近年、「働き方改革」という言葉が社会に浸透し、さまざまな働き方が広がっています。
Web業界では、フリーランスという働き方が一般的なものとなりました。
そのため、Web制作のスキルを身につけた方の中には、フリーランスに挑戦してみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
実際にフリーランスとして働くには、どのようなスキルが必要で、どのように仕事を進めていけば良いのでしょう?
また、フリーランスに向いている人はどんな人なのでしょうか?
本記事では、Web制作フリーランスの働き方について、制作会社との違いを踏まえ詳しく解説します。
Web制作のフリーランスと制作会社の違い
Web制作フリーランスと制作会社の働き方には、それぞれ異なるメリットがあります。
フリーランスの魅力は、スケジュールや働く場所を自由に選択できることです。
また、全ての決定権が自分にあることも大きなメリットです。
しかし、安定した収入が得られないことや、事務作業など全ての業務を1人でこなさなければならない、というデメリットも存在します。
一方、制作会社のメリットは、多様な案件に携われること、Web制作の一連の流れを経験できることです。
また、他の職種の人とチームで協力しながら仕事を進めることができます。
しかし、働く時間や場所、プロジェクトの管理やプロセスに基づいた作業には、フリーランスよりも制約があります。
どちらの働き方にもそれぞれ利点があるので、スキルやライフスタイル、経済面など自分が求めることに優先順位をつけて検討すると良いでしょう。
フリーランスとしてWeb制作案件の仕事をするときの流れ
ここからはフリーランスの働き方を解説します。
Web制作フリーランスの仕事は、以下の5つのステップで進めます。
- Web制作案件の受注
- ヒアリング、契約
- デザイン制作、コーディング
- 納品
- 保守、運用
制作から運用まで一通りの作業に関わる場合と、デザインやコーディング、運用のみなど一部の作業に関わる場合があります。
クライアントの要望に応じて柔軟に対応しましょう。
Web制作案件の受注
仕事を始めるには、まずはWeb制作の案件を受注する必要があります。
案件を獲得するにはいくつかの方法がありますが、ここでは代表的な方法を3つ紹介します。
- Web制作会社へ営業を行う
- 友人や知人から紹介を受ける
- クラウドソーシングやフリーランスのエージェントを活用する
また、SNS等で自分のスキルや実績をアピールすることで、クライアントから声がかかる可能性があります。
案件獲得の間口を広げる有効的な戦略です。
ヒアリング・契約
案件を受注したら、次はクライアントへのヒアリングです。
Webサイトを作る目的や規模、予算、納期などを詳しく聞くようにしましょう。
また、この段階でクライアントの要望を明確にする要件定義を行います。
後の工程で認識のズレを起こさないためにも、要件の合意を得てから次のステップに進みましょう。
合意を得たら、作成した見積もりをクライアントに提示し報酬額を決定します。
両者で作業内容と報酬額の合意が取れたら、契約書を締結します。
デザイン制作・コーディング
契約を結んだら、いよいよ制作のステップです。
要件をもとにデザイン制作・コーディングを行います。
案件によってはデザインのみやコーディングのみを担当する場合もあります。
クライアントの依頼に合わせ柔軟に対応しましょう。
デザイン制作とコーディングの両方に携わる場合は、デザイン案が出来上がった段階でクライアントからフィードバックをもらいます。
コーディングを進めてしまった後だと、デザインのイメージに齟齬があったときに手戻りが発生する可能性があるからです。
納品
デザイン制作・コーディングが完了したら、クライアントに確認を依頼します。
動作確認を含めてテスト環境を見てもらいましょう。
修正の依頼があれば、その都度対応するようにしてください。
制作までのステップで丁寧にヒアリングができていないと、膨大な修正依頼に追われることがあるので特に気をつけましょう。
修正が全て終わりクライアントの最終確認が完了したら、納品のステップです。
本番環境でWebサイトを公開し、納品完了です。
デザインのみやコーディングのみを担当した場合は、ファイルを納品して完了となります。
保守・運用
納品が完了し報酬を受け取ったらWeb制作は終了です。
案件によってはクライアントから保守・運用のアフターフォローを依頼されることがあるので、柔軟に対応しましょう。
運用では、データを分析してクライアントの新たなニーズを掘り起こしたり、より成果を出せるよう積極的に改善提案に努めましょう。
次の案件に繋げるための行動が重要です。
また、定期的な報告やミーティングを通じて、クライアントと信頼関係を築くことで、継続して仕事を任せてもらえるかもしれません。
フリーランスに向いている人の特徴
ここまではWeb制作フリーランスの仕事の流れを解説しました。
「仕事の流れは理解したけど、フリーランスは自分に合っているのだろうか…」
そんな不安の声が聞こえてきます。
では、実際にフリーランスに向いている人はどんな人なのでしょうか?
