Webマーケティングの勉強におすすめな本を施策別にご紹介|基礎から応用まで学べる良書でプロのマーケターになろう!
沈黙のWebマーケティング −Webマーケッター ボーンの逆襲−
1冊目は「沈黙のWebマーケティング −Webマーケッター ボーンの逆襲−」です。
この本はWeb上で連載され大人気を博したコンテンツの書籍化企画で、数多のWebサイトを救ってきた伝説のWebマーケター「ボーン・片桐」が活躍するストーリーを通じて、Webマーケティングの基本や考え方を学ぶ実用入門書です。
SEOの現在の潮流からGoogleウェブマスターツールの活用術、Twitterをはじめとしたソーシャルメディアの効果的な運用法、コンテンツマーケティングの極意など、Webマーケターが必ず押さえておくべき事柄をわかりやすく説明しています。
いまさら聞けないWebマーケティング
2冊目は「いまさら聞けないWebマーケティング」です。
この本は最近のマーケティング手法のトレンドを押さえつつ、マーケティングの基礎知識や環境分析の方法、最新のWebマーケティングにおける必須テクニックをまとめています。
特に分析の手法については、マーケティング戦略を立案するベースになるため、厚めに解説されています。
「これからWebマーケティングを学びたい」という方に向けた入門書なので、Webマーケティングを知らない方にもおすすめの1冊です。
デジタルマーケティング 成功に導く10の定石: 電通デジタルのトップマーケッターが教える 簡単に分かる売れ続ける仕組みをつくるツボ
3冊目は「デジタルマーケティング 成功に導く10の定石: 電通デジタルのトップマーケッターが教える 簡単に分かる売れ続ける仕組みをつくるツボ」です。
この本は「顧客接点を起点にマーケティングを変えるためにカスタマージャーニー把握から始める」など、デジタルマーケティングの始め方を10の定石から解説しています。
今日の経営環境のもとで発生するマーケティング課題を10件抽出して、事例とともに各課題の解決に適したデジタル施策を記載しています。
こちらもWeb制作現場ですぐ使える内容ばかりです。
マネジメントに役立つ本3選
最後は、マネジメントに役立つ本を紹介します。
Web制作チームやスタッフをまとめるのもWebディレクターの仕事です。
そのため、Webディレクターのマネジメント能力はチームとして仕事が順調に進むかどうかを左右する重要なスキルといえます。
紹介するのは、以下3冊です。
- 図解 これ以上やさしく書けないプロジェクトマネジメントのトリセツ
- マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則
- 最高のリーダーは何もしない―――内向型人間が最強のチームをつくる!
こちらもそれぞれ、あらすじとおすすめな点について解説します。
図解 これ以上やさしく書けないプロジェクトマネジメントのトリセツ
1冊目は「図解 これ以上やさしく書けないプロジェクトマネジメントのトリセツ」です。
この本は、プロジェクトマネジメントの現場で起こる問題とその解決策をストーリー仕立てで解説しています。
「そもそもプロジェクトとは」から解説されており、企画立案から終結までがこの本のスコープです。
企画・計画立案・社内決済・基本設計・システム開発などプロジェクトの成果が生まれるまでの一連の流れがまとめられています。
ストーリーベースのため、非常に読みやすい一冊です。
マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則
2冊目は「マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則」です。
マネジメントの発明者P.F.ドラッカー著の本で、マネジメントといったらまずこの本という方も多いのではないでしょうか。
この本は、ドラッカーのマネジメント論を初心者向けにまとめています。
マネジメントの仕事とは実践であり、成果を出すことであると明確に規定して、マネジメントが果たすべき使命と役割、取り組むべき仕事、さらには中長期的に考えるべき戦略について、具体的に解説しています。
最高のリーダーは何もしない―――内向型人間が最強のチームをつくる!
3冊目は「最高のリーダーは何もしない―――内向型人間が最強のチームをつくる!」です。
著者藤沢久美が1000人以上の社長に取材し、求められるリーダー像について記載した1冊です。
この本は内向的という所に目線を置き、内向的で、心配性で、臆病で、繊細であることが、よいリーダーの共通点であるということを解説しています。
また、リーダーに求められる像が変わり、リーダーの意思決定力がより重視されることも解説しています。
これからのリーダーのあるべき姿について語られているので、Web制作チームをまとめるリーダーとして一読するべき内容です。
本で学んだ内容を活用するには
本を読むだけでも知識を身につけることはできます。
しかし本当の意味でその知識が自分の身になるのは、その知識をアウトプットしたときです。
アウトプットはインプットの5倍効果があるといわれています。
一番良いのは、実際の業務の中で学んできた知識を使用することです。
本業でやるならWebディレクターへの転職、副業でやるなら副業案件を探してみるのがよいでしょう。
転職する
本業としてWebディレクターをやっていく場合は転職しましょう。
本を読んだりして基礎を学んだ後は、未経験者を受け入れている企業にいち早く転職することがおすすめです。
これが、スキルを伸ばして成長できる一番の近道です。
未経験案件も少なくないので、転職サイトで見てみるところから始めてみましょう。
何から始めていいかわからない場合は、転職エージェントも使ってみることをおすすめします。
副業を始める
副業で始めてみるのも一つの手です。
Webディレクターの副業案件はなかなかないですが、Webディレクターに近いことができる案件もあります。
そこから勉強して経験をつけていくことができます。
本で学んだ内容を活かすためにも、自分がWebディレクターになったつもりで動いてみるとより学びが活かされることでしょう。
本を読んで知識をインプットしよう
本記事では、これからWebディレクターを目指す方に向けておすすめな本を解説しました。
Webディレクターとして重要なWebディレクションの基礎、Webマーケティング、マネジメントに関する本をそれぞれ紹介し、各あらすじやおすすめな点を記載してきました。
気になる本があれば、ぜひ実際に手に取ってみてください。
知識を入れるだけでなく、自分の頭にないアイデアをインプットするのにも本は非常に重要な働きをします。
転職や副業でWeb案件に携わった際も、課題にぶつかったときは本を読んでみることをおすすめします。
しかし、本を読んでばかりでは頭でっかちになってしまいがちです。
Web制作現場でアウトプットしてこそ本当の知識となり、自分の血肉となります。
Webディレクターへの道を考えている方に、この記事が少しでも参考になることを願います。