昨今、エンジニアや企業から注目を浴びている「Go言語」
言葉は知っているけど、どのような言語か分からないと思っているあなたに読んでほしい記事になっています。
本記事を読むことで「Go言語ってどんな言語?」「Go言語は初心者向けの言語って本当?」「Go言語って将来性のある言語なの?」といった疑問を解消できます。
大きく分けて4つのテーマに沿ってお伝えしていくので、ぜひ最後までお読みください。
Go言語とは
Go言語とは、2009年にGoogleによって開発されたプログラミング言語です。Go言語の公式サイト内の説明によると「シンプルで信頼性が高く効率的なソフトウェアが簡単に構築できる」と書かれています。後ほど詳しく解説しますが、Go言語はシンプルな構文なので誰が読んでも分かりやすいといった特徴があります。
それゆえ、近年人気の高い言語の1つです。2020年HackerRank社が発表した「エンジニアが学びたいプログラミング言語ランキング」によると、Go言語は1位を獲得しています。
参考:2020 HackerRank Developer Skills Report
また、株式会社ビズリーチが発表した「プログラミング言語別年収ランキング」でも、Go言語は堂々の第1位です。求人数も2017年度は100件未満だったものの、2018年では2,000件以上と急激に伸びています。
言語 | 年収中央値(万円) | 最大提示年収(万円) | 求人数 | |
1位 | Go | 600 | 1,600 | 2,202 |
2位 | Scale | 600 | 1,300 | 1,483 |
3位 | Python | 575.1 | 1,499 | 9,344 |
4位 | Kotlin | 575 | 1,200 | 961 |
5位 | TypeScript | 575 | 1,200 | 667 |
参考:1位:Go(600万円)、2位:Scala、3位:Python 機械学習のニーズを受け、Rも高年収
参考:プログラマー年収ランキング2017!言語別、第1位はScalaの626万円
Go言語はエンジニアから注目され、かつ企業からの需要も高く、まさに今学ぶべき言語と言っても過言ではありません。
Go言語は初心者向けのプログラミング言語というわけではない
Go言語はシンプルな構文で書きやすく、エンジニアや企業から人気の高い言語だと分かり、学習したいと考えたあなた。もし、あなたがプログラミング初心者ならGo言語を習得するのは難しいかもしれません。
年々Go言語の求人数は増えているものの、JavaやC言語、PHPやRubyといった人気のある言語よりも求人数は少なめです。また、比較的新しい言語なのでネット上の情報やGo言語を教えているプログラミングスクールが少ないといったデメリットがあります。分からないことが出てきても、解決出来る環境があまり整っていないので挫折しやすくなります。
プログラミング初心者は、後ほど紹介するサーバーサイド言語の習得がおすすめです。
Go言語を学ぶにはその前が大切!
プログラミング初心者は、Go言語を学ぶ前にサーバーサイド言語の勉強から始めましょう。3つご紹介しますので、あなたが希望する仕事内容や年収、勉強のしやすさなどを考慮した上で習得するプログラミング言語を選択してください。
言語 | できること |
PHP | ・WEBアプリ開発 ・ECサイト制作 ・SNS ・お問い合わせフォーム ・WordPress開発 など |
Ruby | ・Webアプリ開発 ・ブログ ・SNS ・ECサイト など |
Python | ・WEBアプリ開発 ・AI(人工知能)開発 ・ゲーム、スマホアプリ開発 ・スクレイピング ・データ分析 など |
PHP、Ruby、Pythonは需要が高いため求人数も多く、参考書やネット上の情報が豊富で学びやすいのが特徴です。まずは、学習がしやすいプログラミング言語を選択し、プログラミングに慣れてからGo言語の習得に取り組んでみてください。
Go言語の特徴
Go言語は生産性を上げるために開発されたプログラミング言語ですが、具体的にどういった特徴を持っているのでしょうか?Go言語の4つの特徴について紹介します。
- シンプルな記述でわかりやすい
- 標準パッケージの充実性
- 並行処理が可能で処理が速い
- 安全性の高さ
シンプルな記述でわかりやすい
Go言語は他の言語に比べて機能が制限されているので、シンプルなコードで誰でも読みやすいのが大きな特徴です。例えば、繰り返し処理を行う命令文はfor文のみだったり、変数宣言をする際に型は不要だったりと、独自のルールが定められています。そのため、コードに統一感が生まれ可読性が高くなります。
また、Go言語はC言語やJavaと構文が似ているので、既にC言語やJavaを習得している場合は覚えやすい言語と言えます。