ここではフリーランスに向いている人の特徴を3つ紹介します。
- 自己管理能力がある人
- 自由な働き方を望んでいる人
- 問題解決力がある人
ひとつずつ、詳しく見ていきましょう。
自己管理能力がある人
全ての裁量があるフリーランスは、自分で全体を把握しスケジュールをしっかり管理することが求められます。
仮に納期が守れないとクライアントから信用を無くし、仕事を失いかねません。
そうならないためにも、自分の現状や能力を客観的に把握した上で、適切なスケジュールを組み立てるようにしましょう。
また、フリーランスとして働きはじめて間もない時期は、収入が不安定になることがあるかもしれませんが、過度な働きによって健康を損ねることは得策ではありません。
収入状況と仕事量を適切に調整し、自分の体調管理にも気を配れる人はフリーランスに向いていると言えるでしょう。
自由な働き方を望んでいる人
フリーランスは、スケジュールや仕事の選択を自由にコントロールできるため、自分のニーズやライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。
パソコンさえあれば、自宅やカフェ、旅行先などあらゆる場所で仕事を進めることができます。
エージェント経由で会社と契約して働く場合、自由度は制限されるかもしれません。
しかし、最近ではリモートワークやフレックスタイムの導入など、自由な働き方を積極的に導入している会社も増えています。
自由な働き方を望んでいる人にとって、フリーランスは魅力的な選択肢と言えるでしょう。
問題解決力がある人
問題解決力とは、困難や課題にぶつかった時に、効果的な解決策を見つけ出し行動する力のことを言います。
フリーランスは個人で仕事を進めるため、課題にぶつかった時は自分で解決策を見つけなければいけません。
そのため、問題解決力は非常に重要なスキルです。
また、気軽に相談できる人を見つけおくことも大切です。
他のフリーランスや専門家と交流し、経験や知識を共有することで問題解決力を高めることができます。
相談相手からのアドバイスは、自分の視野を広げる手助けとなるでしょう。
問題解決力がある人は、フリーランスに向いていると言えます。
Web制作フリーランスに必要なスキル
会社では職種ごとに仕事が分かれており、チームで協力しながら業務を進めることが一般的です。
しかし、Web制作フリーランスは全ての仕事を1人で進めます。
そのため、幅広いスキルが必要になります。ここでは、Web制作フリーランスに必要なスキルを3つ解説します。
- 実務経験
- コミュニケーション能力
- 営業力
実務経験
フリーランスとしてWeb制作の案件を獲得するためには、実績づくりが重要です。
たとえ制作のスキルを身につけていても、実績がなければ仕事を任せてもらえません。
フリーランス案件では実務経験3年以上が要件となっているケースが多いため、実績のない方はまずは3年を目安にWeb制作会社で実務経験を積むことをおすすめします。
一般的に、新しい分野に進んでから3年の実務経験を積むことは、一通りのスキルを身につけ業務に慣れるために必要な期間と言われています。
つまり、クライアントはそれだけのスキルがある人材を求めているのです。
コミュニケーション能力
良いWebサイトを作るためには、クライアントの要望を正確にヒアリングし、時にはクライアント自身が気づいていない、言語化できていない課題やニーズを上手に引き出してあげる必要があります。
他にも、報酬の交渉や運用改善の提案など、あらゆる場面でコミュニケーションのスキルが求められます。
特にフリーランスは、人との繋がりで仕事を得るケースが多いため、日頃から積極的にコミュニケーションを重ね、信頼関係を築いておくことが重要です。
良好な人間関係はリピートの依頼や口コミに繋がり、仕事の機会を増やすことでしょう。
営業力
営業力は、案件を獲得するために必要不可欠なスキルです。
営業力とは、自分のサービスやスキルをアピールし、クライアントとの信頼関係を築く力のことです。
具体的には、クライアントとの商談や交渉、提案書の作成など、営業活動に関わるさまざまなスキルが求められます。
営業力は、日々の学習や努力によって鍛えることが可能です。
マーケットや市場のトレンドを掴み、クライアントが求めるものや競合他社の動向を理解することで、自分の魅力を最大限に生かす営業活動が行えるようになるでしょう。
営業力を高めることは、フリーランスとして成功する重要な一歩です。
フリーランスで働くのがきついと言われる理由
Web制作フリーランスとして働くことについて、時に「きつい、稼げない、しんどすぎる」といったマイナスのイメージを耳にすることがあります。
なぜ、そのように言われているのでしょうか?
