C言語を学びたいと思い情報収集していたら、難しい用語ばかりで理解するのが大変だったり、
「C言語は難易度が高い」といった意見を見つけて不安になっていませんか?
本記事では、「C言語がどんなものかよく分からない」「C言語の特徴が知りたい」「C言語の将来性が気になる」といった悩みや疑問を持つあなたに向けて、大きく以下のテーマについてご紹介します。
これからC言語を学んでいきたいと考えているあなたは、ぜひ最後までお読みください。
C言語とは?歴史に触れつつ解説
C言語とは、1972年にAT&Tベル研究所のデニス・リッチーが主体となって開発したコンパイラ言語です。コンパイラ言語とは、人間が書いたソースコードをコンピュータが処理できる形式に変換するプログラミング言語を指します。
具体例を出すと、下記がソースコードになります。
printf(“Hello Wolrd!”)
そしてソースコードを、「00111001」といった「0」と「1」のみで構成される機械語に変換するのがコンパイラ言語の役割です。
また、TIOBE Softwareのデータによると、プログラミング言語の人気ランキングでC言語が第2位だと発表しました。C言語が開発されて50年以上経つものの、未だに根強い人気と需要があると分かります。
C言語の特徴はどんなものがある?
新しい言語が次々と開発される中、50年以上も世界中で使用されているC言語ですが、いったいどんな特徴を持っているのでしょうか?C言語の特徴について3つご紹介します。
- 手続き型言語
- プログラミングの処理速度が速い
- 汎用性が高い
手続き型言語
C言語は手続き型言語と呼ばれており、コンピュータが実行する命令を上から順番に記述していく構成になっています。下記はC言語の例文です。
C言語で初めに実行されるのはmain関数です。main関数の中身を見てみるとtest1、test2の順番で実行するように書かれています。このように、手続き型言語は書かれている順番通りに実行されます。
プログラミングの処理速度が速い
C言語はコンパイラ言語と呼ばれており、処理速度が速いのが大きな特徴です。前提としてプログラミングコードは、人間に理解できてもコンピュータには全く理解できません。
コンピュータが処理できるのは、「0」か「1」で書かれた機械語なので、人間が書いたプログラミングコードを機械語に翻訳する必要があります。プログラミングコードを機械語に翻訳するのが「コンパイラ」や「インタプリタ」と呼ばれるプログラムになります。
PHPやPythonはインタプリタ言語と呼ばれ、プログラミングコードを1行ずつ機械語に翻訳しながら実行していくので、コンパイラ言語よりも処理速度が遅くなります。コンパイラ言語であるC言語は、すべてのプログラミングコードを機械語に翻訳してから実行するので、翻訳処理の回数が少なくなり結果として処理速度が速くなります。
汎用性が高い
C言語はさまざまな分野で用いられる汎用性の高いプログラミング言語です。C言語で開発されているものは多く、例えばIoTやAI、OSや組み込み系ソフトウェアなどが挙げられます。
IoTやAI、OSについては後ほど説明します。組み込み系ソフトウェアとは、特定の機能を実現するために電化製品などに組み込まれているソフトウェアです。
例えば洗濯機の場合、下記が組み込み系ソフトウェアの具体例になります。
・洗濯槽に一定の水が溜まったら給水を止める
・洗濯中にフタが開いたらアラーム音を出す
C言語は私たちの身近にある商品に使われていたり、製造業で使われていたりと多方面で活躍している言語です。
C言語でどんなことができる?
