Webディレクターの仕事は、クライアントから要望や課題を聞き出した上で企画・予算を作成し、適切なクリエイターに仕事を振ってスケジュールを立てて制作物の品質の管理まで行うなど非常に多岐に渡ります。
やりがいが大きい分、覚えることも多くクライアントとクリエイターの板挟み状態にもなるので「自分には向いていない」「仕事を辞めたい」と感じている人も多いのではないでしょうか?
本記事では「自分はWebディレクターに向いていないのではないか?」「仕事を続けるためにはどのような行動をとるべきか?」「Webディレクターを辞めたいと感じたときは何をすればいいのか」といった疑問や悩みを解決していきます。
今回は大きく分けて
- Webディレクターに向いていないと感じる理由
- Webディレクターに向いていない人の特徴
- Webディレクターを辞めたいと思う原因
- 辞めたいと感じた時に取るべき行動
- スキルを磨いてWebディレクターを続ける選択肢
- Webディレクターから転職する際の注意点
Webディレクターの仕事について悩みを抱えている方は、記事を最後まで読んだ上で、是非参考にしてみてください。
なぜWebディレクターに向いていないと感じるのか
Webディレクターに向いていないと感じる大きな原因のひとつに、業務内容が自分の性格と合っていないことが挙げられます。
プロジェクトの全体像を把握する必要があるため、とにかく覚えることが多く、仕事には終わりが見えません。
クリエイターとクライアントの間で板挟みになり、お互いの意見や要望を踏まえて納得できる案を出すことも必要です。
トラブルが発生した時にクライアントに謝罪するのもWebディレクターの仕事であり、休日に突然電話が掛かってくることも珍しくありません。
同時に複数のタスクをこなすことが苦手な人にとっては、Webディレクターは大変で向いていない職業といえるでしょう。
Webディレクターに向いていない人の特徴
次に挙げるような性格の人は、Webディレクターに向いてないとされています。
- 職人気質の人
- コミュニケーションが苦手な人
- 自分の意見を曲げない人
Webディレクターに最も必要なスキルは、コミュニケーション能力と言っても過言ではありません。
周りの声を遮断して自分のペースで黙々と仕事に打ち込む人や、コミュニケーションを取るのが苦手な人、こだわりが強く柔軟な考え方ができない人にとっては、非常に不向きな仕事となります。
職人気質の人
頑固な性格で自分の技術や力量に自信があり、黙々と1人で仕事に取り組む、いわゆる「職人気質」の人はWebディレクターに向いてないとされています。
様々なタスクが同時進行するWeb制作のプロジェクトをマネジメントする立場としては、1つの物事を究めようとする性格が不利に働くことがあります。
山積みのタスクを淡々とこなしていく必要はありますが、周りのクリエイターやクライアントの意見に耳を傾けずに自己判断だけで仕事を進めるべきではありません。
独りよがりなディレクターの下では、プロジェクトが順調に進まず、トラブルやクレームも多発してしまいます。
プログラマーやデザイナーには職人気質の人が多いとされているので、彼らの意見を吸い上げた上で、プロジェクト全体が停滞・迷走している時には軌道修正し、全体を鼓舞する柔軟さが求められます。
コミュニケーションが苦手な人
Webディレクターの仕事は、他者とのコミュニケーション無しでは成立しません。
プロジェクトごとにメンバーやクライアントも変わり、過去にも仕事をした経験がある人の場合は、性格やスキルを覚えておく必要もあります。
自分からメールやチャットを送れない性格の人であれば、タスクが山積みになり、納期の遅れにも繋がるでしょう。
人と話すのが苦手な人や、自分からメッセージを送るのに抵抗がある人にとっては非常に大変な仕事といえます。
自分のことしか話さない性格の人や、相手の顔色・機嫌を伺いすぎる人も、コミュニケーションが苦手な人に属します。
「会話のキャッチボール」がコミュニケーションの基本です。相手の発言をしっかり聞いた上で自分の考えも伝え、双方向の意思疎通を心掛けましょう。
自分の意見を曲げない人
「職人気質」と通ずるところもありますが、我が強く自分の意見を曲げない人もWebディレクターには向いてないといえます。
このタイプの人は自分の意見が通らないと感情的になることも多いですが、マネジメントする立場の人間が感情で動いてしまうとプロジェクトは決してまとまらないでしょう。
誇りやこだわりを持って仕事に向き合うことは大切ですが、常に自分の意見が正しいとは限りません。
たとえ自分の意見が100%正しいと感じる場合もクリエイターの発言に耳を傾け、クライアントの意見を尊重し、プロジェクトをスムーズに進めるために周りと協調・同調する柔軟さが求められるのがWebディレクターの仕事です。
Webディレクターを辞めたいと思う原因3選