ここでは、以下の3つの理由を解説します。
- 修正依頼に追われる
- 初心者は低単価案件に偏ってしまいやすい
- 競争に負けてしまう
修正依頼に追われる
Web制作では、クライアントの意図を正確に捉えて案件を進めていく必要がありますが、コミュニケーション不足やクライアントのニーズの変化など、様々な要因で修正依頼に追われることがあります。
また、自分が良いと思っていてもクライアントのイメージに合わないと修正をしなければいけません。
一つの案件に必要以上の時間をかけてしまうと、他の案件の時間を捻出できずいつまでも収入を増やすことができないという、負のスパイラルに陥ってしまいます。
修正の時間を最小限にするためにも、事前のヒアリングをしっかり行うようにしましょう。
初心者は低単価案件に偏ってしまいやすい
前述の通り、Web制作の案件を獲得するためには実績づくりが重要です。
初心者のうちは実績が少なく低単価の案件に偏ってしまうことも少なくありません。
まずは、低単価の案件でも積極的に仕事を受け実績を積みましょう。
実績が増えると経験やスキルの幅も広がり、より高単価の案件に挑戦できます。
特に制作会社で働いている方は、現在のクライアントと信頼関係を築いておくことが大切です。
フリーランスになってからも継続して案件を任せてもらえたり、新しいクライアントを紹介してもらえる可能性があります。
既にあるネットワークを上手く活用しましょう。
競争に負けてしまう
Web制作は、個人のフリーランスだけでなく制作会社も競合関係にあります。
企業は複数人でチームを組んでいるため、さまざまな提案や作業ができ、個人のフリーランスより有利な立場にあると言えます。
しかし、フリーランスは個人であるからこそ、クライアントの要望に対して柔軟に対応できることや、スピード感を持って取り組めるといった利点もあります。
競争に勝つには、強みや独自性を見つけて自分の価値を高めることが重要です。
さらに、営業力を鍛えることで、クライアントにとって魅力的な提案ができるようになるでしょう。
Web制作フリーランスの平均年収
一般的に、Web制作フリーランスの平均年収は約300万円〜400万円と言われています。
フリーランスは案件ごとに報酬を受けるため、受注した案件の数や単価によって収入が左右されます。
一方、制作会社(正社員)の平均年収は約450万円と、フリーランスの年収よりもやや高い傾向です。
安定した収入や社会保険などの制度面でもメリットがあります。
フリーランスで高単価案件を獲得するには実績と信頼を積み上げる必要がある、と前述しましたが、その言葉の裏を返せば、フリーランスは収入の上限がなく、自分のスキルや努力次第では高収入を得ることも夢ではないのです。
自分の目指したい姿や価値観に合わせて適切な選択をすることが重要です。
Web制作フリーランスの成功は自分の行動力次第
本記事では、制作会社との違いを踏まえながら、Web制作フリーランスの働き方について詳しく解説しました。
将来フリーランスとして働きたいと考えている方は、まずは実績を積むことに注力するのをおすすめします。
フリーランスの働き方は自由度が高く、求めれば求めるほど自己成長や充実感を得ることができます。
スキルを磨き、独自性を見つけることができれば高収入も現実のものとなっていくでしょう。
フリーランスの成功は自分の行動力にかかっています。
この記事が、Web制作フリーランスという働き方を検討している方々にとって少しでも有益な情報となれば幸いです。
自分自身のスキルや魅力を信じて積極的にチャンスを掴んでいきましょう。