C言語は汎用性の高い言語だとお伝えしましたが、具体的にどういった開発に向いているのでしょうか。ここではC言語でできることを3つご紹介します。
- OS(オペレーティングシステム)の開発
- IoTやAIの開発
- ソフトウェアの開発
OS(オペレーティングシステム)の開発
OSとは基本ソフトウェアとも呼ばれる、パソコンやスマートフォンを使うために必要不可欠であるソフトウェアです。OSが入っていないパソコンは電源を入れても動かず、キーボードで文字を打っても何も表示されません。OSの代表例としてMacOSやiOS、WindowsやAndroidが挙げられます。
もともとC言語はUNIXと呼ばれるOSを記述するために開発された言語で、高水準言語でありながらもOSやハードウェアを制御できる低水準言語の役割も兼ね備えています。
高水準言語とは人間が理解しやすい構文で書かれている言語で、低水準言語とは機械語または機械語に近い構造を持つ言語を指します。
下記は高水準言語(C言語)の具体例です。「HellWorld!」と表示するプログラムが書かれています。
下記は低水準言語(機械語)の具体例です。機械語は「0」か「1」のみで構成されており、人間には理解が難しい内容になっています。
IoTやAIの開発
C言語は、近年注目度が増しているIoTやAI開発でも使われています。
IoTとは電化製品や車といったモノが、インターネットにつながる技術のことです。具体的には、「スマホで部屋の電気をつける」「スピーカーを通して家にある電化製品を操作する」といったのがIoTの一例になります。
IoTはメモリやCPUといったハードウェアリソースの制限が厳しく、さらに長時間使用されることもあるので電力消費を抑える必要があります。ですので、ハードウェアの制御ができるC言語はIoT開発に向いています。
また、AI(人工知能)の開発ではハードウェアの限られたリソースを活用し、膨大なデータの処理速度を上げることが重要です。
ハードウェアリソースを活用できたり、AI開発でよく使われるPythonやJavaよりも処理速度が速いC言語は、AI開発に向いている言語と言えます。
ソフトウェアの開発
C言語はOS以外にも、さまざまなソフトウェア開発に用いられています。他のプログラミング言語よりも処理速度が速い利点を活かして、企業の売上管理システムや大規模な業務用システムのソフトウェアなどに使われています。
ブラウザのChromeやパソコンに搭載されているメモ帳などが、C言語で作られている身近なソフトウェアの一例です。また、データベース管理システムのMySQLやPostareSQL、データ管理システムのmemcachedやRedisもC言語で作られています。
C++やC#との違い
C言語に似ている言語で、C++とC#があります。C++は、C言語の機能を拡張して開発されたプログラミング言語です。一方、C#はC++とJavaをベースに作られたプログラミング言語で、C言語とはまったくの別物になります。
それでは、C++とC#の特徴についてご紹介します。
C++について簡単に解説
C++は、C言語を拡張したオブジェクト指向型のプログラミング言語です。オブジェクト指向とは、様々なパーツを組み合わせてプログラムを組んでいく、といった概念になります。あくまでもオブジェクト指向は概念なので、完璧に理解するのは難しいと思います。
実際にオブジェクト指向型のプログラミング言語を使いながら、少しずつ概念を理解していくものだと心得ておきましょう。
C++はC言語と同じくらいの処理速度ですが、C言語に比べてソースコードの記述量が少ないのでデータ量が抑えられます。またC++は機械語に近いので、ハードウェアの制御に向いている言語です。
C#について簡単に解説
C#はマイクロソフト社が開発したオブジェクト指向型のプログラミング言語です。C#の文章構造はC++やJavaをベースにしているので、C++やJavaを使った開発経験があれば比較的覚えやすい言語になります。
C#はプログラムで使っていないメモリを解放する機能が備わっているので、メモリリークを防げるのが大きな特徴です。メモリリークとはプログラミングにおける一種のバグで、使用可能なメモリ容量が減ってしまうことを指します。
また、C#はWindowsアプリはもちろん、MacやLinux、スマートフォンのアプリ開発にも使われています。
C言語に将来性はある?