標準パッケージの充実性
Go言語導入直後から利用できる標準パッケージが充実しており、0からプログラミングする必要がないので開発効率の向上に繋がります。パッケージとは、特定の処理に必要なソースコードをまとめたプログラムの部品です。たとえば、モバイルアプリ開発時に役立つ「Go mobile」や画像処理を行う「Go image」など種類は豊富です。
並行処理が可能で処理が速い
Go言語は並行処理が可能で、かつコンパイラ言語のため処理速度が速いのが特徴です。
人間が書くプログラミングコードは、コンピュータが処理できる「0」か「1」で構成される機械語に翻訳しなければなりません。プログラミングコードを機械語に翻訳するのが「コンパイラ」や「インタプリタ」と呼ばれるプログラムになります。
RubyやPHPはインタプリタ言語と呼ばれ、プログラミングコードを1行ずつ機械語に翻訳しながら実行します。一方コンパイラ言語は、すべてのプログラミングコードを機械語に翻訳してから実行するので翻訳処理の回数が少なく済み、処理速度が速くなります。
安全性の高さ
Go言語は安全性が高い言語です。プログラムで使っていないメモリを解放する機能が備わっているので、メモリリークを防げます。メモリリークはバグの一種で、使用可能なメモリ容量が減ってしまうことを指します。プログラミングする上でメモリを意識する必要がないので、メモリ障害の心配は不要です。
また、独自の記述ルールが設けられているので、記述エラーが生じにくく安全性が高いと言えます。
Go言語と他の言語の違い
Go言語と他言語の大きな違いは、Go言語は書きやすさを重視しているので機能を最低限に抑えていることです。たとえば、C言語やJavaにある継承や例外処理といった機能がありません。
継承とはプログラム処理がまとまったクラスの性質を引き継いで、新たなクラスを定義することです。継承がないと新たなクラスを作る際に、1からプログラミングコードを書く手間が発生します。
また、例外処理とは想定内のプログラムエラーが発生した時に行う処理を指します。例外処理がないと、エラー原因を解明するのに時間がかかる場合があります。
しかし、仕様変更により機能が追加される可能性も十分あり、2022年3月には「ジェネリクス」がサポートされました。
参考:ジェネリクスを導入した「Go 1.18」が公開 ~「Go」言語の仕様変更としては過去最大級
プログラミング経験者にとっては、機能が制限されており不便に感じるかもしれません。しかし、後ほど詳しく紹介しますがGo言語はできることが多く将来性のある言語なので、学んでおいて損はない言語と言えます。
Go言語でできること
プログラミング言語には、得意・不得意な開発分野がありますが、Go言語は幅広い分野で活躍する言語になります。Go言語でできることを4つ紹介します。
- WebサービスやWebサーバーの設計構築
- スマートフォン・Web向けのアプリケーション開発
- ドローンやロボット・IoTの開発
- CLIツールの作成
WebサービスやWebサーバーの設計構築
Go言語は並行処理が可能で処理速度も速く、WindowsやMac、LinuxなどのOS環境に依存せず動作するのでWebサービス開発に向いています。
Webサーバーの設計構築も得意とし、Go言語の標準ライブラリ「net/http」を使用すると簡単にサーバーが立てられます。
Webサービス開発からサーバー構築まで一貫してGo言語で対応できるので、作業効率の向上にも繋がります。
スマートフォン・Web向けのアプリケーション開発
Go言語はiOSやAndroidといったOSにも対応しているので、スマートフォンやWeb向けのアプリケーション開発に向いています。
Go言語が用意しているパッケージ「Go mobile」や「Go Cloud」を利用すれば、手軽にスマートフォン向けのアプリ開発ができるのも魅力的です。
ドローンやロボット・IoTの開発
Go言語のフレームワークである「Gobot」を使用すると、ドローンやロボット・IoTの開発が可能です。
Gobotはネットワーク上のデバイスや、複数のデバイスと相互通信する機能が備わっています。そのため、離れた場所からデバイスを操作したり、センサーが取得した情報を他のデバイスに伝えたりできます。
CLIツールの作成
CLI(コマンドラインインターフェース)とは、キーボードのみでパソコンを操作することを指します。マウスやタッチパッドは使用しません。
Go言語はクロスコンパイル機能を搭載しています。クロスコンパイルとは、コンパイル環境と異なる実行環境で動くようにプログラムをコンパイルすることです。クロスコンパイル機能により、OSやプラットフォームといった環境に依存しないので、CLIツール作成に向いています。
Go言語の将来性や需要は?