Webディレクターを辞めたい理由として、大きく以下の3つが挙げられます。
- 業務量が多く激務になりがち
- クライアントと製作陣の板挟みに気を遣う
- 成長を感じづらい
クリエイターと発注先のクライアント双方の意見を吸い上げる必要があるため、把握しておくべき情報が非常に多く、激務になりがちです。
クライアントの要望とデザイナーの意見にすれ違いが生じたときには間に立ち、お互いの意見を取り持つ役割を担います。
マルチタスクをこなすものの専門的な知識が身につく訳ではなく、自己の成長やキャリアアップに繋がりにくいと考える人もいるでしょう。
業務量が多く激務になりがち
Webディレクターの仕事として、主に以下のようなものがあります。
- スケジュール管理
- 制作メンバーのアサイン
- コンテンツの品質管理
プロジェクトに関わるメンバー全員の進捗を常に把握し、納期に遅れないようにスケジュールを管理する必要があります。
各メンバーの得意な分野・領域を正しく把握し、適切なプロジェクトにアサイン(人員配置)することも大切な仕事です。
制作途中のWebサイトの機能やデザインに不具合・違和感が無いか、繰り返し確認する必要もあるでしょう。
外注先との提携やトラブル対応なども加わる上、クライアントからの質問に答える必要もあるので、Webディレクターは激務になりがちだといえます。
クライアントと制作陣の板挟みに気を使う
クライアントとクリエイターが直接やり取りを行うことはめったになく、基本的にWebディレクターを介したコミュニケーションが発生します。
要望と異なる仕様で納品された、納期が大幅に遅れているなど、クレームやトラブルが発生した場合もクリエイターではなくWebディレクターからクライアントに謝罪を入れます。
クライアントとクリエイターに意見の違いが生じた場合に両者の言い分を聞き、中立的な立場からお互いが納得できる案を出すこともWebディレクターの役目です。
両者の間で板挟みになりプロジェクトが一時停止してしまう状況を防ぐためにも、クライアントの要望に隠された真の意図をくみ取り、翻訳してクリエイターに伝えることが大切でしょう。
成長を感じづらい
Webディレクターの仕事は、クライアント対応から企画・提案、進行管理、画面設計と多岐に渡ります。
しかし、1つの領域を徹底的に究めるのではなくマルチタスクを同時にこなす職業なので、専門的な知識が身に付きづらいといった考え方もあります。
近年ではWebディレクターが『便利屋』のように扱われるケースも増えています。
クリエイターからクライアントに対して確認事項がある場合には連絡係としてメールを送り、小さなトラブルが発生した際にはWebディレクターが対応にあたることも多々あります。
エンジニアやデザイナーなど、専門的なスキルをもったスペシャリストが周囲に多くいる分、Webディレクター自身が「何の仕事をしているかわからない」「自分には専門性がない」といった不安を強く抱える傾向があります。
感じているフェーズによって行動を変えよう
仕事がうまくいかないことでただ自信をなくしているだけなのか、それとも会社に行きたくないほど今の仕事が嫌なのかによって、取るべき行動は大きく異なります。
前者の場合は、自分に自信をつけることで精神的に楽になり、仕事にも前向きに取り組めるようになるかもしれません。
マネジメントに役立つ新たな知識やスキルを身につけるのがよいでしょう。後者の場合は、鬱や病気になってしまう前に環境を変える必要があります。
「自分には向いていない」と感じながら仕事を続けるのではなく、退職や転職も視野に入れましょう。
仕事に対して自分がどのように感じているかを整理し、状況によって行動を変えましょう。
スキルがないだけならスキルをつけてみる
自分自身のスキルを磨くことで自信がつき、仕事がうまくいく場合もあります。
- 専門知識を深める
- マネジメントスキルをつける
- タスク管理能力を身に付ける
もし仕事に対して自信を無くしている、向いていないと感じているだけの場合は、知識やスキルをつけることで解決するかもしれません。
多忙な中で新たな知識やスキルを身につけるのは大変ですが、キャリアアップにも繋がります。新たな知識、スキルを身に付けることで仕事を潤滑に回せるようになりましょう。
より専門知識を深める
Webディレクターの主な仕事・役割はディレクションなので、直接的にコーディングやデザインに携わる機会はあまりないかもしれません。
しかし、各業務に対する専門的な知識を身に付けていることでプロジェクトがより円滑に進むことは間違いないでしょう。
各分野の専門知識を深めることで、デザイナーに依頼をする際には依頼内容が正しく伝わります。
デザイナーができること/できないことを正しく把握することで、クライアントとの打ち合わせの際に不可能な発注を受けることも防げるので、トラブルやクレームの防止にも繋がるでしょう。