結論からお伝えすると、C言語は将来性のある言語です。理由をIoTとAI市場、および求人数の面から説明します。
先ほど、C言語でIoTやAI開発ができるとお伝えしました。PR TIMESによると、IoT市場は2022年〜2030年の間で19.67%以上の成長率があると発表しました。
またIDC Japanは、2020年の国内AIシステム市場は約1,579億円、2025年には約4,909億円だと予測しています。AI市場は5年で3倍以上拡大する見込みです。
参考:2030年まで年間平均成長率19.67%で成長する見込みのIoT市場
次にC言語に関わる求人数を見てみます。BIZ REACHが運営する求人検索「スタンバイ」のデータによると、プログラミング言語別の求人数は下記の通りです。
AI開発やビックデータ解析の分野で注目を集めているPythonを抑え、C言語は2位となっています。
言語 | 求人数 | |
1位 | Ruby | 11,676 |
2位 | C | 9,347 |
3位 | Python | 9,344 |
4位 | Perl | 4,509 |
5位 | Swift | 3,353 |
参考:1位:Go(600万円)、2位:Scala、3位:Python 機械学習のニーズを受け、Rも高年収
C言語で開発されるIoTやAI市場の拡大や豊富な求人数から、C言語の需要はますます拡大し、将来性の高い言語だと分かります。
C言語をおすすめできる人
200種類以上あると言われるプログラミング言語ですが、その中でもC言語はどんな人に向いているのでしょうか。C言語をおすすめできる人の特徴を2つご紹介します。
- プログラミングの基礎をしっかり学びたい人
- IoTやAIの開発をしたい人
プログラムの基礎からしっかり学びたい人
プログラムの基礎を学びたい人はC言語がおすすめです。
プログラムはハードウェア上で動作します。JavaやPHPといった言語を習得する場合、ハードウェアについて意識しなくてもプログラミングコードは書けますが、C言語はハードウェアを制御する要素を持っているので、メモリやCPUなどの知識が必要になります。
そのため、他の言語なら自動で処理を行うメモリ管理について学べ、メモリやCPUなどを効率よく利用するためのプログラムが組めるようになります。
IoTやAIの開発をしたい人
C言語はハードウェアの制御が得意なので、IoTやAI開発には欠かせない言語といっても過言ではありません。
また、先述した通りIoTとAIの需要はますます拡大し、年々市場規模も大きくなると予想されています。C言語の習得はIoTやAIの開発をしたい人はもちろん、将来役に立つスキルを身に付けたいと考えている人にも向いています。
Web系の仕事をしたい人は他の言語を学ぶべき
C言語は汎用性の高い言語だとお伝えしましたが、Web系の仕事をしたい人は他の言語を学びましょう。Web開発の現場において、C言語が使われることはほとんどありません。
WebサイトやWebアプリなどユーザーの目に直接触れる部分をつくりたい人は、HTMLやCSS、JavaScriptといったフロントエンドに必要な言語を選択してください。
また、Webサーバーやデータベースなどユーザーの目に見えない部分を開発したい人は、PHPやRubyなどバックエンドに必要な言語を習得してください。
C言語を学ぶ方法
C言語はハードウェアに関する知識も必要になってくるので習得難易度は高いと言われています。特にプログラミング未経験者が独学で理解するのは、非常に難しいかもしれません。
C言語を学ぶ方法を2つお伝えするので、ご自身にあった方法を取り入れてみてください。
- 書籍やWebサイトで学ぶ
- スクールに通う
書籍やWebサイトで学ぶ
C言語は開発から50年以上経つ歴史のある言語なので、参考書や問題集が豊富にあります。それゆえ、いきなりレベルの高い書籍に挑戦してしまうと挫折する可能性が高くなります。まずは、中身をしっかりと確認し、あなたが取り組みやすいと思う書籍を購入してください。
また、C言語を学べるWebサイトも充実しており、実際に手を動かしながら学べるので実践力が身につきます。一週間で身につくC言語の基本やC言語入門、ドットインストールなど無料で活用できるサイトが多いので、一度試してみてはいかがでしょうか。
プログラミングスクールに通う
冒頭で述べた通りC言語は難易度が高いため、書籍やWebサイトを使った独学だとうまく続かないかもしれません。
一人で勉強するのが不安だと感じたら、プロの講師が教えてくれるプログラミングスクールの活用を検討してみてください。
プログラミングスクールなら、C言語習得に必要なカリキュラムを用意してあるのはもちろん、いつでも質問できる環境が整っています。
KENスクールやWinスクール、日本プログラミングスクールといったC言語を扱うプログラミングスクールは多数あるので、費用感や通い方など、あなたの希望に合ったプログラミングスクールを探してみてください。
まとめ
本記事ではC言語の歴史や特徴、勉強方法などをご紹介しました。
C言語の歴史は古く、汎用性の高さと処理速度の速さから幅広い分野で活躍している言語です。今後の市場拡大が見込まれるIoTやAI開発においてもC言語は欠かせない存在になるので、将来性の高い言語だと言えます。
また、他のプログラミング言語と比べるとC言語は習得難易度が高いと言われています。理由としてはハードウェアの知識が必要だったり、C言語特有の文法や構文を理解したりと覚えることが多いからです。
しかし、先述した通りC言語は需要のある言語なので、しっかりとスキルを身につければ様々な仕事に挑戦できるでしょう。ぜひこの機会に、C言語の勉強を始めてみてはいかがでしょうか。