Go言語を学んでみたいけど、「将来性が気になる」「Go言語案件を獲得できるか不安」と感じていませんか?結論からお伝えすると、Go言語は将来性が高く、今後も需要が伸び続ける言語になります。
先述した通りGo言語の求人は年々増えており、エンジニアが学びたいプログラミング言語1位に輝くなど、大きな注目を集めています。
他にも、Go言語の将来性や需要が高い理由を2つご紹介します。
- 多くの大企業がGo言語を採用している
- Go言語を使って構築されたサービスの需要が高い
多くの大企業がGo言語を採用している
多くの大企業がGo言語を採用しています。例えば、動画配信サイトの「YouTube」やフリマアプリの「メルカリ」、レストラン予約サイトの「ぐるなび」や動画学習サービス「Schoo(スクー)」など幅広い業界で利用されています。
大企業で採用されることでGo言語の知名度が高くなり、新たにGo言語を導入する企業が増え、Go言語の開発が行えるエンジニアの需要も伸びていくでしょう。
Go言語を使って構築されたサービスの需要が高い
多くの大企業で採用されているだけではなく、Go言語を使って構築されたサービスの需要が高いのも、Go言語の将来性が高いと言える要因になります。
たとえば、コンテナ型の仮想環境を実行する「Docker」やマシンイメージを生成・管理する「Packer」、クラスタ管理ツールの「Self」といったIT業界でニーズの高いサービスでGo言語は活躍しています。
Go言語を学ぶ方法
Go言語を学ぼうと思っても参考書や情報が少なく悩んでいるあなたに向けて、6つの勉強方法をお伝えします。
- The Go Programming Language
- A Tour of Go
- golang.jp
- ドットインストール
- Udemy
- 書籍
The Go Programming Language
The Go Programming LaunguageはGo言語の公式サイトです。
実際にGo言語を入力すると実行結果が見られる仕様になっているので、手を動かしながら主体的に勉強ができます。また、学習コンテンツだけではなく最新情報も入手できます。
難点としてはすべて英語で書かれているので、英語が苦手な場合は他のサイトの利用を検討してみてください。
A Tour of Go
A Tour of GoはGo言語の文法が学べるサイトです。
構文や型など一つずつ問題を解いていく仕様になっており、多くの例題が用意されています。すべての問題を解く必要はないので、学習したい内容だけをピックアップして進められます。実際のソースコードと解説が載っているので、初心者でも分かりやすい内容になっています。
ドットインストール
ドットインストールは無料でプログラミングが学べるサイトです。しかし、有料会員※にならないと受講できない講座が多いので注意してください。有料会員になると、下記のサービスが受けられます。
- 文字起こしの閲覧
- ソースコードの閲覧・比較
- 講師への質問 など
費用はかかりますが3分程度の動画で構成されているので、スキマ時間に勉強できるのが大きな魅力と言えます。
※2022年5月時点:月額1,080円(税込)
Udemy
Udemyは世界最大級のオンライン動画学習サイトです。Udemyの講座は買い切りなので、月額費用はかかりません。Go言語に関する動画が多数用意されているので、基礎から応用まであなたのレベルにあった動画が見つけられるでしょう。ただ、英語で解説されている動画が多いので購入する際は注意してください。
書籍
Go言語に関する書籍は多数販売されているので、あなたに合った書籍を探してみてください。
購入する際はテキストの中身をしっかり見て、あなたが学びたい内容が網羅されているか必ず確認してください。また、自分のレベルに合った書籍を購入しましょう。まったくの未経験者が経験者向けの書籍を選んでしまうと挫折する原因に繋がってしまいます。
特に未経験者は最初からすべての知識を詰め込もうとせず、基礎から学んでいきGo言語の理解を少しずつ深めていってください。
転職もしくはインターンで学ぶ
実際にGo言語開発を行なっている現場に転職したり、インターンで実践的に学びながらGo言語を身につけるのも1つの手段です。
しかし、Go言語の知識が全く無い未経験者だと採用されにくいかと思います。まずは先ほど紹介した学習方法でGo言語の知識を習得し、ご自身でGo言語を使ったWebサービスが作れるスキルを身につけてみてください。プログラミング経験が無いあなたはサーバーサイド言語(PHPやRubyなど)を勉強し、プログラミングに慣れるところから始めてみましょう。
まとめ
本記事ではGo言語の特徴やできること、勉強方法について紹介しました。
Go言語はシンプルな構文で誰でも分かりやすいコードが書けます。
しかし、プログラミング初心者の場合、最初にGo言語を習得するのは難しいかもしれません。
まずは、求人数や情報量が多いサーバーサイド言語を習得し、プログラミングに慣れるところから始めてみてください。
また、Go言語は将来性が高く今後も需要が伸びていく言語だと予想されています。Webサービスやアプリ開発だけではなく、ドローンやロボット開発、IoTといった分野でも利用されています。Go言語を習得すれば、様々な分野に挑戦できるでしょう。
Go言語を学べるサイトや書籍も充実しているので、ぜひこの機会にGo言語を学んでみてはいかがでしょうか。