一見Webディレクターには必要ないと思える各分野の専門知識を身に付けることで、プロジェクト全体にも大きなメリットを与えます。
マネジメントスキルをつける
マネジメントスキルとは、「モノ」「時間」「ヒト」「事業全体」「組織」を管理するためのスキルを指します。対象物を管理し、利益を最大化させることが最大の目的となります。
マネジメントスキルを磨くことで、現状を分析する力と問題を解決する力が身に付きます。
今なにが起きているか、どのような問題点が生じているかを正しく判断し、各メンバーに適切なタスクを振ることでプロジェクト全体がスムーズに進行します。
決められた期間内で計画的に業務を進められるようになるため、納期に関するトラブルも防ぐことができます。
- プロジェクトマネジメント資格
- メンタルヘルス・マネジメント検定
- ビジネスマネジャー検定
上記のような資格・検定の取得に挑戦するのもよいでしょう。
タスク管理能力を身につける
タスク管理能力を身に付けることで、マネジメントがうまくいく場合もあります。
緊急度・重要度の高い業務から手をつけ、それぞれのタスクの所要時間も把握することが必要です。
各プロジェクトメンバーが抱えているタスクの全体像を把握し、正しいスケジュールを立てることでミスやトラブルの防止に繋がり、業務の進捗の滞りも解消されます。
ホワイトボード、タスク管理ツール、カレンダーなどを用いて全てのタスクを可視化することで全体像を把握し、スムーズに業務を進めていきましょう。
プロジェクトをマネジメントする立場として、正しい目標を設定する能力も求められます。
1日・1週間単位での小・中規模なゴールを定め、現実的な目標を達成し続けることでチーム全体のモチベーションも上がるでしょう。
辞めたいと思ったら無理せず転職する
「どうしてもWebディレクターは向いていない」「これ以上仕事を続けられない」と感じた場合には、無理をしてまで続けず、転職する決断をしましょう。
仕事よりも身体・精神の健康の方が大切であり、自分を犠牲にしてまで向いていない仕事をやり続ける必要はありません。
転職する際には、転職エージェントに登録・相談することをおすすめします。
たまたまWebディレクターの仕事が向いていなかっただけかもしれません。エージェントに相談して正しく自己分析を行った上で、より自分に適した仕事を探しましょう。
必ず転職エージェントに相談しよう
転職を考えている場合、必ず転職エージェントに相談しましょう。
自分だけの力で転職活動を行った結果、適性に合っていない職業に再就職してしまうパターンも多く見られます。
せっかく思い切って転職に踏み切ったにも関わらず、次の仕事も合わなかったとなっては本末転倒です。
現在抱えている不安や危機感を、正直に経験豊富なキャリアアドバイザーに相談しましょう。
どのような業界が自分に適しているか・どのような判断基準で仕事を選べばよいかといったプロ視点からのアドバイスを受けられます。
転職サイトには公開されていない求人情報を得られたり、履歴書・職務経歴書といった書類の作成がスムーズに進められたりと、転職エージェントを利用するメリットは非常に大きいといえます。
自分が向いている仕事を探すの選択肢のひとつ
同業界内で新しい仕事を探すことで、転職活動もスムーズに進むでしょう。
Webディレクターとしての経験を積んだことで、Web業界の知識に関してはかなり幅広く身についているのではないでしょうか。
一般的にWebディレクターからの転職先としては、WebプロデューサーやWebプランナー、Webマーケターなどが多くなっています。
「Web業界の激務には懲り懲りだ」「他の職種でキャリアを積みたい」と考えている人は、転職エージェントに相談することで今まで考えてもいなかった選択肢が浮かび上がるかもしれません。
Webディレクターとして積んだ経験を転職活動でどのようにアピールするべきか、アドバイスももらえるでしょう。
自分に向いている仕事を正しく見極め、「仕事を変えてよかった!」と思える転職活動にしましょう。
「Webディレクターは向いていない」と感じたら
コミュニケーションが苦手で、自分の意見を曲げない性格の人はWebディレクターに向いていないといえます。
クライアントとクリエイターの間で板挟みの状態で日々の激務に疲弊し「仕事を辞めたい」と考えている人も多いでしょう。
自分に自信がつくことで仕事がうまくいく場合も多いので、Webディレクターとしてこのまま仕事を続けたい人は新たな知識やスキルを身に付けることをおすすめします。
どうしても自分にWebディレクターの仕事は向いていないと感じる場合は、思い切って転職しましょう。
転職を考えている場合は必ず転職エージェントに相談し、プロからの適切なアドバイスを受けた上で「仕事を変えてよかった」と思える転職先を見つけてください。